血液検査結果の正しい見方を解説

血液検査の結果を受け取ると、H・LやAST、ALT、HbA1cなどの記号と数字が並び、どこから確認すればよいのか分からない方もいるでしょう。

数値だけをインターネット上の早見表と比べると、検査機関ごとの基準範囲や採血時の条件を見落とし、必要な再検査を先延ばしにするおそれがあります。

この記事では、血液検査結果の見方を「判定・基準範囲・前回値」の順に整理し、主要な数値の読み方を早見表で確認します。基準範囲から外れた場合の対応も解説します。

結果票を手元に置いて照らし合わせれば、どの数値を優先して確認し、医療機関から指示がある場合にどう対応すべきかを整理できます。

血液検査の結果は判定と基準範囲と前回値の順に確認する

血液検査の結果は判定と基準範囲と前回値の順に確認する

血液検査の結果を見るときは、個々の数値だけを追うのではなく、判定・基準範囲・前回値の3点を順番に確認しましょう。

同じ数値でも、検査施設が設定する基準範囲やほかの検査結果によって解釈が変わることがあります。結果票に記載された医師のコメントや受診指示も合わせて確認する必要があります。

最初に総合判定と医師からの指示を確認する

血液検査の結果票を受け取ったら、まず総合判定や医師・保健師からのコメントを確認します。健康診断ではA・B・C・Dなどの記号が使われることがありますが、判定記号の意味は受診した施設の結果票に記載された説明を優先してください。

健康診断の判定は、単純に検査値が基準範囲内かどうかだけを示すものではありません。再検査や精密検査、治療など、その後に必要な対応を伝える目的でも設定されています。そのため、個々の数値より先に「要再検査」「要精密検査」などの指示がないか確認します。

同じA~Eなどの記号でも、施設によって区分や意味が異なる場合があります。インターネット上の判定表だけで自分の結果を読み替えず、結果票の凡例とコメントを確認しましょう。人間ドック全体の判定区分については、別の記事で詳しく解説しています。

HとLは基準範囲より高いか低いかを示す

検査結果の数値に付いている「H」はHigh、「L」はLowを表し、Hは検査施設の基準範囲より高い値、Lは低い値であることを示します。HやLが付いただけで特定の病気が確定するわけではありません。

基準範囲(健康な人の検査値を統計的に整理して設定した範囲)は、検査結果を読むための目安です。健康な人でも基準範囲から外れる場合があり、反対に基準範囲内であっても、症状やほかの検査結果によって詳しい確認が必要になる場合があります。

したがって、H・Lを見つけたら「異常だから病気」と結論づけるのではなく、どの項目に付いているのか、どの程度基準範囲から離れているのか、結果票に受診指示があるのかを確認しましょう。複数項目を組み合わせて読むことも重要です。

今回の数値だけでなく前回値との変化も確認する

今回の血液検査結果だけでなく、過去の結果が残っている場合は前回値も確認しましょう。厚生労働省の健康づくり情報でも、健康診断の成績表は前回までの数値や次回の結果と比較できる記録として保管することが案内されています。

例えば、現在の数値が基準範囲内でも、過去と比べて大きく変化している場合があります。一方、基準範囲からわずかに外れていても、食事や運動、体調など一時的な条件の影響を受けている可能性があります。1回の数値だけを切り取らず変化の経過まで確認することが大切です。

ただし、異なる医療機関や検査会社の結果を比較する場合は、測定方法や基準範囲が同じとは限りません。過去の結果票に記載された単位と基準範囲も確認し、大きな変化がある場合や結果票に再検査の指示がある場合は医療機関へ相談しましょう。

血液検査の主要な数値を早見表で確認する

血液検査の主要な数値を早見表で確認する

血液検査には多数の項目がありますが、健康診断や人間ドックでは貧血、肝機能、腎機能、脂質、糖代謝などを確認する項目がよく測定されます。

以下は、日本人間ドック・予防医療学会が公開している判定区分をもとに、代表的な数値を整理した早見表です。実際の結果を読む際は手元の結果票に記載された基準範囲を優先してください。

