男性のホルモン検査とは

男性のホルモン検査を受けたいものの、男性ホルモン検査の費用や保険適用、どこで受けられるのかが分からず、受診を迷っている方もいるでしょう。

男性更年期の評価で調べるテストステロンには日内変動があり、採血する時間によって値が変化します。また、症状がある場合と健康確認を目的とする場合では、保険診療か自費診療かが異なることがあります。

男性のホルモン検査で調べる項目、採血に適した時間、数値の見方、費用と保険適用、受診できる診療科を整理します。自分の目的に合う受診先と、予約前に確認する内容が分かります。

男性のホルモン検査ではテストステロンを中心に確認する

男性のホルモン検査ではテストステロンを中心に確認する

男性更年期などを調べるホルモン検査では、血液中の総テストステロンや遊離テストステロンを中心に確認します。必要に応じてLHやFSH、プロラクチンなどが追加されます。

総テストステロンで血液中に存在するテストステロン全体を調べる

総テストステロンは、血液中に存在するテストステロンをまとめて測定する検査です。テストステロンは主に精巣のライディッヒ細胞で作られる男性ホルモンで、性機能だけでなく、筋肉や骨、造血、精神機能などにも関係しています。

血液中のテストステロンには、SHBG(性ホルモン結合グロブリンというたんぱく質)と結合したもの、アルブミンと結合したもの、たんぱく質と結合していない遊離型があります。総テストステロンは、これらを合わせた量を確認する検査です。

男性更年期の症状がある場合、まず総テストステロンを確認し、その結果や症状に応じてほかのホルモン検査を組み合わせます。ただし、テストステロンが低いという結果だけで男性更年期と決まるわけではありません。疲労感や性欲低下、勃起機能の変化などの症状も合わせて評価します。

遊離テストステロンではたんぱく質と結合していない部分を測定する

遊離テストステロンは、血液中でSHBGやアルブミンなどのたんぱく質と結合せずに存在しているテストステロンです。日本メンズヘルス医学会によると、血中テストステロンのうち遊離型が占める割合は約1〜2%です。

総テストステロンと遊離テストステロンは同じ情報を示す検査ではありません。加齢に伴ってSHBGの量が変化すると、総テストステロンの値だけでは体内のテストステロンの状態を十分に把握できないケースがあります。

そのため、男性更年期が疑われる場合には、総テストステロンに加えて遊離テストステロンを測ることがあります。どちらを測定するか、両方を測定するかは症状や医療機関の診療方針によって異なるため、検査を予約するときは「総テストステロン」「遊離テストステロン」のどちらが検査項目に含まれるかを確認しましょう。

LHやFSHなどを追加して男性ホルモン低下の背景を確認する

テストステロンが低い場合には、LH(黄体形成ホルモン)やFSH(卵胞刺激ホルモン)などを追加して調べることがあります。LHとFSHは脳の下垂体から分泌され、精巣の働きを調節するホルモンです。

テストステロン値だけでは、「男性ホルモンが低い」という状態までは分かっても、その背景まで特定できるとは限りません。LHやFSHなどを組み合わせることで、精巣やホルモン分泌を調節する仕組みを含めて評価します。

男性更年期向けの検査コースでは、プロラクチンやPSA、肝機能、腎機能、脂質などを一緒に調べる医療機関もあります。一方、単純にテストステロン値を確認する検査では項目数が少ない場合があります。料金だけでなく、何の項目が含まれているのかまで確認して比較しましょう。

主な検査項目 確認する内容 特徴
総テストステロン 血液中のテストステロン全体 男性ホルモンの状態を確認する主要な検査
遊離テストステロン たんぱく質と結合していないテストステロン 総テストステロンと合わせて評価されることがある
LH 下垂体から分泌されるホルモン 精巣へのホルモン分泌の指令を確認する
FSH 下垂体から分泌されるホルモン 精巣機能などを評価するときに追加されることがある
プロラクチン 下垂体から分泌されるホルモン 性機能やホルモン異常の評価で追加されることがある

男性ホルモン以外を含むホルモン検査全般の種類や検査内容は、別の記事で詳しく紹介しています。

男性ホルモン検査は午前中に採血して症状と数値を合わせて評価する

男性ホルモン検査は午前中に採血して症状と数値を合わせて評価する

テストステロンには日内変動があるため、男性ホルモン検査は午前中の採血が推奨されています。検査結果は数値だけで判断せず、身体・精神・性機能に関する症状と合わせて確認します。

テストステロンは午前8時から11時ごろの採血が望ましい

テストステロンは1日の中で血中濃度が変化するホルモンです。日本メンズヘルス医学会は、総テストステロンと遊離テストステロンの双方に日内変動があり、午前中は比較的高く安定し、夕方から深夜にかけて低下すると説明しています。

