がん検診で要精密検査になった後の流れと受診先!再検査との違いも解説

がん検診で「要精密検査」と判定されると、がんが見つかったのではないかと不安になるかもしれません。しかし、要精密検査はがんの確定診断ではなく、がんの有無を詳しく調べる必要があるという判定です。

一方、症状がないからと精密検査を受けずにいると、がんがあった場合に診断が遅れる可能性があります。がん検診で要精密検査となった後は、対象となる部位に対応できる医療機関を確認し、精密検査まで受けることが重要です。

要精密検査後の流れや受診する診療科、実際に行われる検査、費用や持ち物を順番に確認すると、結果を受け取った後に何をすればよいのかが分かります。「再検査」と書かれていた場合の対応も整理します。

がん検診の要精密検査はがんの確定診断ではない

がん検診の要精密検査はがんの確定診断ではない

要精密検査は、「がんの疑いがあるため、さらに詳しい検査が必要」という判定です。要精密検査になった時点では、がんがあるとも、がんがないとも確定していません。

要精密検査はがんの有無を確認するための次の段階

がん検診は、症状のない人の中から、がんの可能性が低い人と詳しい検査が必要な人を分けるために行われます。最初に受ける検査だけで、すべての人についてがんの有無を確定するものではありません。

国立がん研究センターでは、がん検診を「検診でがんの疑いを選別し、要精密検査となった人が精密検査を受け、がんがあるかないかを診断する一連の流れ」と説明しています。そのため、精密検査まで受けて初めて検診後の確認が完了します。

要精密検査という文字だけを見て、すぐに「がんになった」と考える必要はありません。一方で、「確定していないなら受診しなくてもよい」という意味でもありません。結果通知に要精密検査と記載されている場合は、指定された案内を確認して精密検査へ進みましょう。

要精密検査になっても実際にがんが見つかる人は一部

厚生労働省が掲載する令和6年度「地域保健・健康増進事業報告」では、要精密検査となった人のうち、実際にがんが見つかった割合は検診の種類によって約1〜6%でした。

がん検診の種類 要精密検査となった人のうちがんが見つかった割合
胃がん 1.80%
約56人に1人
大腸がん 3.02%
約33人に1人
肺がん 1.66%
約60人に1人
乳がん 5.69%
約18人に1人
子宮頸がん 0.99%
約101人に1人

この数値からも、要精密検査と判定された人すべてががんと診断されるわけではありません。精密検査の結果、がんが見つからなかったり、良性の病変が確認されたりすることもあります。

ただし、自分がどちらに当てはまるかは検診結果だけでは分かりません。割合が低いことを理由に自己判断で精密検査を省略せず、詳しい検査によって確認する必要があります。

症状がなくても精密検査を受ける必要がある

がん検診はもともと、自覚症状がない人を対象として行う検査です。そのため、「体調に問題がない」「痛みがない」といった状態でも、要精密検査の判定を放置してよい理由にはなりません。

胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がんでは、がんがあっても初期には自覚症状が現れない場合があります。症状の有無ではなく、検診で要精密検査と判定されたことを基準に受診してください。

反対に、血便、不正出血、乳房のしこり、長く続くせきなど、気になる症状がすでにある場合は、次回のがん検診を待つのではなく診療として医療機関を受診します。要精密検査後に症状が現れた場合も、予約時に症状を伝え、受診時期について医療機関の指示を受けましょう。

がん検診で要精密検査になった後は4つの流れで進む

がん検診で要精密検査になった後は4つの流れで進む

要精密検査の通知を受けた後は、結果確認、受診先の予約、精密検査、検査後の対応という順番で進みます。検診を受けた施設から案内がある場合は、その内容を優先してください。

結果通知と精密検査の案内を確認する

最初に、がん検診の結果通知で「どの検査が要精密検査なのか」を確認します。健康診断とがん検診の結果が同じ結果票にまとめられている場合があるため、胃、大腸、肺、乳房、子宮頸部など対象となった部位を間違えないようにしましょう。

結果通知には、精密検査を受けられる医療機関の一覧、精密検査依頼書、紹介状などが同封される場合があります。自治体や検診機関によって書類の形式は異なるため、受診先を探す前に同封書類をすべて確認してください。

判定内容が読み取れない場合や、どの医療機関を受診すればよいか分からない場合は、まず検診を受けた医療機関へ問い合わせます。職場のがん検診であれば、勤務先の担当部署や健康保険組合を通して確認できる場合もあります。

