基本健診項目とは?20代・30代・40歳以上の必須項目を年齢別に解説

会社の健康診断を予約するとき、「基本健診項目とはどこまで含むのか」「20代と30代、40歳以上で必須項目は変わるのか」と迷う方もいるでしょう。

「基本健診」は法律で統一されたコース名ではなく、医療機関や自治体によって指す内容が異なる場合があります。会社の定期健康診断では、年齢によって医師が省略できる検査項目にも違いがあります。

とくに35歳と40歳以上は、貧血・肝機能・血中脂質・血糖・心電図を年齢だけを理由に省略できません。また、20歳・25歳・30歳・35歳は胸部エックス線検査の扱いにも注意が必要です。

この記事では、労働安全衛生規則に基づく会社の定期健康診断を中心に、健康診断の検査項目を年齢別に整理します。自分が受ける健診に必要な項目が含まれているか、予約前に確認できるようになります。

基本健診項目とは健診の種類によって指す内容が異なる

「基本健診項目」という言葉だけでは、全国共通の検査内容を特定できません。まずは、会社の法定健診なのか、自治体の健診なのか、医療機関独自の健診コースなのかを確認しましょう。

「基本健診」は全国共通の法定コース名ではない

労働安全衛生規則では、会社が常時使用する労働者に対して行う健診を「定期健康診断」と定めています。一方で、「基本健診」という名称の全国共通コースが法律で定められているわけではありません。

医療機関では、身体測定・血圧・尿検査などを含む簡易的なコースを「基本健診」と呼ぶ場合があります。自治体でも、一定の年齢や保険加入条件を対象にした独自の健康診査を「基本健診」と案内するケースがあります。

そのため、「基本健診を受ければ会社へ提出できる」とコース名だけで判断すると、胸部エックス線や血液検査、心電図などが不足する可能性があります。会社へ提出する健康診断の場合は、会社から指定された検査項目と医療機関のコース内容を1項目ずつ照合してください。

この記事では、検索する方が確認したいことの多い労働安全衛生規則第44条の定期健康診断を中心に説明します。自治体健診や人間ドックでは検査内容が異なるため、受診案内に記載された項目を確認しましょう。

会社の定期健康診断には11区分の法定項目がある

会社が常時使用する労働者に行う定期健康診断では、労働安全衛生規則第44条に検査項目が定められています。検査項目は大きく11区分ですが、身体測定や血液検査の中には複数の検査が含まれます。

法定項目 主に行う内容
既往歴・業務歴の調査 過去の病気や治療歴、仕事内容などを確認
自覚症状・他覚症状の有無 本人が感じている症状と医師の診察で確認できる所見を確認
身体測定など 身長、体重、腹囲、視力、聴力
胸部エックス線・喀痰検査 胸部エックス線撮影と、必要な場合の喀痰検査
血圧測定 収縮期血圧・拡張期血圧を測定
貧血検査 血色素量、赤血球数
肝機能検査 GOT、GPT、γ-GTP
血中脂質検査 LDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪
血糖検査 血糖値などを確認
尿検査 尿糖、尿蛋白
心電図検査 心臓の電気的な活動を記録

11区分すべてが、すべての年齢で同じように実施されるとは限りません。定期健康診断では、厚生労働省が定める条件に該当し、さらに医師が必要でないと認めた場合、一部を省略できます。

問診で確認される既往歴や服薬歴などを詳しく知りたい場合は、健康診断の問診についてまとめた記事も確認してください。

尿検査については、検査結果に記載される尿糖や尿蛋白の意味を別の記事で詳しく解説しています。

定期健康診断と雇入れ時健康診断では省略ルールが異なる

年齢別の省略基準が設けられているのは、会社で毎年受ける定期健康診断です。入社時に行う雇入れ時健康診断では、「20代だから採血を省く」といった年齢による省略は原則としてできません。

雇入れ時健康診断では、既往歴・業務歴、身体測定、胸部エックス線、血圧、貧血、肝機能、血中脂質、血糖、尿検査、心電図などの法定項目を確認します。若い方でも、定期健診と同じ省略基準で予約しないよう注意が必要です。

