血液検査を受ける前に「何時間食べなければよいのか」「前日の夕食後から絶食する必要があるのか」と迷うことがあります。採血前日の注意点も、検査内容によって異なります。
血液検査はすべて絶食で受けるわけではありません。必要のない検査まで自己判断で食事を抜いたり、反対に絶食が必要な採血前に食事をしたりすると、予定していた条件で検査できない場合があります。
空腹時血糖や空腹時中性脂肪では、10時間以上食事をしていない状態が「空腹時」の目安として使われています。ただし、医療機関から12時間など別の時間を指定された場合は、その指示を優先します。
血液検査前日の過ごし方から当日の水分・服薬、絶食中に食べてしまった場合の対応まで確認すると、自分が守るべき採血条件を整理して受診できます。
血液検査の絶食時間は検査項目で異なる
血液検査に一律の絶食時間が決められているわけではありません。空腹時の状態で測定する検査なのか、食事の有無を限定せず測定できる検査なのかを確認する必要があります。
| 採血の条件 | 時間の考え方 | 確認するポイント |
|---|---|---|
| 空腹時血糖 | 10時間以上の絶食 | 厚生労働省では10時間以上食事をしていない場合を空腹時血糖として扱います。 |
| 空腹時中性脂肪 | 10時間以上の絶食 | 10時間以上の絶食を空腹時として扱います。 |
| 随時血糖・随時中性脂肪 | 空腹時以外 | 食後からの時間を含め、空腹時とは異なる条件で評価します。 |
| そのほかの血液検査 | 検査項目による | 食事制限が不要な場合もあるため、医療機関からの案内を確認します。 |
検査項目そのものの意味や、血液検査で何を確認しているのかは別の記事で詳しく整理しています。
空腹時血糖と空腹時中性脂肪では10時間以上を確認する
厚生労働省では、特定健康診査の空腹時血糖について10時間以上食事をしていない状態を空腹時としています。空腹時中性脂肪も、10時間以上の絶食を空腹時として扱います。
たとえば午前9時に採血する場合、10時間前は前日の23時です。ただし、23時まで食べてもよいという意味ではありません。受診先から「21時までに夕食を済ませる」など具体的な指定を受けている場合は、指定時刻を守ります。
血糖や中性脂肪は食事の影響を受けるため、空腹時の値として評価するには採血条件をそろえる必要があります。採血時間から自己流で逆算するより、予約票や受診案内に書かれている絶食開始時刻を最初に確認してください。
空腹時血糖の数値や結果の見方は、絶食時間とは別のテーマです。検査結果まで確認したい場合は、血糖値検査の記事で詳しく確認できます。
10時間はすべての血液検査に共通する時間ではない
「血液検査だから10時間絶食する」と一律に考える必要はありません。絶食が必要かどうかは測定する項目と検査目的によって変わります。食事後の状態を確認するため、あえて空腹時ではない条件で採血する場合もあります。
国立循環器病研究センターも、食事後の影響を見る検査や、食事の影響がない測定項目があると案内しています。病気の診断や治療経過を見るために医療機関で採血する場合は、健康診断と同じ絶食条件とは限りません。
そのため、診察時に「次回は採血があります」とだけ伝えられた場合は、食事を抜く必要があるか確認しておくと安心です。絶食の指示がなければ自己判断で長時間食事を抜かず、検査を依頼した医療機関へ確認してください。
12時間など医療機関から別の指定がある場合は指示を優先する
公的な健診制度では10時間以上を空腹時とする基準がありますが、医療機関が実際の検査前準備として、より長い絶食時間を指定する場合があります。国立循環器病研究センターでは、空腹時採血では採血12時間前までに食事を済ませるよう案内しています。
この違いは「10時間と12時間のどちらかが間違い」という意味ではありません。10時間以上は空腹時血糖や空腹時中性脂肪を区分するときの基準であり、受診施設は予定する検査内容に合わせて具体的な準備方法を設定します。