精密検査に対応する医療機関を予約する

精密検査は、検診を受けた施設ならどこでも受けられるとは限りません。必要となる内視鏡検査、CT検査、組織診などを実施できる医療機関を探し、予約時に「がん検診で要精密検査になった」と伝えます。

国立がん研究センターでは、胃がんと大腸がんは消化器専門、肺がんは呼吸器専門、乳がんは乳腺外科または乳腺外来、子宮頸がんは精密検査に対応できる婦人科のある医療機関を案内しています。

診療科の名称だけでは必要な精密検査を実施できるか分からない場合があります。予約時には、結果票に書かれた検診名と判定を伝え、「この結果に対する精密検査を受けられるか」を確認すると受診先の間違いを防げます。

必要な精密検査を受ける

精密検査の内容は、がん検診の種類や一次検診で確認された所見によって異なります。胃がんでは胃内視鏡検査、大腸がんでは全大腸内視鏡検査、肺がんでは胸部CT検査などが一般的です。

さらに詳しい確認が必要な場合は、病変の一部を採取する組織診や細胞診などが追加されることがあります。「要精密検査だから全員が同じ検査を受ける」という仕組みではありません。

どの検査が必要かは、検診結果や画像、診察内容などを確認したうえで医師が判断します。過去の画像や検査データの持参を求められる場合もあるため、予約時に必要書類と一緒に確認しておきましょう。

精密検査の結果に応じて次の行動を決める

精密検査後は、大きく「がんが見つからなかった」「経過観察や治療が必要な病変が見つかった」「がんが見つかった」という流れに分かれます。

精密検査の結果 その後の対応
がんが見つからなかった 医師から別の指示がなければ、国や自治体が示す受診間隔に沿って次回のがん検診を受けます。
良性病変や前がん病変などが見つかった 治療や経過観察が必要かを医師と確認し、指示された間隔で受診します。
がんが見つかった 主治医と治療方針を相談し、必要な検査や治療へ進みます。

精密検査でがんが見つからなかった場合も、その後の定期的ながん検診は必要です。一方、医療機関で経過観察を続けている場合は、同じ部位のがん検診を別に受けるべきか、担当医へ確認してください。

がん検診の再検査は何科に行くかを検診部位から確認する

がん検診の再検査は何科に行くかを検診部位から確認する

「がん検診の再検査は何科に行けばよいか」と迷った場合は、まず要精密検査になったがん検診の種類を確認します。主な受診先は以下のとおりです。

検診 主な受診先 予約時に確認したいこと
胃がん 消化器内科など消化器を専門とする医療機関 胃内視鏡検査などの精密検査に対応しているか
大腸がん 消化器内科など消化器を専門とする医療機関 全大腸内視鏡検査などに対応しているか
肺がん 呼吸器内科など呼吸器を専門とする医療機関 胸部CT検査や必要な追加検査に対応しているか
乳がん 乳腺外科・乳腺外来 乳がん検診後の精密検査に対応しているか
子宮頸がん 婦人科 コルポスコープ検査や組織診などの精密検査に対応しているか

胃がんと大腸がんは消化器の精密検査に対応する医療機関を選ぶ

胃がん検診や大腸がん検診で要精密検査となった場合は、消化器を専門とする医師がいる医療機関が受診先です。診療科名では、消化器内科などが該当します。

胃がん検診で胃部X線検査の結果が要精密検査となった場合、一般的には胃内視鏡検査が行われます。大腸がん検診で便潜血検査が陽性となった場合は、全大腸内視鏡検査などによって大腸全体を詳しく確認します。

特に便潜血検査が陽性だった場合、便潜血検査をもう一度受けても精密検査の代わりにはなりません。国立がん研究センターも、1日分でも便潜血検査が陽性なら精密検査が必要と案内しています。

肺がんは呼吸器を専門とする医療機関を受診する

肺がん検診で要精密検査となった場合は、呼吸器を専門とする医師がいる医療機関を受診します。診療科名では呼吸器内科などが該当します。

一般的な精密検査は胸部CT検査です。胸部X線検査より詳しい画像を撮影し、検診で病変が疑われた場所を確認します。CT検査でさらに確認が必要と判断された場合には、組織や細胞を採取して調べる検査などが行われます。

呼吸器内科を掲げている医療機関でも、必要な検査設備や対応範囲は異なります。結果票に記載された所見や精密検査依頼書の内容を予約時に伝え、対応できるか確認してから受診しましょう。