血液検査の主要な数値の早見表
確認する分野 検査項目 基準範囲の例 数値を見る方向
貧血 ヘモグロビン(Hb) 男性 13.1~16.3g/dL
女性 12.1~14.5g/dL
低値の場合は貧血の有無などを確認します
肝機能 AST 30U/L以下 高値の場合はALTやγ-GTなどと合わせて確認します
肝機能 ALT 30U/L以下 高値の場合は肝臓の状態を確認する項目になります
肝機能 γ-GT 50U/L以下 高値の場合は肝臓・胆道や飲酒などとの関係を確認します
腎機能 クレアチニン(Cr) 男性 1.00mg/dL以下
女性 0.70mg/dL以下
高値の場合はeGFRと合わせて腎機能を確認します
腎機能 eGFR 60.0mL/分/1.73㎡以上 低値の場合は腎機能の低下がないか確認します
尿酸 尿酸(UA) 2.1~7.0mg/dL 高値・低値のどちらも結果票の判定を確認します
脂質 LDLコレステロール 60~119mg/dL 高値の場合はほかの動脈硬化リスクも合わせて確認します
脂質 HDLコレステロール 40mg/dL以上 低値の場合に注意が必要です
脂質 中性脂肪(TG) 30~149mg/dL 食事の影響も受けるため採血条件を確認します
糖代謝 空腹時血糖(FPG) 70~99mg/dL 高値・低値ともに採血条件や判定を確認します
糖代謝 HbA1c 5.5%以下 過去1~2カ月程度の平均的な血糖状態を反映します

※数値は日本人間ドック・予防医療学会が公開している判定区分をもとにした例です。医療機関・検査会社によって基準範囲や判定方法が異なる場合があるため、手元の結果票を優先してください。

貧血はヘモグロビンを中心に赤血球やヘマトクリットも確認する

貧血に関する結果では、ヘモグロビン(Hb)を中心に確認します。ヘモグロビンは赤血球に含まれ、酸素を全身へ運ぶ役割を持つたんぱく質です。日本人間ドック・予防医療学会では、男性13.1~16.3g/dL、女性12.1~14.5g/dLを基準範囲として示しています。

ヘモグロビンが低い場合でも、その数値だけから原因を特定することはできません。赤血球数やヘマトクリット(血液中で赤血球が占める割合)など、関連項目も合わせて確認します。ヘモグロビン低値イコール鉄不足とは限らないため、自己判断で原因を決めないことが重要です。

結果票に再検査・精密検査の指示がある場合や、低値が繰り返されている場合は、結果票を持って医療機関へ相談しましょう。息切れや動悸などの症状がある場合も、検査値だけで様子を見るのではなく症状を医師へ伝えてください。

肝機能はASTとALTとγ-GTを組み合わせて読む

肝機能の結果では、AST・ALT・γ-GTなどを組み合わせて確認します。ASTは肝臓だけでなく心臓や筋肉などにも存在する酵素で、ALTは肝臓に多く存在します。γ-GTは肝臓や胆道の状態を確認するときに使われる項目です。

ASTだけ、ALTだけを見て肝臓の状態を決めることはできません。ASTとALTの組み合わせに加え、γ-GTやほかの検査結果、飲酒状況、服薬状況などを踏まえて医師が評価します。強い運動などによって筋肉に負荷がかかった場合は、筋肉に多く存在するCKなどにも変化がみられることがあります。

CKやアルブミンについては既存記事で検査の意味や数値を詳しく解説しているため、今回の記事では重複して説明していません。結果票にCKやアルブミンの異常が記載されている場合は、個別記事も合わせて確認してください。

腎機能はクレアチニンとeGFRをセットで確認する

腎機能を見るときは、クレアチニン(Cr)とeGFRを合わせて確認します。クレアチニンは筋肉で作られた老廃物で、主に腎臓から尿へ排泄されます。筋肉量の影響を受けるため、日本人間ドック・予防医療学会の基準範囲にも男女差があります。

eGFR(推算糸球体ろ過量)は、クレアチニン値や年齢、性別から腎臓のろ過機能を推定した数値です。クレアチニンは高くなる方向、eGFRは低くなる方向に注意しますが、どちらか1項目だけで腎臓の状態を自己判断しないようにしましょう。

クレアチニンやeGFRの数値については既存記事で詳しく解説しています。結果票で腎機能に再検査・精密検査などの指示がある場合は、過去の結果も用意したうえで医療機関へ相談してください。

脂質と血糖は数値に加えて採血条件も確認する

脂質ではLDLコレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪などを確認します。糖代謝では空腹時血糖とHbA1cが代表的です。HbA1cは過去1~2カ月程度の平均的な血糖状態を反映するため、採血時点の血糖だけとは意味が異なります。