予約票に「前日21時以降は絶食」「検査12時間前から絶食」などの記載がある場合は、その条件に従ってください。インターネット上の一般的な時間より、実際に検査を行う医療機関から受けた案内を優先します。
採血前日の注意点は検査値を変える行動を避ける
血液検査前日は、絶食開始時刻だけでなく飲酒・激しい運動・睡眠不足などの条件にも注意します。採血の直前だけ行動を変えるのではなく、受診先から指定された条件で過ごしてください。
暴飲暴食や飲酒を避け普段に近い食事で過ごす
採血前日は、検査値を良く見せるために食事量を極端に減らす必要はありません。一方、獨協医科大学病院では、食事やアルコールが血糖や中性脂肪などへ影響するとして、前日の暴飲暴食や過度の飲酒を避けるよう案内しています。
絶食を開始するまでは普段に近い食事で過ごし、指定された時刻になったら飲食を止めるという流れで準備します。直前だけ食事内容を大きく変えると、日常の状態とは異なる条件になる場合があります。
健康診断を受ける場合は、採血以外に胃カメラ、バリウム、腹部超音波などが含まれ、血液検査とは異なる食事制限が必要になることがあります。夕食の内容や飲酒、水分、午前・午後受診による違いは健康診断前日の食事の記事で確認してください。
激しい運動はCKやLDHなどの検査値へ影響する場合がある
採血前日は激しい運動を控えます。運動によって筋肉へ負荷がかかると、CK(クレアチンキナーゼ)やLDHなど、筋肉を含む組織の状態と関係する検査値が上昇する場合があるためです。
獨協医科大学病院では採血直前の過度な運動を避けるよう案内しており、新渡戸記念中野総合病院も運動によってCK、LD、AST、ALT、クレアチニンなど複数の項目が変化する可能性を示しています。
普段行わない高強度のトレーニングを採血前日に入れることは避けましょう。通勤や日常生活で行う通常の活動まで一律に禁止する必要はありません。運動制限について個別の指示を受けている場合は、その内容に従います。
特にCKは運動の影響を受けることがある検査項目です。CKの数値そのものを詳しく確認したい場合は、別の記事で基準値や高くなる原因を解説しています。
睡眠不足や強いストレスを避けて受診する
採血前日はできる範囲で普段どおりの睡眠を確保します。国立循環器病研究センターでは、採血当日までに過激な運動や強いストレス、睡眠不足を避けるよう案内しています。
採血のためだけに生活時間を大きく変更する必要はありませんが、徹夜をしたり、睡眠時間を極端に短くしたりして受診することは避けます。前日の飲酒が長時間に及ぶと睡眠不足にもつながるため、採血前の条件を整えにくくなります。
血液検査前日は「数値を良くする行動」ではなく、普段から大きく外れた行動を避けると考えてください。十分な睡眠を取れなかった場合は隠す必要はなく、診察時に検査値との関係が気になる場合は医師へ伝えます。
血液検査当日は水分と服薬の指示を確認する
絶食を指示されていても、食事・水分・薬をすべて止めるという意味ではありません。飲水と服薬は自己判断せず、受診先の指示を確認することが重要です。
絶食中の飲み物は水を優先する
空腹時中性脂肪の基準では、水やお茶などカロリーのない水分を摂取しても空腹時として扱う考え方があります。一方、医療機関によっては検査前に飲めるものを水だけに限定しています。
そのため、受診先から特別な案内がない場合は水を選ぶ方法が分かりやすいでしょう。ジュース、スポーツドリンク、牛乳、砂糖やミルクを入れた飲み物など、カロリーを含む飲料は食事と同様に絶食条件へ影響します。
無糖のお茶やブラックコーヒーについても、すべての血液検査で飲めると自己判断しないでください。検査施設によって案内が異なるため、予約票に飲水条件が記載されている場合は、飲める種類と時間を確認します。
薬は自己判断で中止しない
普段服用している薬がある場合は、血液検査を理由に自己判断で中止しないでください。薬によっては検査値へ影響する可能性がありますが、中断することで治療に影響する薬もあります。
獨協医科大学病院も、投薬について医師の指示を守り、服薬が検査値へ影響する可能性がある場合は指示に従うよう案内しています。絶食を指示されたからといって、食事と薬を同じ扱いで止めることは避けましょう。