ただし、雇い入れ前3か月以内に医師による健康診断を受け、結果を証明する書面を提出した場合は、同じ検査項目を省略できることがあります。年齢を理由とする省略とは仕組みが異なります。

転職や新卒入社で会社から健診を指定されている場合は、一般的な「基本健診」ではなく、雇入れ時健康診断に対応したコースかを確認してください。

健康診断の必須項目は20代・30代・40歳以上で異なる

定期健康診断では、年齢によって省略できる項目が異なります。とくに20歳・25歳・30歳・35歳と、35歳・40歳以上の扱いを分けて確認することが大切です。

年齢 貧血・肝機能・脂質・血糖・心電図 胸部エックス線 腹囲 年齢による主な違い
20歳 年齢を理由に省略不可 胸部エックス線の節目年齢
21〜24歳 複数項目が省略対象になり得る
25歳 年齢を理由に省略不可 胸部エックス線の節目年齢
26〜29歳 複数項目が省略対象になり得る
30歳 年齢を理由に省略不可 胸部エックス線の節目年齢
31〜34歳 複数項目が省略対象になり得る
35歳 年齢を理由に省略不可 年齢を理由に省略不可 年齢を理由に省略不可 30代の中でも扱いが異なる
36〜39歳 複数項目が省略対象になり得る
40歳以上 年齢を理由に省略不可 年齢を理由に省略不可 年齢を理由に省略不可 血液検査・心電図なども年齢による省略対象外

※「△」は自動的に省略されるという意味ではありません。厚生労働省が定める条件に該当し、医師が必要でないと認めた場合に限り省略できます。

※腹囲は年齢以外にも、妊娠中で内臓脂肪の蓄積を反映していないと診断された場合、BMIが20未満の場合などに省略できる条件があります。

※胸部エックス線は、40歳未満でも結核に関する定期健康診断の対象となる施設で働く方や、じん肺健康診断の対象となる方などでは省略条件が異なります。

20代は20歳・25歳とそれ以外で胸部エックス線の扱いが異なる

20代では、20歳と25歳が胸部エックス線検査の節目年齢です。20歳と25歳は、年齢を理由として胸部エックス線検査を省略する対象には含まれません。

一方、21〜24歳や26〜29歳では、一定の条件に該当せず、医師が必要でないと認めた場合に胸部エックス線検査を省略できます。つまり、「20代はレントゲン不要」と年齢層だけでまとめることはできません。

貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査、心電図検査については、40歳未満かつ35歳ではないため、医師が必要でないと認める場合に省略できます。ただし、本人の希望だけで自由に外せる仕組みではありません。

また、身長は20歳以上であれば医師の判断による省略対象です。体重、視力、聴力、血圧、尿検査などは年齢だけを理由とした省略項目には含まれないため、「若いから簡易コースでよい」と自己判断せず、会社が求める項目を確認してください。

30代は35歳だけ血液検査・心電図の扱いが変わる

30代では、35歳が大きな区切りになります。30〜34歳と36〜39歳では、貧血・肝機能・血中脂質・血糖・心電図を医師が必要でないと認めた場合に省略できますが、35歳はこの年齢による省略対象から外れます。

胸部エックス線検査では、30歳と35歳が節目年齢です。30歳は血液検査や心電図を省略できる可能性がある一方、胸部エックス線については年齢を理由に省略する対象ではありません。同じ30代でも、30歳・35歳・それ以外で組み合わせが異なります。

腹囲についても、40歳未満では原則として医師の判断による省略対象ですが、35歳は年齢による省略条件から除外されています。ただし、BMIや妊娠など年齢とは別の省略条件に該当する場合があります。

医療機関では「35歳・40歳以上向け法定健診」「40歳未満・35歳除く」などにコースが分かれている場合があります。予約日ではなく、健診で適用される年齢条件を会社や健診機関に確認してからコースを選びましょう。

