健康診断や血液検査で「CRPが高い」と表示されると、炎症反応の数値がどの程度なら注意が必要なのか、病気が隠れているのか気になるでしょう。CRP検査は体内の炎症を調べる検査ですが、数値だけで病名は決まりません。
CRP検査の基準値は施設によって異なり、0.30mg/dL以下を基準とする健診がある一方、0.14mg/dLまでを基準範囲とする医療機関もあります。他施設の数字と単純に比べると、結果の意味を誤って受け取るおそれがあります。
確認したいのは、自分の結果票に書かれた基準範囲と判定区分、現在の症状、直近の感染症やけが・手術の有無です。炎症反応の数値が高い原因を順番に整理すると、再検査や受診が必要な状況を把握できます。
CRPの値を単独で病名に結び付けず、症状や経過、ほかの検査結果と合わせて確認すれば、結果票の数字だけに振り回されず、その後に取るべき対応を整理できます。
CRP検査は体内の炎症の有無と変化をみる血液検査
CRPは、体内で炎症や組織の損傷が起きたときに血液中で増えるたんぱく質です。数値の高さだけで病名を決める検査ではなく、炎症の有無や程度、経過を確認するために利用されます。
CRPは炎症や組織損傷で増えるたんぱく質
CRPは「C-reactive protein(C反応性蛋白)」の略称です。感染やけがなどによって体内で炎症が起こると血液中のCRPが増えるため、採血によって炎症反応の状態を調べられます。
日本臨床検査専門医会では、CRPについて、急激な炎症が起こった場合に血液中で増え、外傷や病気による組織の損傷でも上昇すると説明しています。炎症の早期発見だけでなく、その程度や経過をみる目的でも測定されます。
ただし、CRPが高いこと自体が特定の病気を意味するわけではありません。感染症のほか、炎症性疾患、けがや手術などでも上昇するため、「CRPが高い=特定の病気」と考えず、何が原因で上がっているのかを確認する必要があります。
CRPの検査結果を見るときは、数値の大小だけではなく、発熱や痛みなどの症状、最近受けた治療や手術、ほかの血液検査の結果と合わせて確認しましょう。
CRPだけでは病名や炎症の場所を特定できない
CRPは炎症が起きている場所や病名まで示す検査ではありません。日本臨床検査専門医会も、CRPが高値の場合は何らかの炎症が起きていると考えられるものの、どの臓器や部位に原因があるかはCRPだけでは明らかにできないと説明しています。
たとえば、同じ「CRPが高い」という結果でも、発熱やせきがある場合と、けがや手術の直後では医療機関が確認する内容が変わります。症状や経過を聞く問診、診察、白血球数などほかの検査を組み合わせて原因を調べます。
そのため、インターネット上の「CRP○mg/dLなら○○病」といった情報だけで自分の病気を決めるのは避けましょう。CRPは原因を探る入口となる検査であり、数値が基準範囲から外れている場合は、結果票の判定や医療機関からの指示も確認してください。
ほかの血液検査項目も含めた結果票の読み方は、別の記事で詳しく整理しています。
CRPは前回値との変化から炎症の経過も確認する
CRPは一度の測定結果だけでなく、時間がたった後に数値がどう変化したかを確認する目的でも使われます。東京大学保健センターでは、炎症が起こった際にCRPが比較的早く増加し、炎症の経過を知る際にも用いられると説明しています。
たとえば、治療中や経過観察中に複数回CRPを測定すると、炎症反応が前回より上がっているのか、下がっているのかを確認できます。ただし、CRPが下がったという理由だけで治療が不要になったと自己判断できるわけではありません。
CRPの推移は、症状や診察結果、ほかの検査と合わせて医師が評価します。過去にも血液検査を受けている場合は、今回の数値だけを見るのではなく、前回までのCRP値も確認しておくと経過を伝えやすくなります。
炎症を調べる検査には血沈(赤血球沈降速度)もあります。CRPとの違いや血沈の基準値については、既存記事で詳しく解説しています。
CRP検査の基準値は結果票に記載された範囲を優先する
CRPの基準範囲は、すべての医療機関で同じ数値ではありません。0.30mg/dL以下を基準とする健診がある一方、0〜0.14mg/dLを採用する医療機関もあるため、自分の結果票に記載された範囲を確認しましょう。
0.30mg/dL以下を基準範囲とする健診がある
CRP検査の基準値を調べると「0.30mg/dL以下」という数字を見かけることがあります。東京大学保健センターでは、CRPの基準範囲を0.30mg/dL以下としています。
「mg/dL」は血液1dL中に含まれるCRPの量を表す単位です。たとえばCRPが0.20mg/dLで、結果票の基準範囲が0.30mg/dL以下であれば、その施設が設定した基準範囲内に入っています。