中性脂肪や血糖は食事の影響を受けるため、数値を見る前に空腹時採血だったかを確認しましょう。日本人間ドック・予防医療学会も、中性脂肪や血糖などには空腹でないと正しく評価しにくい項目があるとして、受診施設の注意に従うよう案内しています。

また、日本人間ドック・予防医療学会では血糖に関する判定区分を2026年4月から改訂しています。過去に保存したインターネット上の早見表ではなく、現在の結果票と最新の基準を確認してください。血液検査前の食事や絶食時間は別の記事で詳しく解説しています。

基準範囲から外れた数値だけで病気とは決められない

基準範囲から外れた数値だけで病気とは決められない

血液検査で基準範囲から外れた数値があっても、その1項目だけで病気が確定するわけではありません。基準範囲の意味と、検査値を変動させる条件を分けて理解する必要があります。

反対に、すべての数値が基準範囲内だからといって、症状がある場合まで医療機関への相談が不要になるわけではありません。結果票の判定や体調も合わせて確認しましょう。

基準範囲は健康な人の測定値を統計的に整理した範囲

基準範囲とは、病気がない人の検査結果を統計的に整理して設定される範囲です。東京大学保健センターでは、一般的な考え方として、病気がない人の約95%が収まる範囲を基準範囲と説明しています。

つまり、健康な人の一部は基準範囲から外れることがあります。また、基準範囲内の数値であっても、病気が存在する場合があります。基準範囲は「病気がある人とない人を完全に分ける線」ではありません。

病気のリスク評価や診断などに使われる「臨床判断値」が別に設定されている検査もあります。血液検査結果を見る際は、インターネット上の正常値だけで結論を出さず、結果票の判定、年齢や性別、生活習慣、ほかの検査結果まで踏まえて確認します。

食事と運動と飲酒によって一部の検査値は変動する

血液検査には、採血前の行動によって数値が変動する項目があります。代表例が血糖や中性脂肪です。日本人間ドック・予防医療学会では、中性脂肪や血糖などについて空腹時でなければ正しく評価しにくい項目があると案内しています。

また、運動は筋肉に関係するCKなど、飲酒はγ-GTや中性脂肪などの数値を考える際に確認される要素です。採血前の条件を隠さず医療機関へ伝えることで、医師が検査結果を解釈するための情報になります。

ただし、検査前の絶食時間や飲酒・運動の制限は、受ける検査や医療機関によって異なります。次回の再検査に向けて自己流で極端な食事制限を行わず、予約した医療機関から案内された条件に従ってください。

薬やサプリメントと当日の体調も医療機関へ伝える

血液検査結果を確認するときは、服用している薬やサプリメント、検査当日の体調なども整理しておきましょう。検査値は病気だけで決まるものではなく、服薬状況や身体の状態など複数の条件を考慮して評価されます。

再検査を受ける際には、現在使用している薬の名前やサプリメントを伝え、可能であればお薬手帳も用意します。発熱や体調不良など普段と異なる状態で採血した場合も伝えてください。検査値を下げる目的で処方薬を自己判断で中止しないことが重要です。

数値が基準範囲から外れた原因を自分で1つに決めるのではなく、医療機関へ情報を正確に伝えたうえで確認します。結果票に再検査の時期や受診先が指定されている場合は、その指示に従いましょう。

医療機関が変わった場合は結果票ごとの基準範囲を確認する

血液検査では、医療機関や検査会社によって測定に使う機器や試薬などが異なる場合があります。現在は共通化が進んでいるものの、すべての検査結果をどの施設でも同じ数値だけで比較できるとは限りません。

そのため、前年と今年で受診した施設が異なる場合は、数値だけでなく単位と基準範囲もセットで比較しましょう。インターネットの早見表と手元の結果票で数値が異なっていても、ただちにどちらかが誤っているとは判断できません。

今回掲載している早見表も、結果票に書かれている基準範囲を置き換えるものではありません。自分の検査結果を確認するときは受診施設の基準範囲と判定を優先し、過去の結果と比較するときも同じ条件で測定されたかを確認してください。