40歳以上は血液検査・心電図・胸部エックス線を年齢では省略できない

40歳以上では、貧血検査・肝機能検査・血中脂質検査・血糖検査・心電図検査を、年齢を理由に省略できません。40歳未満の一部で認められている年齢による省略基準から外れるためです。

胸部エックス線検査についても、40歳以上は年齢による省略対象ではありません。そのため、40歳未満向けの簡易健診から40歳以上向けの法定健診へ変わると、採血・心電図・胸部エックス線などが加わり、検査数が増えたように感じることがあります。

腹囲も40歳以上では年齢を理由に省略できません。ただし、BMIが20未満の場合や、妊娠中など腹囲が内臓脂肪の蓄積を反映していないと診断された場合など、年齢以外の条件によって医師が省略できるケースがあります。

なお、35歳や40歳以上で「年齢による省略不可」とされている項目でも、直近に別の法定健康診断を受けて同等項目を実施している場合など、労働安全衛生規則で別の省略規定が適用されるケースがあります。受診者自身で項目を削らず、会社と健診機関へ確認してください。

2027年4月から法定健診の検査項目が一部変更される

2026年8月31日時点では、現在の定期健康診断の項目が適用されています。ただし、厚生労働省は2026年4月28日に制度改正を公布しており、2027年4月1日から一般健康診断の項目が一部変更されます。

血清クレアチニン検査が新たに追加される

2027年4月1日から、一般健康診断に血清クレアチニン検査が追加されます。血清クレアチニンは血液中のクレアチニン濃度を測定し、腎臓の働きを確認するために用いられる検査です。

厚生労働省は、長時間労働と慢性腎臓病の発症リスクとの関係や、既存の健診項目だけでは把握できない腎機能低下者を確認することなどを踏まえ、検査項目への追加を決めています。

定期健康診断では、40歳未満の方については、医師が必要でないと認めた場合に血清クレアチニン検査を省略できる基準も設けられます。40歳以上は年齢による省略対象には含まれません。

2027年4月以降に会社の健康診断を受ける場合は、前年と同じコース名でも検査項目が変更される可能性があります。会社や健診機関から届く最新の案内を確認してください。

現在の法定項目に含まれる喀痰検査は削除される

現在の定期健康診断では、胸部エックス線検査とともに喀痰検査が法定項目として規定されています。ただし、胸部エックス線で病変が見つからない場合などには省略できるため、すべての受診者が毎年受けている検査ではありません。

2027年4月1日からは、定期健康診断などの法定項目から喀痰検査が削除されます。厚生労働省は、胸部エックス線の結果から結核感染が疑われる場合には、健診機関で喀痰検査を待つのではなく、速やかに医療機関への受診を促すことが適切としています。

そのため、2027年4月以降の法定健診では「喀痰検査が項目から消えたから検査不足」という扱いにはなりません。受診する時点の制度に合わせて、会社や医療機関が指定する項目を確認しましょう。

一方、胸部エックス線検査そのものが法定項目からなくなるわけではありません。喀痰検査の削除と胸部エックス線検査の省略基準を混同しないよう注意してください。

肝機能検査はGOT・GPT・γ-GTPからAST・ALT・γ-GT表記へ変わる

2027年4月1日からは、肝機能検査の酵素名についても表記が変更されます。GOTはAST、GPTはALT、γ-GTPはγ-GTという名称へ変更されます。

これは検査そのものを別の検査へ置き換える変更ではなく、国際的な名称に合わせて表記を改めるものです。過去の健康診断結果で「GOT」「GPT」と記載されていた項目が、新しい結果票では「AST」「ALT」と記載される場合があります。

厚生労働省は、受診者や事業者が旧名称の方を理解しやすい場合には、新名称と旧名称を併記しても差し支えないとしています。そのため、制度変更後もしばらくは「AST(GOT)」などの表記が使われる可能性があります。

前年と名称が変わっていても、名称だけを見て「新しい検査が追加された」と考えず、結果票の項目説明を確認してください。一方、血清クレアチニン検査は新たに追加される検査のため、肝機能検査の名称変更とは区別が必要です。

