大腸がん検診で早期発見・安心へ

大腸がん検診を受けることになり、検査内容や当日の流れが分からず、内視鏡検査まで受けるのか気になっている方もいるでしょう。一般的な大腸がん検診では、問診と便潜血検査を行います。

便潜血検査は自宅で便を採取できる一方、採便方法や保存方法が適切でないと検査結果に影響する場合があります。また、陰性でもすべての大腸がんを否定できる検査ではありません。

大腸がん検診の内容と流れに加え、便潜血検査2日法の仕組み、採便時の注意点、結果を受け取った後の対応を整理します。大腸内視鏡検査へ進む場面との違いも確認できます。

検診で何をするのかを事前に把握し、検査容器を受け取ってから結果を確認するまで、必要な対応を順番に進められる状態にしておきましょう。

大腸がん検診の内容は問診と便潜血検査2日法

大腸がん検診の内容は問診と便潜血検査2日法

国が推奨する大腸がん検診では、40歳以上の男女を対象として、問診と便潜血検査を1年に1回行います。一次検診で最初から大腸内視鏡検査を受ける仕組みではありません。

区分 主な対象 主な検査内容
大腸がん検診 原則として症状のない40歳以上の方 問診・便潜血検査2日法
大腸がんの精密検査 便潜血検査で要精密検査となった方 全大腸内視鏡検査など
大腸ドック 任意で詳しい検査を受けたい方 施設やコースにより大腸内視鏡検査などを実施

問診では症状や治療歴などを確認する

大腸がん検診では、便潜血検査だけでなく問診も行います。問診の項目は自治体や検診機関によって異なりますが、現在の症状、既往歴(これまでにかかった病気)、大腸に関する治療歴などを確認する場合があります。

重要なのは、大腸がん検診は症状のない方を対象とした検査だという点です。血便がある、便に血が付着する、腹痛が続く、便の形や排便回数が以前と変わったなどの症状がある場合は、検診で経過を見るのではなく医療機関への受診が必要です。

すでに大腸の病気で治療や経過観察を受けている場合も、一般的な検診とは対応が異なります。主治医から検査時期を指示されている方は、その予定を優先してください。

問診票には現在の状態を正確に記入し、判断に迷う症状や治療歴がある場合は検診機関へ伝えましょう。検診の対象として受診するのか、診療として医療機関を受診するのかを分けることが重要です。

便潜血検査は目に見えない血液を調べる

便潜血検査とは、便に混じった肉眼では確認できないほど微量な血液を検出する検査です。大腸にがんやポリープなどがあると、便が病変の表面を通過するときに出血し、便に血液が付着することがあります。

国が推奨する大腸がん検診では、免疫法による便潜血検査が用いられています。便の表面を専用の採便棒でこすって検体を採取するため、内視鏡を体内へ挿入する検査とは異なり、自宅で採便できます。

ただし、大腸の病変は常に出血しているとは限りません。1回だけ採便すると、出血していない日に重なって病変を捉えられない場合があります。そのため、一般的な大腸がん検診では2日分の便を調べる2日法が採用されています。

便潜血検査だけで大腸がんを確定診断するわけではありません。血液が検出された方を精密検査へつなげ、大腸に病変がないか詳しく調べるための検査として受けましょう。

一次検診と大腸内視鏡検査は役割が異なる

大腸がん検診と聞いて、大腸カメラを受けるものと考える方もいます。しかし、国が市区町村などの対策型検診として推奨している検査は便潜血検査であり、全員へ最初から大腸内視鏡検査を行う方式ではありません。

大腸内視鏡検査は、便潜血検査で要精密検査となった場合に行われる代表的な精密検査です。肛門から内視鏡を挿入して大腸の内部を観察し、必要に応じて病変の組織を採取します。

「大腸がん検診を受けること」と「大腸内視鏡検査を受けること」は同じ意味ではありません。人間ドックや大腸ドックでは任意検診として最初から内視鏡を組み込んだコースもありますが、検査内容や受診条件は施設ごとに異なります。

大腸内視鏡検査の前処置、検査方法、費用などは別の記事で詳しく解説しています。便潜血検査で陽性となり精密検査へ進む場合は、検診とは分けて確認してください。

大腸がん検診の流れは申込みから採便と結果確認まで

大腸がん検診の流れは申込みから採便と結果確認まで

大腸がん検診の流れは、受診方法の確認、検査容器の受け取り、2日分の採便、検体提出、結果確認という順番で進むのが一般的です。申込方法や容器の受け取り方は自治体や勤務先によって異なります。

