物忘れが増え、「認知機能検査では何をするのか」「健康診断で調べられるのか」と気になっている方もいるでしょう。認知機能の変化は、本人より家族や周囲が先に気づく場合もあります。
物忘れを年齢のせいと決めつけたり、反対に簡単なセルフチェックだけで認知症だと考えたりすると、必要以上に不安になったり、適切な受診が遅れたりするおそれがあります。
認知機能検査の内容やMMSE・HDS-R・MoCA-Jの違い、健康診断での物忘れ検査の扱い、認知症の初期症状として確認したい生活上の変化を整理します。
検査の点数だけでなく、日常生活の変化や周囲からの指摘も合わせて確認すれば、自宅で様子を見る状態と医療機関へ相談した方がよい状態を分けて行動できます。
認知機能検査は記憶や注意など複数の脳の働きを確認する検査
認知機能検査は、記憶力だけでなく見当識・注意力・言語能力など複数の認知機能を確認する検査です。認知症の診断そのものではなく、認知機能の状態を把握する目的で使われます。
記憶力だけでなく見当識や注意力なども確認する
認知機能とは、覚える、考える、判断する、言葉を理解するといった、生活を送るために必要な脳の働きをまとめた言葉です。認知機能検査では、単に「物を覚えられるか」だけを調べるわけではありません。
例えば、今日の日付や現在いる場所が分かるかを確認する見当識(時間や場所など自分が置かれた状況を把握する能力)、聞いた言葉を覚えて後から思い出す記憶、計算や数字を扱う注意力などを確認します。検査によっては、文章を書く、図形を写すといった課題も含まれます。
認知症では、原因となる病気や進行段階によって低下しやすい機能が異なります。そのため、複数の課題を組み合わせて確認すると、どの認知機能に変化がみられるのかを把握できます。
「人の名前だけ思い出しにくい」といった1つの変化だけで判断するのではなく、以前と比べて複数の認知機能や日常生活に変化がないかを確認することが大切です。
認知機能検査の点数だけでは認知症と診断できない
MMSEやHDS-Rなどには、認知機能低下の可能性を確認するための点数の目安があります。ただし、点数が目安を下回っただけで認知症と確定するわけではありません。
国立長寿医療研究センターでは、神経心理検査(記憶や注意など脳の働きを課題によって評価する検査)の結果は、体調や心理状態などの影響を受けるとしています。MMSEでは教育歴も結果に影響する可能性があります。
睡眠不足や強い緊張がある場合、聞こえにくさや見えにくさがある場合なども、課題へ十分に取り組めず、本来の認知機能を反映しにくいことがあります。検査を受ける際は、普段使用している眼鏡や補聴器を使用できるか医療機関へ確認しましょう。
医療機関では、認知機能検査だけでなく、症状の経過、生活への影響、身体診察、必要に応じた血液検査や画像検査などを組み合わせます。点数は診断名ではなく、詳しい評価が必要かを確認するための情報として扱われます。
MCIでは日常生活への大きな支障がない場合もある
MCI(Mild Cognitive Impairment:軽度認知障害)は、認知機能が正常な状態と認知症の中間にあたる状態です。物忘れなどの認知機能低下がみられる一方、日常生活には大きな支障がない場合が多い点が認知症との違いです。
例えば、以前より物を思い出しにくくなっていても、買い物や料理、金銭管理、外出などを大きな問題なく続けられている場合があります。本人が「少し忘れっぽくなった」と感じる段階で認知機能の変化が見つかるケースもあります。
一方で、MCIだから必ず認知症へ進むわけではありません。認知機能がその後も同程度で推移する人や、正常な範囲へ戻る人もいるため、1回の検査だけで将来を予測することはできません。
認知機能の変化が気になる場合は、検査結果だけで自己判断せず、生活上の変化も含めて確認しましょう。MCIを調べる検査については、別の記事で詳しく整理しています。
認知機能検査の内容はMMSE・HDS-R・MoCA-Jなどで異なる
代表的な認知機能検査にはMMSE、HDS-R、MoCA-Jなどがあります。確認する認知機能や課題の内容が異なるため、目的に合わせて検査が選ばれます。
| 検査 | 主な内容 | 所要時間の目安 | 満点 | 点数の目安 |
|---|---|---|---|---|