順天堂大学・順天堂医院泌尿器科では、テストステロンの採血は午前8時から11時までが望ましいとしています。午後や夕方に測定すると、日内変動による低下が検査結果へ影響する可能性があります。

男性ホルモン検査を予約するときは、検査を実施しているかだけでなく、採血できる時間帯を確認しましょう。医療機関から採血時間を指定された場合は、その時間に合わせます。過去の検査結果と比較する場合も、採血した時間が異なる点を考慮する必要があります。

総テストステロン250ng/dLと遊離テストステロン7.5pg/mLが示されている

日本泌尿器科学会と日本メンズヘルス医学会による2022年のLOH症候群(加齢男性・性腺機能低下症)診療の手引きでは、総テストステロン250ng/dL、遊離テストステロン7.5pg/mLという数値が示されています。

ただし、テストステロンの数値だけで男性更年期の有無を決めるものではありません。日本メンズヘルス医学会も、テストステロン値には個人差があり、臨床症状を含めて総合的に判断することが重要としています。

検査結果の用紙には医療機関や検査会社が設定した基準範囲が記載されていることもあります。結果が基準範囲から外れていても自己判断で病名を決めたり、反対に基準範囲内だから問題がないと決めたりせず、症状と検査結果を医師と一緒に確認してください。

疲労感や性機能の変化などの症状も合わせて確認する

LOH症候群では、全身の倦怠感、意欲低下、性欲低下、勃起障害、不眠、集中力低下など、身体・精神・性機能にまたがる症状がみられます。症状の評価にはAMS(男性更年期症状を17項目で確認する質問票)が使われることがあります。

一方で、疲労感や気分の落ち込みなどは男性ホルモンの低下だけで起こる症状ではありません。テストステロン値と症状の両方を確認し、必要に応じて別の病気がないか調べることが必要です。

テストステロンが低く、性欲低下や勃起機能の変化、強い疲労感などが続いている場合は検査を受けた医療機関で結果説明を受けましょう。反対に、テストステロン値が基準範囲内でも症状が強く続く場合は、数値だけを理由に受診を終えず、症状の原因について診察を受けてください。

男性ホルモン検査の費用は自費か保険診療かで大きく異なる

男性ホルモン検査の費用は自費か保険診療かで大きく異なる

男性ホルモン検査の費用は、単項目の血液検査か複数項目を含む検査コースか、さらに保険診療か自費診療かによって変わります。表示料金だけでなく診察料の有無も確認しましょう。

自費では単項目3,500〜4,500円や12,000円の検査コース例がある

男性ホルモン検査を健康確認やスクリーニング目的で受ける場合、自費診療として提供している医療機関があります。自費診療は医療機関ごとに料金を設定できるため、全国一律の金額ではありません。

2026年9月9日に医療機関の公式サイトを確認したところ、遊離テストステロンを3,500円、総テストステロンを4,500円で実施する例がありました。また、問診や複数の血液検査を含む男性更年期ドックを12,000円で実施する例もあります。

単項目の料金が安く見えても、初診料や再診料、結果説明料などが別途必要な医療機関があります。反対に、検査コースでは問診や複数の検査が料金に含まれることがあります。予約時には「検査料だけの金額か」「診察・結果説明まで含むか」を確認してください。

自費検査の例 確認できた料金例 確認したい点
遊離テストステロン単項目 3,500円 診察料などが別途必要か確認
総テストステロン単項目 4,500円 検査結果の説明方法も確認
男性更年期ドック 12,000円 問診やほかの血液検査を含む場合がある

※上記は2026年9月9日時点で確認した医療機関の料金例であり、全国一律の料金ではありません。受診する医療機関の最新料金を確認してください。

男性ホルモン検査の保険適用は受診目的と診療上の必要性で変わる

男性ホルモン検査は、「テストステロンという検査項目があるから必ず保険適用になる」という仕組みではありません。症状があり、医師が病気の診断や診療に必要と判断して保険診療として検査するケースがあります。

一方、症状がなく健康状態を確認するために自分の希望で受ける検査や、人間ドック・男性更年期ドックなどは自費診療として提供されることがあります。同じテストステロン測定でも、受診目的や医療機関の診療体制によって扱いが異なります。

保険適用を希望する場合は、予約時に「男性更年期の症状について診察を受けたい」と伝え、現在困っている症状を説明しましょう。「テストステロンだけ測りたい」という希望検査では自費になる可能性があります。保険証を持参しても、自費検査が自動的に保険診療へ変わるわけではありません。

2026年度の診療報酬ではテストステロン119点、遊離テストステロン156点

厚生労働省の2026年度医科診療報酬点数表では、内分泌学的検査としてテストステロンは119点、遊離テストステロンは156点と定められています。LHとFSHは105点、プロラクチンは98点です。

