眼圧検査とは

健康診断や眼科で眼圧が高いと指摘されると、緑内障なのか、再検査が必要なのか不安になることがあります。眼圧検査とは目の中の圧力を数値で確認する検査ですが、眼圧だけで緑内障を診断するものではありません。

日本人では正常範囲の眼圧でも緑内障が見つかることがあります。緑内障検査では眼底検査や視野検査などを組み合わせるため、眼圧の数値だけを見て「異常なし」と自己判断しないことが大切です。

検査方法や正常範囲、保険診療時の眼圧検査の費用、結果に応じた受診の目安を整理しておくと、健診後や眼科受診後に次に何をすべきかが分かります。

眼圧検査とは目の中の圧力を測る検査

眼圧検査とは目の中の圧力を測る検査

眼圧検査は、眼球の内部にかかる圧力をmmHg(圧力を示す単位)で測定する検査です。緑内障の評価や治療中の経過確認で使われますが、眼圧には個人差があり、1回の測定値だけで病気の有無は決まりません。

確認する内容 眼圧検査で分かること
眼球内の圧力 目の中にどの程度の圧力がかかっているかを数値で確認します。
眼圧上昇の有無 統計的な正常範囲より高いかどうかを確認し、追加検査の必要性を考えます。
治療中の変化 緑内障などで眼圧を下げる治療を受けている場合、治療前後の変化を確認します。

眼圧は房水の産生と排出のバランスで保たれる

眼圧とは、眼球の内側から外側へかかる圧力のことです。目の中では房水(眼球内を循環する透明な液体)が作られ、角膜や水晶体に栄養を届けたあと、隅角と呼ばれる出口を通って排出されています。

房水が作られる量と排出される量が釣り合っていれば、眼圧は一定の範囲に保たれます。一方、房水が外へ流れにくくなるなどして眼内にたまると、眼圧が上昇することがあります。緑内障では眼圧が視神経に与える負担が重要になるため、眼圧を把握する検査が行われます。

ただし、眼圧検査は視神経そのものを観察する検査ではありません。眼圧が高いから緑内障と決まるわけではなく、反対に眼圧が高くなくても緑内障が存在する場合があります。眼圧は単独の診断結果ではなく、眼の状態を評価するための数値の一つとして確認します。

一般的な正常範囲は10~20mmHgとされる

日本眼科学会では、眼圧は通常10~20mmHgが正常範囲とされています。mmHgは「ミリメートル水銀柱」と読み、血圧の表示にも使われる圧力の単位です。健診結果で眼圧の数値を確認するときは、まずこの範囲を目安として見ます。

ただし、10~20mmHgに入っていれば緑内障ではない、と判断することはできません。日本眼科学会によると、40歳以上の緑内障の有病率は約5%で、多くの緑内障患者は眼圧が正常範囲内でした。正常範囲の眼圧で発症するタイプは正常眼圧緑内障と呼ばれます。

また、眼圧は1日の中でも変動し、測定条件によって値が変わることがあります。そのため、過去の測定値や左右差、視神経・視野の状態なども含めて医師が評価します。1回だけ正常だった場合も、健診で眼底異常を指摘された人や緑内障を疑われている人は、眼圧だけを理由に精密検査を省かないようにしましょう。

眼圧が高い結果は眼科で詳しく調べるきっかけになる

眼圧が正常範囲より高い場合は、視神経への負担が大きくなっている可能性があります。ただし、眼圧が高いだけで緑内障と診断されるわけではありません。眼圧が高くても、視神経や視野に緑内障特有の変化が確認されない状態もあります。

健診で眼圧高値を指摘された場合は、眼科で再測定し、必要に応じて眼底検査や視野検査、OCT(光干渉断層計)などを受けます。測定値にはその日の状態や測定条件による変動もあるため、再検査では「何mmHgだったか」だけでなく、左右どちらが高かったか、過去にも指摘されたことがあるかを伝えると診察につながりやすくなります。

一方、眼圧が正常範囲でも、眼底検査で視神経の変化を指摘された場合は緑内障の精密検査が必要になることがあります。眼圧の高低と緑内障の有無は同じ意味ではないため、健診結果に「要精密検査」「眼科受診」などの指示がある場合は、その指示に沿って受診してください。

眼圧検査には空気式と接触式がある

眼圧検査には空気式と接触式がある

眼圧の測定方法には、目に空気を当てる非接触式と、角膜に測定器を触れさせる圧平式などがあります。健診で経験することが多いのは非接触式ですが、眼科では診療目的に応じて測定方法を使い分けます。

方法 測り方 特徴
非接触式 角膜へ短時間の空気を当てて測定 目に器具が直接触れず、短時間で測りやすい方法です。
圧平式 点眼麻酔を使用し、測定器を角膜へ軽く触れさせて測定 眼科で詳しく眼圧を確認するときに用いられます。