| MMSE | 見当識、記憶、計算、言語、図形模写など | 10~15分程度 | 30点 | 一般に23点以下で認知症が疑われる |
| HDS-R | 見当識、記憶、計算、数字の逆唱、言葉の流暢性など | 10~15分程度 | 30点 | 一般に20点以下で認知症が疑われる |
| MoCA-J | 視空間、遂行機能、注意、記憶、言語、見当識など | 10分程度 | 30点 | 日本語版では26点以上が健常範囲の目安 |
出典:認知症の検査|国立長寿医療研究センター、認知症・せん妄ケアマニュアル第2版|国立長寿医療研究センター
点数はスクリーニング(病気や異常の可能性がある人を絞り込むこと)の目安です。検査結果だけで認知症やMCIの有無を確定するものではありません。
MMSEは11項目で幅広い認知機能を確認する
MMSE(Mini-Mental State Examination:ミニメンタルステート検査)は、認知機能を広く確認するために使用される検査です。言葉による課題だけでなく、文章を書く課題や図形を写す課題も含まれます。
国立長寿医療研究センターによると、MMSEは時間と場所の見当識、3つの単語を覚えて後から答える課題、計算、物の名前を答える課題、文章の復唱など計11項目で構成されています。30点満点で評価され、一般には23点以下が認知症を疑う目安とされています。
ただし、23点以下なら認知症、24点以上なら問題なしと機械的に分けることはできません。検査時の体調や緊張、教育歴などによって得点が変わる可能性があるためです。
以前の検査結果が残っている場合は、今回の点数だけでなく経時的な変化も医師へ伝えましょう。日常生活で何が変わったのかという情報と合わせることで、追加評価が必要かをより具体的に確認できます。
HDS-Rは9項目で記憶を含む認知機能を確認する
HDS-R(改訂長谷川式簡易知能評価スケール)は、日本で使用されている代表的な認知機能検査の1つです。紙に図形を書くような動作性の課題を含まず、質問への回答を中心に進めます。
年齢、日時や場所の見当識、言葉の記憶、計算、数字を逆から答える課題、見せられた物を後から答える課題、一定の条件で言葉を挙げる課題など9項目で構成されます。30点満点で、一般には20点以下が認知症を疑う目安です。
MMSEとHDS-Rは似ていますが、課題の構成は同じではありません。そのため、「MMSEでは何点だったからHDS-Rでも同じ程度になる」と単純に換算することはできません。
点数を見る際は、どの検査を受けたのかを結果票で確認してください。過去の結果と比較する場合も、同じ検査を受けているかを確認したうえで、医師から説明を受けると変化を把握しやすくなります。
MoCA-JはMCIを含む軽度の認知機能低下の評価に使われる
MoCA-J(Japanese version of Montreal Cognitive Assessment:日本語版モントリオール認知評価)は、MMSEやHDS-Rと同じく認知機能を短時間で確認するスクリーニング検査です。
視空間認知、遂行機能(計画を立てて順序よく行動する能力)、注意、記憶、言語、見当識など複数の領域を評価します。国立長寿医療研究センターのマニュアルでは、特にMCIの検出を意図して開発された検査とされています。
所要時間は10分程度で、30点満点です。日本語版では26点以上が健常範囲とされていますが、この数値も診断を確定する境界ではありません。年齢、教育歴、体調、検査環境などを含めて解釈する必要があります。
「認知症ではないか」だけでなく、以前より認知機能が低下している感覚があり、日常生活はおおむね保たれている場合にも、医師が必要性を判断したうえで認知機能検査が行われます。
物忘れ検査は会社の定期健康診断の法定項目には含まれない
会社などで実施される法定の定期健康診断には、MMSEやHDS-Rなどの認知機能検査は検査項目として定められていません。受けたい場合は、別に検査できるか確認する必要があります。
定期健康診断では血圧や血液検査などが法定項目になる
労働安全衛生規則に基づく定期健康診断では、既往歴や自覚症状の確認、身体測定、視力・聴力、胸部X線、血圧、血液検査、尿検査、心電図などが検査項目として定められています。