ただし、0.30mg/dLという数字を全国共通の境界として扱うのは適切ではありません。検査を行った医療機関や検査会社によって採用している基準範囲が異なるためです。
自分の数値を確認するときは、検索で見つけた基準値より先に、検査結果のCRP欄に書かれている基準範囲と判定を確認してください。
0.14mg/dLまでを基準範囲とする医療機関もある
国立病院機構埼玉病院では、CRPの基準範囲を0〜0.14mg/dLとしています。東京大学保健センターの0.30mg/dL以下とは異なるため、同じCRP検査でも結果票に記載される基準範囲が異なることが分かります。
埼玉病院では、日本臨床検査標準協議会が提唱する共用基準範囲や各学会のガイドラインなどに基づいて、検査項目ごとの基準範囲や臨床判断値を採用しています。このように、医療機関は検査方法や採用する基準に沿って結果を評価します。
そのため、以前は別の医療機関で検査を受けていた場合、今回と前回の数字だけを比べるのではなく、それぞれの結果票に書かれた基準範囲も確認してください。施設が異なる場合は、数値をどのように比較すればよいか医師へ伝えて確認すると確実です。
「0.14を超えたから重大な病気」「0.30以下だから問題ない」と数字だけで結論を出さないことが重要です。症状や経過、結果票の判定まで含めて確認しましょう。
出典:血液検査の解説ガイド|独立行政法人国立病院機構埼玉病院
健診では0.31mg/dL以上から判定が変わる例がある
健康診断では、基準範囲を超えた後の数値について、複数の判定区分を設定している場合があります。東京大学保健センターでは、CRPについて0.30mg/dL以下を「異常なし」、0.31〜0.99mg/dLを「軽度異常」、1.00mg/dL以上を「要精密検査・治療」とする判定基準を示しています。
| 判定 | CRP値 | 区分 |
|---|---|---|
| A | 0.30mg/dL以下 | 異常なし |
| B | 0.31〜0.99mg/dL | 軽度異常 |
| D | 1.00mg/dL以上 | 要精密検査・治療 |
この区分は東京大学保健センターが示す健康診断判定基準の一例です。CRPの数値だけから全国一律に「0.31mg/dL以上ならこの対応」と決められるものではありません。
健康診断を受けた施設によって、基準範囲や判定区分、再検査を勧める条件が異なる場合があります。結果票に「要再検査」「要精密検査」などの記載があれば、CRPの数字だけを自分で読み替えず、記載された指示に従ってください。
CRPの数値が高いときに考えられる主な原因
CRPが高くなる原因は1つではありません。感染症や炎症性疾患のほか、外傷や手術などによる組織の損傷でも上昇します。原因を絞るには、症状や直近の出来事を合わせて確認する必要があります。
細菌やウイルスなどによる感染症
CRPが高いときに確認される原因の1つが感染症です。体内で感染に伴う炎症が起きるとCRPが上昇することがあり、日本臨床検査専門医会でも、感染症はCRPが高くなる代表的な状態の1つとして挙げられています。
発熱だけでなく、せき、のどの痛み、息苦しさ、腹痛、排尿時の痛みなど、感染している場所によって現れる症状は異なります。CRPが高かった場合は、採血時やその前後にどのような症状があったかを振り返ってください。
一方で、CRPだけを見て感染症の種類まで特定することはできません。CRPが高いという結果のみから「細菌感染である」「ウイルス感染である」と区別することもできないため、必要に応じて診察やほかの検査が行われます。
健診前後に風邪などの感染症にかかっていた場合も、その経過を受診先へ伝えましょう。東京大学保健センターでは、風邪などでもCRPが上昇することがあると説明しています。
膠原病などの炎症性疾患
感染症以外では、体内で炎症が続く病気によってCRPが高くなることがあります。日本臨床検査専門医会では、感染症とともに膠原病などの炎症性疾患をCRP上昇時に考えられる状態として挙げています。
膠原病は、免疫の働きが自分自身の組織にも影響し、さまざまな臓器に炎症が生じる病気の総称です。発熱、関節の痛み、皮膚症状などがみられる場合がありますが、症状の種類やCRPの上がり方は疾患や状態によって異なります。
そのため、「CRPが高いから膠原病」と判断することはできません。症状や診察に加え、必要に応じて自己抗体など別の血液検査や画像検査を組み合わせて原因を調べます。
すでに炎症性疾患の治療を受けている場合には、CRPの推移が経過を確認するために使われることもあります。ただし、治療の開始・中止・変更をCRPの数値だけで自己判断せず、担当医の説明を確認してください。