ただし、診療報酬点数表の点数を見ただけでは、実際に窓口で支払う総額は分かりません。診察料や採血に関する費用、検体検査判断料などが加わることがあり、複数の内分泌検査を同時に行った場合には項目数による包括的な算定ルールもあります。

そのため、「119点だから検査費用はこの金額」と単純に計算するのではなく、実際の自己負担額は受診先で確認しましょう。特に総テストステロン、遊離テストステロン、LH、FSHなどを同時に調べる場合は、検査項目を一つずつ足した金額と窓口負担額が一致するとは限りません。

男性ホルモン検査をどこで受けるかは症状と検査目的で決める

男性ホルモン検査をどこで受けるかは症状と検査目的で決める

男性更年期や性機能の変化が気になる場合は泌尿器科やメンズヘルス外来、全身症状が中心なら内科や内分泌を扱う診療科も候補になります。健康確認だけなら健診の自費検査も利用できます。

男性更年期や性機能の症状は泌尿器科やメンズヘルス外来で相談する

性欲の低下、勃起機能の変化、朝の勃起の減少など男性特有の症状があり、テストステロン低下が気になる場合は、泌尿器科や男性更年期外来、メンズヘルス外来を探しましょう。大学病院の泌尿器科でも男性のホルモン低下を専門的に扱う外来があります。

泌尿器科では、テストステロン測定だけでなく、男性更年期の症状や性機能、前立腺などを含めて診察できる医療機関があります。検査結果に異常があった場合、その後の診察へつなげやすい点も確認しておきましょう。

ただし、すべての泌尿器科が男性ホルモン検査や男性更年期診療を行っているわけではありません。公式サイトで「男性更年期」「LOH症候群」「メンズヘルス」「テストステロン検査」などの記載を確認し、採血できる曜日や時間帯も問い合わせてから受診してください。

疲労感など全身症状が中心なら内科や内分泌を扱う診療科も確認する

疲れやすい、体力が落ちた、気分がすぐれないなど全身の変化が中心で、男性更年期なのか別の病気なのか分からない場合は、内科や内分泌を扱う診療科へ相談する方法があります。実際に内科で遊離テストステロン検査を実施している医療機関もあります。

全身の倦怠感などはテストステロン低下だけに特有の症状ではないため、男性ホルモンだけを測定して原因を決めるのではなく、症状に応じて必要な診察や検査を受けることが重要です。

医療機関を探すときは、診療科名だけで決めず、男性更年期やテストステロン検査への対応を公式サイトで確認してください。男性ホルモン検査を扱っていても、自費診療のみの場合や、特定の曜日に限って実施する場合があります。

症状がなく数値を知りたい場合は人間ドックや自費検査を利用する

男性更年期の症状はないものの、現在の男性ホルモン値を健康管理の一環として知りたい場合は、人間ドックや健診施設のオプション、自費の男性更年期検査を利用できます。総テストステロンだけを測る検査と、複数項目をまとめて調べるコースがあります。

スクリーニング目的の検査では、検査後に医師から結果説明を受けられるかまで確認しましょう。数値だけが郵送されるコースと、異常があった場合に診察へ移行できるコースでは、受診後の流れが異なります。

妊娠を希望していて男性ホルモンや精巣機能を調べたい場合は、一般的な男性更年期検査とは目的が異なります。泌尿器科や男性不妊を扱う医療機関では、ホルモン検査に加えて精液検査などを行うことがあるため、予約時に「男性不妊について調べたい」と目的を伝えてください。

検査・受診の目的 受診先の例 予約前に確認する内容
男性更年期の症状がある 泌尿器科・男性更年期外来・メンズヘルス外来 テストステロン検査、診察、保険診療への対応
疲労感など全身症状が中心 内科・内分泌を扱う診療科 男性ホルモン検査を実施しているか
症状はなく数値を知りたい 人間ドック・健診施設・自費診療 検査項目、総額、結果説明の有無
妊娠を希望している 泌尿器科・男性不妊を扱う医療機関 ホルモン検査以外に必要な検査

男性のホルモン検査は午前中の採血と受診目的に合う診療科選びが重要

男性のホルモン検査では、総テストステロンや遊離テストステロンを中心に確認し、必要に応じてLHやFSHなどを追加します。テストステロンには日内変動があるため、午前中の採血を案内された場合は指定された時間に受診しましょう。

男性ホルモン検査の費用は、単項目の自費検査、男性更年期ドック、保険診療で行う検査によって異なります。予約前に「検査項目」「診察料を含む総額」「保険診療か自費か」「結果説明の方法」を確認しておくと、受診後の追加費用や検査内容の違いを把握できます。

性欲低下や勃起機能の変化などがある場合は泌尿器科やメンズヘルス外来、全身症状が中心なら内科など、症状に合う診療科へ相談してください。検査結果だけで男性更年期と決めず、現在の症状と合わせて医師の説明を受けましょう。