厚生労働省が示す定期健康診断の項目には、MMSE・HDS-Rなどの認知機能検査は含まれていません。そのため、勤務先で毎年受けている健康診断だけで認知機能まで自動的に調べられるとは限りません。
ただし、問診で「最近物忘れが増えた」などの症状を医師へ伝えることはできます。気になる変化がある場合は、健康診断の結果を待つだけではなく、症状の内容やいつから続いているのかを医療機関へ伝えましょう。
一般的な健康診断で確認する項目については別の記事で整理しています。認知機能検査との違いを確認する際は、健康診断の検査項目も合わせて確認できます。
健康診断と同時に受けたい場合はオプションの有無を確認する
健康診断と同じ日に認知機能を調べたい場合は、受診する医療機関が認知機能検査を扱っているか事前に確認しましょう。施設ごとに実施している検査やコースの名称、対象者、予約方法が異なります。
「物忘れ検査」「認知機能検査」「認知症検査」など名称が似ていても、実際の検査内容がMMSEなのか、HDS-Rなのか、別の認知機能評価なのかは施設によって異なります。申し込み前に検査項目まで確認してください。
すでに物忘れによって仕事や家事に支障が出ている場合は、健診のオプション検査だけで済ませず、医療機関の診療を受ける方が適しています。診療では症状の経過や生活状況を確認し、必要に応じて血液検査や画像検査へ進めます。
人間ドックで追加する検査の考え方は、認知機能検査以外も含めて別の記事で整理しています。
後期高齢者の質問票では認知機能に関する質問が含まれる
すべての健康診断で認知機能を確認しない一方、後期高齢者の保健事業などで使用される「後期高齢者の質問票」には、認知機能の低下のおそれを把握するための質問が含まれています。
厚生労働省の資料では、周囲から同じ質問を繰り返すなどの物忘れを指摘されているか、今日の日付が分からないことがあるかを確認します。質問への回答だけで認知症を診断するものではありません。
質問から認知機能低下のおそれが考えられる場合は、日常生活で困っていることがないかなどを追加で確認し、必要に応じて認知機能検査や医療機関への相談につなげる考え方が示されています。
「健康診断で物忘れについて聞かれた」という場合は、どの制度や質問票による確認だったのかを確認しましょう。質問票と、MMSE・HDS-Rなどの認知機能検査は同じものではありません。
認知症の初期症状チェックは物忘れと生活の変化を合わせて確認する
認知症の初期には物忘れだけでなく、判断・理解、時間や場所の把握、意欲などに変化がみられることがあります。以前はできていた生活行動に変化がないかも確認しましょう。
- 短い間に同じ話や質問を繰り返すようになった
- 最近あった出来事そのものを思い出せないことが増えた
- 約束の日付や場所を間違えることが増えた
- 慣れている場所で道順が分からなくなることがある
- 料理・買い物・支払い・服薬管理などでミスが増えた
- 新しい操作や手順を覚えることが難しくなった
- 以前より意欲が低下したり人柄の変化を指摘されたりする
該当する項目があるだけで認知症とは判断できません。以前との違い、変化が続いている期間、生活への影響を合わせて確認してください。
加齢による物忘れでは体験の一部を忘れることが多い
年齢を重ねると、人の名前や昨日の食事内容など、知っている情報をすぐに思い出せないことがあります。こうした加齢による物忘れでは、体験した出来事の一部を忘れているケースが多いとされています。
例えば、「朝食を食べたことは覚えているが、何を食べたか思い出せない」という状態です。ヒントを聞くと思い出せる、忘れたこと自体を本人が自覚しているといった特徴もみられます。
物忘れがあるからといって、すべてを認知症の初期症状と考える必要はありません。一方で、「年齢のせいだから」と決めつけてよいわけでもなく、頻度が増えているか、以前と比べて生活上のミスが増えていないかを確認します。
同じ変化が数週間や数か月にわたって続いている場合や、本人だけでなく家族も変化に気づいている場合は、具体的な出来事を記録して医療機関へ相談すると状況を説明しやすくなります。
認知症による物忘れでは体験そのものを忘れる場合がある
認知症による物忘れでは、出来事の細部ではなく、体験した出来事そのものを忘れることがあります。例えば、食事の内容ではなく、食事をしたこと自体を覚えていないといった変化です。