乳がんは乳腺外科で子宮頸がんは精密検査ができる婦人科を受診する

乳がん検診で要精密検査となった場合は、乳腺外科または乳腺外来がある医療機関を受診します。マンモグラフィの追加撮影や乳房超音波検査などを行い、必要に応じて細胞診や組織診で詳しく確認します。

子宮頸がん検診の場合は、子宮頸がんの精密検査に対応できる婦人科を受診します。細胞診による検診後の精密検査では、コルポスコープ(子宮頸部を拡大して観察する器具)による検査や組織診、HPV検査、細胞診などが組み合わせて行われます。

「婦人科ならどこでも同じ精密検査を受けられる」とは限りません。乳がんでは乳腺の精密検査、子宮頸がんではコルポスコープや組織診などに対応しているかを予約時に確認してください。

要精密検査で行う検査はがん検診の種類によって異なる

要精密検査で行う検査はがん検診の種類によって異なる

精密検査は、一次検診で異常が疑われた部位をさらに詳しく調べるために行います。検診を同じ方法でもう一度繰り返すとは限らない点を押さえておきましょう。

胃がんと大腸がんでは内視鏡を使った検査が中心となる

胃部X線検査で要精密検査となった場合は、一般的に胃内視鏡検査を行います。口または鼻から内視鏡を入れて胃の中を直接確認し、必要があれば疑わしい部分から組織を採取して詳しく調べます。

大腸がん検診では、全大腸内視鏡検査が精密検査として行われます。大腸内を観察し、ポリープや病変の有無を確認します。必要に応じて組織を採取するほか、病変の状態によっては検査中に処置を行う場合があります。

全大腸内視鏡検査が難しい場合には、大腸内視鏡検査とX線検査を組み合わせる方法や大腸CT検査が行われることもあります。検査方法は検診結果や身体の状態を踏まえて医師が決めます。

肺がんでは胸部CT検査から必要な追加検査へ進む

肺がん検診の一般的な精密検査は胸部CT検査です。CTでは身体の断面画像を撮影できるため、胸部X線検査で異常が疑われた場所をより詳しく確認できます。

CT画像だけで診断を確定できない場合は、病変の位置や状態に応じて細胞や組織を採取する検査が追加されることがあります。どの検査まで必要になるかは、画像の所見によって異なります。

要精密検査になった時点で気管支鏡検査や組織検査が決まっているわけではありません。まず胸部CTなどで詳しく確認し、その結果に応じて医師が次の検査を決める流れが一般的です。

乳がんと子宮頸がんでは画像や組織を詳しく確認する

乳がん検診後の精密検査では、マンモグラフィの追加撮影、乳房超音波検査、細胞診、組織診などを組み合わせます。画像で確認されたしこりや石灰化などの状態に応じて、必要な検査が決まります。

子宮頸がん検診で要精密検査となった場合は、コルポスコープを使って子宮頸部を拡大して観察し、必要な部位から組織を採取します。検診方法や判定によって、HPV検査や細胞診を組み合わせる場合もあります。

精密検査で前がん病変(がんになる前の段階の細胞変化)が見つかった場合は、状態によって治療または医療機関での経過観察へ進みます。精密検査後は自己判断で通常のがん検診へ戻らず、担当医が示す受診間隔を確認しましょう。

精密検査を受ける前に費用と持ち物を確認する

精密検査を受ける前に費用と持ち物を確認する

がん検診後の精密検査は、国立がん研究センターの案内では保険診療として受診します。検診時とは費用の仕組みが変わるため、マイナ保険証または資格確認書などを準備しましょう。

精密検査は保険診療となり検査内容によって費用が変わる

自治体のがん検診では検診費用の一部が公費で負担される場合がありますが、要精密検査後に医療機関で受ける精密検査は通常の保険診療として扱われます。

実際の窓口負担額は、健康保険の自己負担割合や実施する検査によって異なります。内視鏡検査だけで終了する場合と、組織を採取して病理検査まで行う場合では費用も変わります。

検査費用を理由に精密検査を延期する前に、受診予定の医療機関へ費用の目安を確認してください。自治体や健康保険組合独自の制度がある場合は、検診を受けた窓口でも確認できます。

結果通知や精密検査依頼書などを持参する

精密検査を受診するときは、マイナ保険証または資格確認書に加えて、がん検診の結果通知を持参します。精密検査依頼書や紹介状が同封されている場合も忘れずに準備してください。