基本健診を予約するときは年齢だけでなく健診の種類と指定項目を確認する

健康診断の必要項目は、「何歳か」だけでは確定しません。受ける健診の種類、会社の指定、医師による省略の可否まで確認してから予約しましょう。

「法定健診」「基本健診」というコース名だけで決めない

医療機関の健診コースには、「基本健診」「定期健診A」「定期健診B」「法定健診」など、さまざまな名称があります。コース名だけでは、会社が求める検査がすべて含まれているか確認できません。

予約前には、既往歴・業務歴、診察、身体測定、胸部エックス線、血圧、血液検査、尿検査、心電図など、会社から指定された項目と医療機関の検査一覧を照合してください。

とくに40歳未満向けの簡易コースでは、血液検査や心電図が含まれていないことがあります。年齢上は省略できる可能性があっても、実際に省略するには厚生労働省の基準に該当し、医師が必要でないと認めることが必要です。

会社が全従業員に同じ検査項目を指定している場合もあります。最も項目数が少ないコースを探すのではなく、提出先が求めている項目を満たすコースを選んでください。

会社独自の追加項目や提出書式も予約前に確認する

法定項目を満たしていても、会社が独自に追加検査や指定書式を設けている場合があります。たとえば業務内容によっては一般健康診断とは別の特殊健康診断が必要になり、会社独自の検査項目が追加されることもあります。

予約前には、会社指定の医療機関、検査項目、結果票の書式、提出期限を確認してください。指定用紙がある場合は、医療機関へ持ち込んで記入してもらえるか、別途文書料が必要かも確認すると再受診を防ぎやすくなります。

また、健康診断の対象年齢をどの時点で判定するかについても、会社や健診機関の案内に従ってください。「現在34歳だが健診時には35歳になる」といった場合は、どちらのコースを予約するか自己判断せず問い合わせましょう。

検査項目が足りないまま受診すると、結果票を提出した後に不足を指摘され、別日に採血や心電図を受け直す可能性があります。会社から受け取った案内を予約時に医療機関へ共有すると確認しやすくなります。

血液検査がある場合は食事に関する案内も確認する

35歳や40歳以上など、血糖検査や血中脂質検査を受ける場合は、食事について健診機関から指示されることがあります。食事の影響を受ける検査が含まれるため、受付時間や検査方法に応じて「何時間前から食べないでください」と案内される場合があります。

ただし、健康診断前に必要な絶食時間は、受ける検査や医療機関の運用によって異なります。「健康診断だから前日の夜から何も食べない」と一律に決めず、予約先から届いた案内を確認してください。

服用中の薬についても、自分の判断で中止せず、事前に医療機関や処方した医師へ確認してください。健診のために普段の治療を変更すると、健康状態へ影響する可能性があります。

健康診断の前日・当日の食事や飲酒については別の記事で詳しく解説しています。血液検査を予定している方は、受診前に確認してください。

年齢別の省略条件を確認して必要な検査を受ける

基本健診項目という名称だけでは検査内容を特定できないため、会社の健康診断では労働安全衛生規則に基づく定期健康診断なのかを確認してください。

20代では20歳・25歳、30代では30歳・35歳が胸部エックス線の節目年齢です。貧血・肝機能・血中脂質・血糖・心電図は、40歳未満でも35歳だけ年齢による省略対象から外れます。40歳以上も同様に、これらの項目を年齢だけを理由に省略できません。

年齢別の健康診断で確認するポイント
  • 「基本健診」というコース名だけで検査内容を判断しない
  • 20歳・25歳・30歳・35歳は胸部エックス線の扱いを確認する
  • 35歳は血液検査・心電図を年齢によって省略できない
  • 40歳以上も血液検査・心電図を年齢によって省略できない
  • 省略可能な年齢でも本人の希望だけで検査を外さない
  • 会社指定の検査項目・提出書式・期限を予約前に確認する
  • 2027年4月以降は血清クレアチニン追加などの新制度を確認する

なお、年齢による省略条件だけで実際の検査内容を決めることはできません。会社の指定や仕事内容、過去の健診状況などによって扱いが異なるため、予約時に会社と健診機関の双方へ確認しましょう。