けがや手術などによる組織の損傷
CRPは感染症だけでなく、外傷や手術によって組織が傷ついた場合にも上昇します。CRPは炎症に反応するたんぱく質であり、細菌やウイルスが原因でなくても組織の損傷に伴って増えるためです。
日本臨床検査専門医会では、外傷や手術、病気に伴う組織損傷もCRPが上昇する状態として挙げています。健康診断や採血の直前にけがをした、手術を受けたといった事情があれば、数値を評価するときに確認する必要があります。
そのため、CRPが高かったからといって、すぐに感染症や重大な病気だけを想定する必要はありません。反対に、「最近けがをしたから」と自分で原因を決めて、ほかの症状や健診の指示を無視するのも避けてください。
CRPが高くなった背景を確認する際は、採血前後の体調、発熱や痛みの有無、けがや手術の時期などを時系列で整理して医療機関へ伝えましょう。
CRPが高い結果を受け取ったら数値だけで自己判断しない
CRPが基準範囲を超えていた場合は、数値の高さだけで病気を決めず、症状・経過・結果票の判定を確認します。再検査や精密検査の指示がある場合は、そのままにせず受診へつなげてください。
発熱や痛みなど現在の症状を確認する
CRPの数値を確認したら、まず現在の体調も振り返ります。発熱、せき、のどの痛み、腹痛、関節痛など、炎症の原因につながる症状があるかを合わせて確認してください。
CRPはどこで炎症が起きているかを示さないため、症状の種類や出現した時期が原因を調べる手掛かりになります。「いつから」「どこが」「どのように」つらいのかを整理しておくと、受診時に状況を伝えられます。
特に、息苦しさが強い、意識がもうろうとする、激しい痛みがあるなど体調が明らかに悪化している場合は、健診結果のCRP値だけを見ながら様子をみるのではなく、症状を理由に速やかな医療機関への相談を優先してください。
反対に、自覚症状がなくてもCRPが高く、結果票に再検査や精密検査の指示がある場合は放置しないことが大切です。症状がないことだけを理由に異常なしとは判断できません。
直近の感染症やけがや手術の経過を伝える
受診する際は、CRPの数値に加えて、採血前後の出来事を医療機関へ伝えましょう。最近の感染症、けが、手術などはCRP上昇の背景を考えるうえで重要な情報です。
たとえば、健診の数日前に発熱していた場合や、採血前に手術を受けていた場合は、その時期も合わせて伝えます。症状がすでに改善している場合でも、「いつ症状が始まり、いつ頃落ち着いたか」を伝えると経過を確認できます。
以前の健康診断や通院でCRPを測定している場合は、過去の結果も用意しておきましょう。同じ施設で測定した値であれば、今回だけ高くなったのか、以前から高い状態が続いているのかを確認できます。
ただし、異なる医療機関で受けた検査を比較する場合は、基準範囲の違いにも注意してください。数値だけを書き写すのではなく、可能であれば結果票そのものを持参しましょう。
再検査や精密検査の指示があれば受診する
健康診断でCRPが高く、結果票に「要再検査」「要精密検査」などと書かれている場合は、健診を受けた医療機関やかかりつけ医へ結果票を持参して相談してください。
CRPだけでは原因となる臓器や病気が分からないため、医療機関では問診や診察を行い、必要に応じてほかの血液検査や画像検査などを追加します。再検査では、CRPが一時的に上昇していたのか、炎症反応が続いているのかを確認する場合もあります。
一方、結果票に異常の記載がなくても、発熱や痛みなど気になる症状が続いている場合は、CRPの数値だけを理由に受診を見送らないでください。検査結果と症状は両方を確認する必要があります。
血液検査で調べる主な項目や、それぞれから分かることは別の記事でまとめています。
CRPは基準値からの外れ方と症状の両方を確認する
CRP検査は、体内の炎症や組織損傷に伴って増えるCRPを測定し、炎症の有無や程度、経過を確認する血液検査です。CRPが高くても、数値だけで病名や炎症が起きている場所を特定することはできません。
基準範囲もすべての施設で共通ではありません。0.30mg/dL以下を基準とする健診がある一方、0〜0.14mg/dLを採用している医療機関もあるため、まず自分の結果票に記載された基準範囲と判定区分を確認してください。
炎症反応の数値が高い場合は、感染症や炎症性疾患だけでなく、けがや手術なども含めて背景を確認します。現在の症状や採血前後の体調、過去のCRP値を整理し、再検査や精密検査の指示があれば医療機関へ結果票を持参しましょう。
CRPは「高いか低いか」だけを見るのではなく、自分の基準範囲、症状、これまでの経過、ほかの検査結果を合わせて確認することが大切です。