検診で撮影したX線画像やマンモグラフィ画像など、検査データの持参を求められる場合もあります。医療機関によっては検診施設から直接データを取り寄せることもあるため、予約時に確認します。

服用している薬がある場合は、お薬手帳も用意すると診療時に情報を伝えやすくなります。予約時に必要な持ち物を確認してから受診すると、書類不足による再来院を防げます。

  • マイナ保険証または資格確認書
  • がん検診の結果通知
  • 精密検査依頼書や紹介状がある場合はその書類
  • 画像や検査データを指定された場合はその資料
  • 服用中の薬が分かるお薬手帳など

受診先一覧がない場合は検診機関や自治体へ確認する

結果通知に精密検査を受けられる医療機関の一覧が同封されていれば、その中から受診先を探せます。一覧がない場合は、最初にがん検診を受けた医療機関へ問い合わせましょう。

職場で受けたがん検診であれば、勤務先の健康管理担当者や健康保険組合へ確認する方法もあります。住民検診では、自治体が精密検査に対応する医療機関の一覧をホームページなどで公開している場合があります。

自分で医療機関を探す場合も、診療科だけで決めず、対象となるがん検診の精密検査を実施できるか確認してください。必要な検査に対応していない医療機関を受診すると、別の医療機関への紹介が必要になることがあります。

「要再検査」や「要経過観察」は要精密検査と分けて確認する

「要再検査」や「要経過観察」は要精密検査と分けて確認する

「再検査」と「要精密検査」は同じ意味とは限りません。国立がん研究センターでは、本来のがん検診の判定は「精密検査不要」または「要精密検査」が原則で、「要再検査」「要経過観察」は通常のがん検診判定ではないと説明しています。

要再検査と書かれていたら検査を受けた施設へ確認する

要再検査という表記は、例えばX線画像が不鮮明で十分に判定できなかった場合や、細胞診で採取した検体が判定に適さなかった場合などに使われることがあります。

この場合は「同じ検査をいつ受け直すのか」「精密検査へ進む必要があるのか」「再検査の費用はどうなるのか」を、検診を受けた施設へ確認してください。再検査という文字だけを見て自分で診療科を決めるのは避けましょう。

特に健康診断とがん検診を同時に受けた場合は、がん検診以外の項目について再検査が必要と記載されている可能性があります。結果票で対象となる検査項目を確認することが先です。

要経過観察はがん検診以外の判定が混在している可能性がある

「要経過観察」は、血圧や血液検査など一般的な健康診断で用いられることがある判定です。国立がん研究センターでは、がん検診の判定としては本来使用しない分類としています。

要経過観察と書かれている場合は、「どの検査項目についての判定なのか」「がんの疑いについての指示なのか」「がん以外の異常を経過観察する指示なのか」を確認してください。

がん検診の結果なのか、健康診断の別項目なのかで受診する診療科が変わります。結果票だけで判断できない場合は、検診機関へ問い合わせて対象項目と次回受診の時期を確認しましょう。

精密検査が必要なときは同じがん検診の受け直しで済ませない

要精密検査と判定されている場合は、原則として指示された精密検査へ進みます。「念のためもう一度同じがん検診を受けて、異常が出たら精密検査へ行こう」と自己判断する方法は適切ではありません。

大腸がん検診では、便潜血検査で1日分でも陽性となれば精密検査が必要であり、便潜血検査のやり直しは精密検査の代わりにならないと国立がん研究センターが明示しています。

他のがん検診でも、要精密検査となった理由や所見によって必要な検査は異なります。要精密検査の通知を受けたら、検診を繰り返すのではなく精密検査に対応する医療機関へつなげることが重要です。

要精密検査の通知を受けたら受診先を確認して精密検査まで進む

がん検診で要精密検査になっても、がんが確定したわけではありません。令和6年度の統計でも、要精密検査となった人のうち実際にがんが見つかった割合は、国が推奨する主ながん検診で約1〜6%です。

ただし、自分にがんがあるかどうかは精密検査を受けなければ確認できません。胃・大腸は消化器、肺は呼吸器、乳房は乳腺外科や乳腺外来、子宮頸部は精密検査に対応した婦人科を目安に受診先を探してください。

結果通知、精密検査依頼書、マイナ保険証または資格確認書などを準備し、必要な検査に対応できる医療機関を予約しましょう。「要再検査」や「要経過観察」と記載されている場合は、対象となった検査と次の対応を検診施設へ確認してください。