再検査や受診が必要な結果は指示と症状を優先する

再検査や受診が必要な結果は指示と症状を優先する

血液検査の結果が基準範囲から外れていた場合、次に確認するのは「病名」ではなく、結果票に記載された再検査・精密検査・受診の指示です。

自覚症状がなくても確認が必要な場合があります。一方、強い症状がある場合は、血液検査の数値が基準範囲内でも結果票だけを見て様子を見続けないようにしてください。

要再検査や要精密検査の指示を自己判断で先延ばしにしない

結果票に「要再検査」「要精密検査」「要治療」などの記載がある場合は、指示された対応を確認します。厚生労働省の健康づくり情報でも、要検査・要治療と判定された場合は、自覚症状がなくても放置せず対応することが案内されています。

再検査は、一時的な変動かどうかを確認する目的などで行われます。精密検査は、健康診断の範囲だけでは分からない状態を詳しく調べるために行われます。症状がないことを理由に受診指示を無視しないようにしましょう。

受診時には今回の結果票だけでなく、過去の健康診断や血液検査の結果があれば持参してください。検査値の推移を医師が確認できます。受診する診療科が結果票に記載されている場合は、その案内に従います。

複数の異常値は関連する項目をまとめて医師へ見せる

血液検査の結果は、1項目だけを切り離すのではなく関連する項目をまとめて確認します。例えば、肝機能ではAST・ALT・γ-GT、腎機能ではクレアチニン・eGFR、糖代謝では空腹時血糖・HbA1cなどの組み合わせがあります。

複数の数値にH・Lが付いている場合も、それぞれの病名をインターネット検索して自己診断する必要はありません。結果票をそのまま医療機関へ持参し関連項目をまとめて確認してもらいましょう。

血液検査そのものの検査項目一覧や、各項目から何を確認する検査なのかについては既存記事で解説しています。今回の結果票に見慣れない略語があり、項目自体の意味を知りたい場合は合わせて確認してください。

強い症状がある場合は血液検査の数値だけで様子を見ない

血液検査の数値が基準範囲内でも、身体に緊急性の高い症状が出ている場合は結果票だけで受診の要否を決めないでください。検査は採血時点で測定した項目の結果であり、現在起きているすべての異常を否定するものではありません。

厚生労働省は成人について、突然の激しい胸の痛み、急な息切れ・呼吸困難、突然の片側の手足の力の入りにくさなどを、すぐに救急車を呼ぶ症状として挙げています。突然の激しい頭痛や、支えなしでは立てないほど急にふらつく場合なども対象です。

こうした症状がある場合は「血液検査では正常だったから大丈夫」と判断せず、119番など必要な対応を優先してください。緊急性のない症状でも、続いている・悪化している場合は、血液検査の結果票と症状の経過を医療機関へ伝えましょう。

再検査では前回の結果と採血時の情報を準備する

再検査を受ける際は、前回の結果票を用意すると数値の変化を確認できます。ほかの医療機関で受けた検査結果がある場合も、受診時に提示すると経過を伝えやすくなります。

合わせて、前回の採血が空腹時だったか、服用している薬やサプリメントがあるか、検査前に普段と異なる運動や飲酒があったかなどを整理します。検査値だけでなく採血時の条件まで伝えることで、医師が結果を確認するための情報がそろいます。

再検査前に食事量を極端に減らしたり、薬を自己判断で中止したりして数値を変えようとする必要はありません。検査を予約した医療機関から案内された食事・服薬・運動などの注意事項に従って受診してください。

血液検査結果は数値単独ではなく判定と経年変化まで確認する

血液検査結果の見方では、数値を早見表と比較するだけでなく、結果票の判定、基準範囲、過去からの変化を順番に確認することが重要です。

血液検査結果を確認するときのポイント
  • 最初に総合判定や再検査・精密検査の指示を確認する
  • H・Lは基準範囲より高い・低いことを示すもので、病名を確定する記号ではない
  • 主要項目は単独ではなく、関連する数値を組み合わせて確認する
  • 今回値だけでなく、過去の結果があれば経年変化も見る
  • 食事・運動・飲酒・服薬・体調など採血時の条件も確認する
  • 要再検査・要精密検査などの指示がある場合は放置しない

早見表の数値は自分で病気を診断するためではなく、結果票のどこを見るかを整理するために使いましょう。手元の結果票に記載された基準範囲と医師のコメントを優先してください。

要再検査や要精密検査の指示がある場合は、今回と過去の結果票を用意して医療機関を受診します。強い症状がある場合は、血液検査の数値にかかわらず症状に応じた受診を優先しましょう。