1

大腸がん検診へ申し込む

自治体、勤務先、健康保険組合などから届く案内を確認し、指定された方法で申し込みます。

2

問診票と採便容器を受け取る

採便する日程や提出期限、検体の保存方法を確認します。使用するキットの説明書も読んでおきます。

3

自宅で2日分の便を採取する

専用の採便棒を使って便の表面をこすり、原則として異なる日に2回採便します。

4

検体を提出して結果を確認する

指定された期限内に検体を提出し、結果が届いたら「精密検査不要」または「要精密検査」などの判定を確認します。

申込み後に採便容器と提出方法を確認する

大腸がん検診は、市区町村が実施する住民検診、勤務先の職域検診、人間ドックなどで受けることがあります。まず、自分が利用する検診の申込方法、実施期間、受診場所を確認します。

自治体の検診では、受診券や検診票が必要になる場合があります。対象年齢、自己負担額、申込期限、受診できる医療機関などは自治体ごとに異なるため、居住する自治体の最新案内を確認してください。

申込み後は、採便容器と問診票を受け取ります。容器を受け取った時点で採便可能な期間と提出期限を確認しておくと、2日分の便が集まらず提出日に間に合わない状況を避けやすくなります。

採便容器の形状や保存方法は製品によって異なります。過去に便潜血検査を受けた経験があっても、今回渡された説明書に記載された方法を優先しましょう。

自宅で異なる2日分の便を採取する

便潜血検査では、自宅で排便した便から検体を採取します。採便棒の先端で便の表面をまんべんなくこすり、棒に設けられた溝が埋まる程度を採取する方法が一般的です。

大腸の病変から出血していても、血液が便全体へ均一に付着しているとは限りません。そのため、棒を便の1か所へ深く差し込むだけではなく、便の表面を広くこすって採取することがポイントです。

2日法では、原則として異なる日の便から1回ずつ採取します。同じ便から2本採取しても、出血する日としない日がある影響を補うという2日法の目的を満たせません。

採便できる期間や、排便がなかった場合の扱いは検診機関によって異なります。指定された期間内に2日分を用意できない場合は、自己判断で古い検体を提出せず、検診機関へ確認してください。

検体を提出して判定結果を確認する

2日分の採便が終わったら、指定された医療機関や検診会場へ提出します。郵送を採用している検診もありますが、提出方法や締切は実施機関によって異なるため、配布された案内に従ってください。

検査結果は、その場で大腸を観察して判定するものではありません。提出された便に血液が含まれているかを検査し、後日結果が通知されます。結果が届くまでの期間も検診機関ごとに異なります。

結果通知では、精密検査が必要かどうかを必ず確認してください。「陰性」「精密検査不要」などの場合は原則として翌年も検診を受けます。「陽性」「要精密検査」などの場合は、大腸内視鏡検査などの精密検査へ進みます。

特定健診や健康診断と同時に受けた場合は、複数の検査結果が1枚にまとめられていることがあります。「大腸がん検診」「便潜血」などの欄を確認し、判定を見落とさないようにしましょう。

便潜血検査では採便方法と保存方法を守る

便潜血検査では採便方法と保存方法を守る

便潜血検査では、便の取り方だけでなく提出までの保存状態も検査の質に関わります。採便容器に記載された採取量、保存場所、提出期限を守ることが重要です。

便の表面をまんべんなくこすって採取する

採便するときは、便全体を容器へ入れるのではなく、専用の採便棒を使用します。一般的な採便棒には先端に溝があり、便の表面を複数箇所こすって溝を埋める程度の便を付着させます。

便潜血検査では、便に付着したヒトヘモグロビンを検出します。病変から出た血液は便全体へ均一に混ざっているとは限らないため、1か所へ棒を差し込むより、便の表面を広い範囲から採ることが適切な採便につながります。

一方で、多量の便を容器へ入れる必要はありません。採取量が多ければ検査精度が上がるわけではないため、採便棒や容器の説明書に示された量を守ってください。

トイレの水や尿が便へ混ざると、適切に採便できない場合があります。採便用シートなどが付属している場合は、指定された方法で使用しましょう。

採便後は高温を避けて指定された方法で保存する

採便した検体は、提出までの保存方法にも注意が必要です。便潜血検査で測定するヘモグロビンは高温環境で変化し、長時間放置すると検査結果へ影響する可能性があります。

日本消化器がん検診学会の大腸がん検診マニュアルでは、採便後の検体を冷蔵庫または冷所で保存することが示されています。特に気温が高い時期は室内や車内へ長時間放置しないようにしましょう。

冷蔵保存する場合は、容器を指定された袋へ入れて密閉します。ただし、使用する採便キットによって取り扱い方法が異なる場合があるため、検診機関から渡された説明書を優先してください。

2回目の採便が終わった後は、できるだけ指定された提出日に合わせて検体を提出します。採便してから長期間保管するのではなく、採取日と提出期限を先に確認して予定を組みましょう。