朝に服用している薬がある場合は、予約時や診察時に薬の名称を伝え、検査当日の服用方法を確認します。糖尿病など食事と薬のタイミングが関係する治療を受けている場合は、特に自己判断で食事や薬を変更しないでください。
採血直前は激しい動きを避けて安静にする
検査施設へ急いで走った直後や階段を駆け上がった直後などは、すぐに採血するよりも指示された場所で落ち着いて待ちます。運動によって一部の血液検査値が変化する可能性があるためです。
獨協医科大学病院では、採血直前の過度な運動を避けて安静にするよう案内しています。特にCKやLDH、乳酸などは運動による影響を受ける場合があります。
採血当日は時間に余裕を持って医療機関へ向かうと、直前に走ったり慌ただしく移動したりする状況を避けられます。到着後の過ごし方について案内がある場合は、スタッフの指示に従ってください。
絶食中に食べてしまった場合は採血前に申告する
絶食を指示された時間帯に食事をした場合は、自己判断でそのまま採血を受けず、受付や医師、検査スタッフへ伝えてください。食事後は血糖や中性脂肪などの値が変化し、予定していた空腹時の条件で評価できない場合があります。
最後に飲食した時刻と内容を伝える
絶食中に食べたり、カロリーを含む飲み物を飲んだりした場合は、最後に飲食した時刻と内容を採血前に伝えましょう。「朝7時にパンを食べた」「採血2時間前にジュースを飲んだ」など、分かる範囲で具体的に伝えます。
空腹時血糖や空腹時中性脂肪は、食事から一定時間が経過した状態で測定する項目です。そのため、絶食時間を満たしていない場合は、本来予定していた空腹時の検査条件と異なる可能性があります。
食べたことを隠して採血すると、医師が検査結果を確認するときに食事の影響を考慮できません。少量しか食べていない場合や、飲み物だけの場合も自己判断せず、何をいつ摂取したのか伝えてください。
予定どおり採血できるかは検査目的によって異なる
絶食中に食べたからといって、必ず採血が中止になるとは限りません。予定どおり検査するか、時間をずらすか、別の日に変更するかは検査項目や目的によって異なります。
たとえば、空腹時の値を確認することが目的であれば、必要な絶食時間を満たしてから再度採血する場合があります。一方、空腹時ではない状態の数値を確認できる検査では、そのまま採血する場合もあります。
どの対応が必要かを受診者自身で決めることはできません。食事をした時刻や内容を伝えたうえで、医師や検査スタッフから指示された方法で検査を受けてください。
運動や追加の絶食で帳尻を合わせようとしない
絶食中に食べてしまった場合でも、食べた分を消費するために運動したり、予定より長く絶食したりして調整することは避けましょう。自己流の調整では、指定されていた採血条件に戻すことはできません。
特に激しい運動は、CK(クレアチンキナーゼ)など一部の検査値へ影響する場合があります。食事の影響を減らそうとして運動すると、別の要因によって検査結果へ影響する可能性があります。
絶食時間を守れなかった場合に必要なのは、自分で検査条件を整え直すことではなく、受診先へ正確に申告することです。再検査や採血時間の変更が必要かどうかは、医療機関の指示に従ってください。
検査項目と受診先の指示を確認して必要な絶食時間を守る
血液検査の絶食時間は、すべての採血で共通しているわけではありません。空腹時血糖や空腹時中性脂肪では10時間以上が空腹時の目安ですが、検査施設から12時間など具体的な指定を受ける場合があります。
採血前日は暴飲暴食や過度の飲酒、激しい運動を避け、当日の飲水や服薬についても受診先の案内を確認してください。絶食中に食べてしまった場合は、自己判断で調整せず飲食した内容と時刻を伝えます。
「血液検査だから何も口にしない」と考えるのではなく、何の検査をどの条件で受けるのかを確認することが重要です。予約票や受診案内に具体的な条件が書かれている場合は、その内容に従って受診しましょう。