非接触式は目に空気を当てて測定する

健康診断や人間ドックでよく行われるのが、ノンコンタクトトノメーター(目に触れずに眼圧を測る機器)による非接触式の眼圧測定です。機械の前に座って顎と額を固定し、正面の目印を見た状態で角膜へ一瞬だけ空気を当てて眼圧を測ります。

器具が角膜に直接触れないため、点眼麻酔を使わずに測定できることが特徴です。空気が突然当たるので驚く人もいますが、検査そのものは短時間です。まばたきや顔の動きで測定が安定しない場合は、同じ目を複数回測ることがあります。

コンタクトレンズを装用している場合は、測定前に受付や検査担当者へ伝えてください。検査方法やレンズの種類に応じて外すよう案内されることがあります。空気が苦手な場合も、目を強く閉じ続けると測定できないため、検査担当者の合図を聞きながら正面を見ると進めやすくなります。

圧平式は角膜に測定器を触れさせて測る

眼科では、アプラネーショントノメーター(角膜を平らにする力から眼圧を測る機器)で角膜に測定器を軽く触れさせ、眼圧を測る方法も使われます。通常は角膜の感覚を一時的に弱める点眼麻酔を使用してから測定するため、検査中は医師やスタッフの指示どおりに視線を保ちます。

非接触式と圧平式は、どちらも眼圧を測るための方法です。ただし、同じ人でも測定方法や測定時の条件によって値に差が出ることがあります。健診の数値と眼科での数値が完全に一致しない場合もあるため、数値の違いだけで状態が悪化したと判断しないことが大切です。

健診で高い値が出た場合や緑内障の経過観察中は、眼科でその人に合った方法を使って再評価されます。測定方法の違いよりも、同じ条件での経過や視神経・視野の変化を合わせて確認することが重要です。検査名が分からないときは、結果票や診療明細を持参すると受診先で情報を共有しやすくなります。

眼圧は時間帯や測定条件によって変動する

眼圧は常に同じ値ではなく、1日の中でも変動します。日本眼科医会では、眼圧には日内変動があり、1回の測定だけではその人の眼圧を十分に把握できない場合があると説明しています。1回の数値だけで良し悪しを決めないことが大切です。

測定時に強く目を閉じたり、顔や顎の位置がずれたりすると、機器で測り直すことがあります。また、眼圧の評価では角膜の状態なども考慮されます。健診で前回と違う数値が出ても、その差だけを見て病気の進行と結び付けるのではなく、再測定や他の検査を含めて確認します。

緑内障の経過観察では、医師が必要と判断すれば複数回の眼圧測定を行い、治療前の値や過去の値と比べます。測定値を受け取ったら、単に正常範囲かどうかだけでなく「前回と比べてどうか」「視野や眼底に変化がないか」まで確認すると、眼圧検査の結果を次の診療につなげられます。

緑内障検査では眼圧だけで診断しない

緑内障検査では眼圧だけで診断しない

緑内障の診断では、眼圧検査に加えて眼底検査や視野検査などを組み合わせます。正常眼圧緑内障があるため、眼圧が10~20mmHgに入っていることだけを理由に緑内障を否定することはできません。

主な検査 確認する内容 緑内障評価での役割
眼圧検査 眼球内の圧力 眼圧の高さや治療前後の変化を確認します。
眼底検査 視神経乳頭など目の奥の状態 緑内障に特徴的な視神経の変化がないか確認します。
OCT(光干渉断層計) 網膜や視神経周囲の層の厚さ 構造的な変化を画像で詳しく確認します。
視野検査 見える範囲と見えにくい部分 視野障害の有無や進行を確認します。
隅角検査 房水の出口となる隅角 隅角が開いているか閉じているかなどを確認します。

眼底検査とOCTで視神経の構造を確認する

緑内障では、目と脳をつなぐ視神経に障害が起こります。そのため眼底検査では、目の奥にある視神経乳頭(視神経が眼球から出ていく部分)の形を観察し、緑内障を疑う変化がないか確認します。眼圧とは異なる情報を得るための検査です。

さらに、OCT(光干渉断層計)を使うと、網膜や視神経周囲の層の厚さを断層画像として確認できます。日本眼科学会は、緑内障の診断に眼圧検査だけでなく、眼底検査やOCT、視野検査などを用いるとしています。構造の変化を確認することで、眼圧が正常範囲の人でも緑内障が疑われることがあります。

眼底検査で何を見るのか、検査方法や結果から分かることは別記事で詳しく説明しています。眼圧検査と眼底検査は測っている対象が異なるため、どちらか一方で代用するのではなく、健診や眼科で必要とされた検査を受けてください。