国立長寿医療研究センターでは、認知症による物忘れでは、手がかりがあっても思い出しにくい、もの忘れへの自覚が乏しい場合があるなどの特徴を示しています。ただし、初期には本人が変化を自覚しているケースもあります。
さらに、認知症では記憶以外にも変化が生じます。買い物で同じ物を繰り返し購入する、薬の管理が難しくなる、ATMなど以前使えていた機器の操作ができなくなる、慣れた場所で迷うといった生活上の変化も確認します。
本人の記憶力だけを試すのではなく、「半年ほど前と比べて何ができなくなったか」を具体的に整理すると、認知機能の変化を把握しやすくなります。
突然の顔や腕の麻痺と言葉の異常は物忘れとして様子を見ない
認知機能の変化が気になっていても、突然の症状は認知症の初期症状だけを想定して様子を見ないことが重要です。脳卒中など、速やかな対応が必要な病気でも理解や言葉に異常が生じることがあります。
厚生労働省は、突然、顔の半分が動きにくくなる、片方の腕や足に力が入らなくなる、ろれつが回らずうまく話せないといった症状がある場合は、すぐに救急車を呼ぶ症状として案内しています。
特に「昨日までは普段どおりだったのに急に会話が成立しなくなった」「突然言葉が出なくなった」といった変化は、数か月かけて進む物忘れと同じように扱わないでください。顔・腕・言葉などにも急な異常があれば119番へ連絡します。
一方、緩やかな物忘れが続いていて生活上の支障が増えている場合は、かかりつけ医やもの忘れ外来などへ相談します。症状が起きた速さによって取るべき行動を分けましょう。
認知機能検査を受ける目安は以前からの変化が続いているとき
認知機能検査は年齢だけで受けるかを決めるのではなく、本人や家族が以前との違いを感じているか、生活に影響が出ているかを確認して受診につなげます。
同じ物忘れやミスが繰り返されるときは相談する
誰でも一時的に予定を忘れたり物の置き場所が分からなくなったりすることはあります。注目したいのは、同じ種類の物忘れやミスが以前より増え、繰り返し起きる状態になっているかです。
例えば、同じ予定を何度確認しても忘れる、同じ商品を繰り返し買う、薬を飲んだことを忘れて再び飲もうとするなど、生活の中で同じ問題が続いている場合は、単発の物忘れと分けて考えます。
受診時には、「最近忘れっぽい」とだけ伝えるより、何が起きたのか、いつ頃から増えたのか、週に何回程度起きるのかを具体的に説明すると、医師が経過を把握しやすくなります。
スマートフォンやメモ帳に出来事と日付を記録しておく方法もあります。本人だけでは気づきにくい変化があるため、家族や身近な人が確認した出来事も一緒に整理しましょう。
家族や周囲から変化を指摘されたときも確認する
認知機能が低下している場合、本人が変化を十分に自覚できないことがあります。そのため、家族や職場など身近な人から繰り返し同じ変化を指摘された場合も、認知機能を確認するきっかけになります。
具体的には、「同じ質問を何度もするようになった」「約束を忘れることが増えた」「以前できていた手続きに時間がかかる」といった指摘です。性格や意欲の変化から周囲が異変に気づく場合もあります。
ただし、家族の指摘だけで認知症と考えることも適切ではありません。気分の落ち込みや睡眠不足、身体の病気など、認知症以外の原因によって集中力や記憶力が低下することもあります。
本人と家族で認識が異なる場合も、どちらかの話だけを正しいと決めず、実際に起きた出来事を医師へ伝えましょう。診察では日常生活の状況を含めて評価します。
家事や金銭管理など生活に影響が出たら医療機関へ相談する
物忘れに加えて、家事、買い物、金銭管理、服薬管理、外出などへ影響が出ている場合は、セルフチェックだけで終わらせず医療機関へ相談しましょう。
例えば、公共料金の支払いができなくなった、薬の飲み方を繰り返し間違える、慣れたスーパーから自宅へ戻れなくなるなど、以前は問題なく行えていた生活行動が難しくなっている状態です。
認知症と似た症状は、別の身体疾患や精神的な状態などによって生じる場合もあります。原因によって必要な対応が変わるため、「物忘れがあるから認知症だろう」と自己判断するのではなく、医療機関で原因を確認する必要があります。