月経中や出血があるときは検診機関の指示を確認する

月経中に採便すると、便ではなく月経による血液が検体へ混ざる可能性があります。そのため、月経中は採便を避けるよう案内している自治体や検診機関があります。

受診予定と月経が重なった場合は、検診を自己判断で中止するのではなく、採便日を変更できるか確認してください。自治体や検診機関ごとに扱いが異なるため、配布された注意事項に従います。

痔がある方も注意が必要です。痔があるからといって便潜血検査を受ける意味がなくなるわけではなく、便潜血陽性の原因を痔だけで判断することもできません。

痔がある方が便潜血検査で陽性になった場合も、「痔から出血しただけ」と決めつけず、精密検査の対象となった場合は医療機関を受診してください。

大腸がん検診の結果に応じて次の行動を分ける

大腸がん検診の結果に応じて次の行動を分ける

大腸がん検診は、結果を受け取って終わりではありません。精密検査不要なら翌年も検診を受け、要精密検査なら便潜血検査を繰り返さず精密検査へ進むことが重要です。

精密検査不要でも1年後に検診を受ける

便潜血検査が陰性となり「精密検査不要」と判定された場合は、国が推奨する受診間隔に沿って、原則として1年後に再び大腸がん検診を受けます。

便潜血検査は、検査した時点で便に血液が含まれているかを確認する検査です。大腸がんがあっても常に出血するわけではないため、陰性だから今後大腸がんにならないという意味ではありません。

毎年受けることで、1回の検査だけでは捉えられなかった病変を発見する機会を確保します。前年に異常がなかった方も、40歳以上で検診対象となっている場合は年1回の受診を続けましょう。

なお、陰性でも血便や腹痛、便の形・回数の変化などが続いている場合は対応が異なります。検診結果だけで症状の原因を判断せず、医療機関へ相談してください。

1日分でも陽性なら精密検査を受ける

2日分の便潜血検査のうち、1日分だけでも陽性になった場合は精密検査が必要です。「もう1日は陰性だったから問題ない」と判断して、次回の検診まで待つことは避けてください。

陽性は、大腸がんと診断されたことを意味する結果ではありません。大腸ポリープなど別の病変や出血によって陽性になる場合もあるため、出血している原因を調べる必要があります。

大腸がん検診の代表的な精密検査は全大腸内視鏡検査です。内視鏡で大腸の内部を観察し、病変が見つかった場合は必要に応じて組織を採取して詳しく調べます。

要精密検査となった後の受診先や検査までの詳しい流れは、別の記事で整理しています。結果通知を保管し、案内された医療機関や消化器を診療する医療機関へ相談しましょう。

便潜血検査の再検査だけでは精密検査の代わりにならない

便潜血検査で陽性になった後、「もう一度検便をして陰性なら問題ないのでは」と考える方もいます。しかし、再度の便潜血検査は精密検査の代わりにはなりません。

大腸がんやポリープからの出血は毎日起きるとは限りません。1回目に陽性でも、別の日に採取した便では血液が検出されず陰性になることがあります。再検査で陰性になっても、最初の陽性判定を取り消すことはできません。

便潜血検査は大腸の中を直接観察している検査ではないため、陽性となった原因を確認するには大腸内視鏡検査などが必要です。痔がある場合も、出血源が痔なのか大腸の病変なのかを便潜血検査だけで区別することはできません。

要精密検査の通知を受け取った場合は、症状がなくても受診を先延ばしにせず、指定された精密検査へ進んでください。

大腸がん検診は40歳から年1回の便潜血検査を継続する

大腸がん検診では、40歳以上の男女を対象として、問診と便潜血検査2日法を1年に1回受けることが国から推奨されています。

大腸がん検診で押さえておきたいポイント
  • 検診内容は問診と便潜血検査2日法
  • 便潜血検査では異なる2日分の便を採取する
  • 便の表面をまんべんなくこすって採便する
  • 採便後は検診機関の指示に従って冷所・冷蔵で保存する
  • 精密検査不要でも原則1年後に再び検診を受ける
  • 2日分のうち1日でも陽性なら精密検査を受ける
  • 陽性後に便潜血検査をやり直しても精密検査の代わりにはならない
  • 血便や腹痛などの症状がある場合は検診を待たず医療機関を受診する

便潜血検査は自宅で採便できる検査ですが、採取方法や保存状態が検査に影響するため、配布された説明書に沿って準備しましょう。結果が陰性でも年1回の検診を続けることが必要です。

要精密検査となった場合は、便潜血検査だけを繰り返さず、大腸内視鏡検査などで出血の原因を確認します。症状がある場合は検診結果にかかわらず医療機関へ相談してください。