視野検査で見えにくい範囲を調べる

視野検査は、正面を見た状態でどの範囲まで見えているか、見えにくくなっている部分がないかを調べる検査です。緑内障では視神経の障害に伴って視野が欠けていくため、視野の異常がある場所と程度を確認するために行われます。

初期から中期の緑内障では、視野検査で異常が検出されても本人が見えにくさを自覚していないことがあります。片方の目の見えにくい部分をもう片方の目で補うこともあるため、「普段は見えているから検査は不要」とは判断できません。眼底検査などで緑内障が疑われた場合は、眼科医の指示に沿って視野検査を受けます。

経過観察中は、同じ種類の視野検査を定期的に行い、以前の結果と比べて変化がないかを見ます。眼圧が下がっていても視野障害が進む場合があるため、眼圧と視野は別々に確認する必要があります。検査結果を受け取った際は、現在の異常の有無だけでなく、前回から変化しているかも医師に確認しましょう。

隅角検査などを加えて緑内障の種類を確認する

緑内障には、房水の出口である隅角が開いているタイプと、狭くなったり閉じたりするタイプがあります。隅角検査では専用のレンズを目に当て、房水の出口がどのような状態かを観察します。緑内障の種類を確認するうえで重要な検査です。

日本眼科学会では、緑内障の診断に視力検査、眼圧検査、細隙灯顕微鏡検査(目の前方を拡大して観察する検査)、隅角検査、眼底検査、OCT、視野検査などを用いるとしています。実際にどの検査まで行うかは、健診結果、眼圧、視神経の所見、症状などを踏まえて眼科医が決めます。

「緑内障検査を受けたい」と考えている場合は、眼圧だけを測る検査なのか、眼底や視野まで確認するのかを事前に確認してください。人間ドックや健診のオプションでは検査項目が施設ごとに異なるため、緑内障を詳しく確認したい場合は眼科での精密検査が必要になることがあります。

眼圧検査の費用は保険診療と健診で異なる

眼圧検査の費用は保険診療と健診で異なる

保険診療で行う精密眼圧測定は82点で、検査そのものの診療報酬は820円です。実際の窓口負担は自己負担割合で変わり、初診料・再診料や他の検査費用が別に加わります。

自己負担割合 精密眼圧測定82点だけを計算した概算
3割負担 約250円
2割負担 約160円
1割負担 約80円

※1点10円として82点=820円を基に算出した検査項目単体の概算です。実際の窓口負担額は診察料、他の検査、端数処理などで異なります。

保険診療の精密眼圧測定は82点で算定される

厚生労働省の令和8年度診療報酬点数表では、D264「精密眼圧測定」は82点です。診療報酬は原則1点10円で計算されるため、検査そのものは820円となり、3割負担なら単純計算で246円です。表では分かりやすく約250円としています。

ただし、眼科を受診したときに支払う金額が約250円だけになるわけではありません。初診料または再診料のほか、視力検査、眼底検査、OCT、視野検査など、診察で必要と判断された検査の費用が加わる場合があります。薬が処方されれば薬剤に関する費用も別途かかります。

また、保険が適用されるかどうかは「眼圧を測る検査名」だけで決まるものではなく、症状や健診での異常指摘など、診療として必要性があるかによって扱いが変わります。受診前に総額を知りたい場合は、医療機関へ検査内容と費用の目安を確認してください。

健康診断や人間ドックの眼圧検査は施設ごとに料金が異なる

症状がなく、健康診断や人間ドックの項目として眼圧検査を受ける場合は、保険診療とは料金の考え方が異なります。健診料金に最初から含まれている施設もあれば、眼科系のオプションとして追加する施設もあり、自費の料金は一律ではありません。

予約前には「眼圧だけを測るのか」「眼底検査も含まれるのか」「OCTや視野検査まで含むのか」を確認してください。同じ「目の検査」「緑内障検査」という名称でも、含まれる検査項目が異なれば料金も変わります。眼圧だけで緑内障を診断できないため、目的が緑内障の詳しい確認であれば検査内容まで見る必要があります。

健康診断全体の費用や自費になるケースについては、別記事で整理しています。眼圧検査の料金だけで施設を比べず、必要な検査が含まれているかまで確認すると、受診後に追加検査が必要になった理由も理解しやすくなります。

緑内障の精密検査では複数の検査費用が加わる

緑内障が疑われて眼科を受診すると、眼圧検査だけでなく、眼底検査やOCT、視野検査、隅角検査などが必要になることがあります。そのため、「眼圧検査の費用」と「緑内障を詳しく調べる受診全体の費用」は分けて考える必要があります。