受診先が分からない場合は、まずかかりつけ医へ相談できます。厚生労働省は、もの忘れ外来、認知症疾患医療センター、認知症の専門医、地域包括支援センターなども相談先として案内しています。
認知機能検査で低い点数が出た後は追加の評価で原因を確認する
認知機能検査で点数が低かった場合も、すぐに診断が確定するわけではありません。症状の経過や生活状況を確認し、必要な検査を組み合わせて原因を調べます。
問診では本人と家族から生活上の変化を確認する
認知症の診断では、検査の点数だけでなく、いつからどのような変化が始まったのかという経過が重要です。医療機関では、現在の症状、これまでの病気、服用中の薬などについて確認します。
認知機能が低下すると、本人が生活上の変化を認識しにくくなる場合があります。そのため、家族や身近な人が把握している具体的な出来事が診察で役立つことがあります。
「財布をなくすようになった」だけではなく、「以前はなかったが3か月ほど前から週に数回探すようになった」など、以前との違いが分かるように整理してください。家事、仕事、運転、買い物、服薬などへの影響も確認します。
服用中の薬がある場合は、お薬手帳なども持参しましょう。受診する医療機関から持ち物や付き添いについて案内がある場合は、その指示に従って準備してください。
血液検査やMRI・CTなどを組み合わせて原因を調べる
認知機能検査で低下が疑われた場合、必要に応じて血液検査や画像検査などが追加されます。認知症と似た症状を示す別の原因がないかを確認し、認知機能低下の背景を調べるためです。
CTやMRIは、脳の形態や脳血管の異常などを画像で確認する検査です。一方、MMSEやHDS-Rは、質問や課題を通して認知機能を評価する検査であり、調べている対象が異なります。
そのため、MRIだけを受ければ認知機能の状態がすべて分かるわけではありません。また、国立長寿医療研究センターでは、アルツハイマー病の初期にはMRIで異常がみられない場合もあるとしています。
画像検査を含む脳ドックと認知機能検査の役割は分けて考えましょう。脳ドックの検査内容や受診する目安は別の記事で詳しく確認できます。
受診先はもの忘れ外来やかかりつけ医などから選ぶ
認知機能の変化が気になっても、どの診療科を受診すればよいか分からない場合があります。受診先としては、もの忘れ外来や認知症を診療する医療機関、普段診てもらっているかかりつけ医があります。
国立長寿医療研究センターでは、脳神経内科、精神科、老年内科なども相談先として案内しています。医療機関によって対応する診療内容が異なるため、予約前に認知機能や物忘れの相談を受け付けているか確認しましょう。
地域で受診先が見つからない場合は、認知症疾患医療センターや地域包括支援センターへ相談する方法もあります。厚生労働省のWebサイトでは、認知症について相談できる窓口が案内されています。
「検査を受けるほどではないかもしれない」と迷っていても、生活への支障や周囲からの指摘が続いている場合は、その状態自体を相談できます。診察を受けたうえで、認知機能検査が必要か医師に確認してください。
認知機能検査は点数だけで判断せず生活の変化と合わせて確認する
認知機能検査では、記憶、見当識、注意、言語など複数の認知機能を確認できます。ただし、検査結果だけで認知症やMCIを確定することはできません。
- MMSE・HDS-R・MoCA-Jなどは認知機能を確認するスクリーニング検査
- MMSEは一般に23点以下、HDS-Rは20点以下が認知症を疑う目安
- MoCA-JはMCIを含む軽度の認知機能低下を確認する目的でも使用される
- 会社の法定定期健康診断には認知機能検査は含まれていない
- 認知症の初期症状は物忘れだけでなく生活上の変化も確認する
- 検査結果が低い場合は問診や血液検査、画像検査などを組み合わせて原因を確認する
物忘れの頻度が以前より増えている、家族から同じ変化を繰り返し指摘される、買い物や服薬管理などに影響が出ている場合は、セルフチェックだけで判断せず医療機関へ相談しましょう。
一方、突然の顔や手足の麻痺、言葉の異常などが生じた場合は、緩やかな認知機能低下とは分けて対応する必要があります。脳卒中が疑われる症状が突然現れた場合は119番へ連絡してください。