どの検査を行うかは、眼圧の値、視神経の状態、視野の異常、過去の検査結果などによって異なります。全員が同じ検査を同じ日に受けるわけではないため、緑内障精査の窓口負担を一律の金額で示すことはできません。検査予約が別日になる場合もあります。

費用を確認するときは、自己負担割合に加え、初診か再診か、当日にどの検査を行う予定かを医療機関へ伝えてください。健診結果を持参すると、異常を指摘された項目が伝わりやすくなります。費用だけを理由に必要な精密検査を中断せず、負担が気になる場合は検査の優先順位を医師へ相談しましょう。

検査結果を受けた後は数値だけで自己判断しない

検査結果を受けた後は数値だけで自己判断しない

眼圧が高いと指摘された人も、正常範囲だった人も、眼圧の数字だけで緑内障の有無を決めないことが大切です。健診結果の判定、眼底所見、症状、年齢などを合わせて、必要な場合は眼科で評価を受けます。

眼圧が高いと指摘されたら眼科で再評価を受ける

健診で眼圧が20mmHgを超えるなど高い値を指摘された場合は、眼科で再評価を受けてください。日本眼科学会では10~20mmHgを通常の正常範囲としていますが、高い値が出たことだけで緑内障と確定するわけではありません。

眼科では眼圧を測り直し、眼底や視野などに緑内障を疑う変化がないかを確認します。高い眼圧が続いていても視神経や視野に変化がみられない場合と、緑内障による変化が確認される場合では、その後の対応が異なります。過去の健診結果がある人は、今回の結果と一緒に持参してください。

特に、結果票に「要精密検査」「要受診」などの記載がある場合は、自覚症状がなくても受診します。慢性の緑内障は初期に自覚症状が乏しいため、見え方に困っていないことは受診を見送る理由にはなりません。健診の役割は診断を確定することではなく、必要な精密検査につなげることです。

眼圧が正常でも40歳以降は眼の状態を定期的に確認する

日本眼科学会によると、40歳以上の緑内障有病率は約5%で、多くの緑内障患者は眼圧が正常範囲内でした。そのため「眼圧が正常だから緑内障の心配はない」と考えるのではなく、眼底を含む眼の状態も確認することが重要です。

緑内障は年齢とともに増え、初期には視野の欠けを自覚しにくい病気です。40歳を過ぎたら、健診の機会や眼科受診の際に、眼底検査などを含めて定期的に目の状態を確認してください。家族に緑内障の人がいる、強い近視があるなど、気になる点がある場合は眼科で相談できます。

すでに眼底検査で緑内障疑いを指摘されている場合は、眼圧が正常でも精密検査を受けます。正常眼圧緑内障を見逃さないためには、眼圧と視神経・視野を別々に確認する視点が必要です。過去に異常なしだった人も、その後ずっと異常が起こらないことを意味するわけではありません。

急な目の痛みや見え方の異常と強い頭痛は早急に受診する

緑内障の多くはゆっくり進みますが、房水の出口である隅角が急に閉じると、急性緑内障発作が起こることがあります。日本眼科学会では、急激な眼圧上昇により眼痛、視力低下、吐き気、嘔吐などが生じると説明しています。

日本眼科医会も、急性発作では眼圧が急激に上がり、見え方の異常に加えて強い頭痛や目の痛みを伴うとしています。このような症状が突然現れた場合は、次回の健診まで待たず、早急に眼科などの医療機関を受診してください。夜間や休日で受診先が分からない場合は、地域の救急相談窓口などを利用して受診先を確認します。

一方、健診で眼圧が少し高いと指摘されただけで、急性発作が起きていると決まるわけではありません。緊急性は数値だけでなく症状と合わせて考えます。急な強い症状があるときは早急な受診、症状がなく健診で異常を指摘されたときは結果票の指示に沿った眼科受診、と行動を分けてください。

眼圧検査は緑内障を調べる検査の一部として活用する

眼圧検査とは、目の中の圧力を測る検査です。一般的な正常範囲は10~20mmHgですが、正常範囲でも緑内障が存在する場合があります。眼圧だけで緑内障の有無を判断せず、眼底検査や視野検査などの結果も合わせて確認することが大切です。

保険診療の精密眼圧測定は82点で、検査項目単体では820円です。3割負担なら単純計算で約250円ですが、実際の受診では診察料や他の検査費用が加わります。健康診断や人間ドックで受ける場合は、施設ごとに料金と検査内容が異なります。

健診で眼圧高値や眼底異常を指摘された場合は、結果票を持って眼科を受診してください。眼圧が正常だった場合も、40歳以降は眼底を含む眼の状態を定期的に確認し、急な目の痛みや見え方の異常、強い頭痛などが出た場合は早急に医療機関へ相談しましょう。