ほくろやしみの形・色が変わり、皮膚がん検査では何を調べるのか、ダーモスコピー検査でがんまで分かるのか不安を感じる場合があります。
皮膚がんは見た目だけで自己判断できない場合があります。良性に見える病変と皮膚がんが似るケースもあるため、気になる変化を放置せず皮膚科で確認することが重要です。
皮膚がん検査では、視診に加えてダーモスコピー検査を行い、必要に応じて皮膚の一部または全部を採取する生検・病理検査へ進みます。
検査ごとの役割や痛みの有無、確定診断までの流れを知ると、皮膚の変化が気になった際に受診の必要性と受診後の流れを把握できます。
皮膚がん検査は視診・ダーモスコピー・生検を組み合わせて行う
皮膚がん検査は、視診から始まり、必要に応じてダーモスコピー検査や生検へ進むのが主な流れです。最初から皮膚を切り取って調べるわけではありません。
病変の見た目、大きさ、発生部位、変化の経過などを確認し、皮膚がんの可能性に応じて検査を追加します。視診・ダーモスコピー・生検では、それぞれ確認できる内容と役割が異なります。
視診と問診で病変の形や色と変化の経過を確認する
皮膚がん検査では、最初に医師が病変を直接見る視診と、病変の経過を確認する問診を行います。視診では、病変の形、大きさ、色、境界、盛り上がり、表面のただれや出血などを確認します。
問診では、病変がいつ現れたか、以前より大きくなっているか、色や形が変わったか、出血・痛み・かゆみなどがあるかを確認します。以前からあるほくろの場合でも、短期間で大きさや色が変化していれば診察上重要な情報になります。
現在の見た目だけでなく、時間とともに病変がどう変化したかを伝えることが重要です。以前に撮影した写真が残っている場合は、撮影日が分かる写真を受診時に提示すると、病変の変化を医師が確認する際に役立ちます。
視診だけで判断しにくい病変はダーモスコピーで拡大観察する
視診で皮膚がんの可能性を詳しく確認する必要がある場合には、ダーモスコピー検査が行われます。ダーモスコピー検査では、ダーモスコープと呼ばれるライト付きの拡大鏡を用いて、肉眼では確認しにくい色素の分布や皮膚内部の構造を観察します。
メラノーマ(悪性黒色腫)や基底細胞がんなどでは、良性のほくろやしみと見た目が似る場合があります。ダーモスコピーを使うことで、肉眼による診察だけでは分かりにくい模様や色の特徴を追加して評価できます。
ダーモスコピー検査では皮膚組織を採取しないため、通常は皮膚を切らずに受けられます。ただし、ダーモスコピーの所見だけですべての病変を確定診断できるわけではなく、皮膚がんを否定できない場合には生検が検討されます。
皮膚がんを否定できない場合は生検と病理検査で組織を調べる
視診やダーモスコピー検査を行っても皮膚がんを否定できない場合には、生検が行われることがあります。生検は、病変の一部または全部から皮膚組織を採取し、顕微鏡で詳しく調べるための検査です。
採取した組織は病理検査に提出され、細胞や組織の形を確認します。病変の種類、大きさ、発生部位などによって、病変全体を採取する方法と一部のみを採取する方法が使い分けられます。
視診やダーモスコピーは病変の特徴を評価する検査で、生検・病理検査は組織そのものを調べる検査という違いがあります。皮膚がん検査では1種類の検査だけで判断するのではなく、診察結果に応じて必要な検査を段階的に組み合わせます。
| 段階 | 主な検査 | 確認する内容 | 皮膚の採取 | 主な役割 |
|---|---|---|---|---|
| 診察 | 問診・視診 | 形、色、大きさ、表面の状態、経時的な変化など | なし | 皮膚がんを疑う所見があるか確認する |
| 拡大観察 | ダーモスコピー検査 | 色素の分布、模様、皮膚内部の構造、血管など | なし | 良性病変と皮膚がんを見分ける精度を高める |
| 精密検査 | 生検・病理検査 | 採取した皮膚組織の細胞や構造 | あり | がんかどうかを詳しく調べる |
| 診断後の評価 | CT・MRI・PET・超音波検査など | リンパ節や臓器への広がり | 通常なし | 病期や治療方針を決めるために行う場合がある |
厚生労働省が市町村による対策型がん検診として推進しているのは、胃がん・肺がん・大腸がん・乳がん・子宮頸がんです。皮膚がんは国が推奨する対策型がん検診には含まれていません。
皮膚に気になる変化が生じた場合は、定期的ながん検診の時期を待つのではなく、皮膚科で病変を診察してもらう必要があります。
ダーモスコピー検査では皮膚を切らずに色素や構造を拡大して確認する
ダーモスコピー検査は、ダーモスコープと呼ばれるライト付きの拡大鏡を使って皮膚病変を観察する検査です。皮膚を切らずに病変の色や構造を詳しく確認できる点が特徴です。
ダーモスコープで色素の分布や皮膚内部の構造を確認する
ダーモスコープは、偏光フィルターなどを使って皮膚表面で起こる光の反射を抑え、肉眼では確認しにくい色素や皮膚内部の構造を観察する機器です。メラノーマ診療ガイドライン2025では、病変を10倍程度に拡大して観察する方法として説明されています。
国立がん研究センターでは、メラノーマ(悪性黒色腫)や基底細胞がんが疑われる場合に、ダーモスコピー検査を用いて病変を詳しく観察すると説明しています。肉眼だけでは確認しにくい色の分布や構造を確認できるため、ほくろ・しみなどの良性病変と皮膚がんを見分ける際に使われます。
日本皮膚科学会の診療ガイドラインでも、ダーモスコピーの訓練を受けた医師が使用すると、肉眼だけで診察する場合よりメラノーマの診断精度が向上するとされています。色素を伴う皮膚病変を詳しく診察する際に重要な検査です。
ダーモスコピー検査は通常皮膚を傷つけず痛みも伴わない
ダーモスコピー検査では、ダーモスコープを病変に近づけたり皮膚へ軽く当てたりして観察します。皮膚組織を採取する操作はないため、通常は痛みを伴いません。日本皮膚科学会も、痛みを伴わず皮膚病変の表面を拡大して観察できる検査と説明しています。
検査機器によっては、皮膚表面の反射を抑えるためにジェルなどを使用する場合があります。顔にある病変を調べる際は、化粧品が観察を妨げる可能性があるため、受診先からメイクを落とすよう案内される場合があります。
特別な前処置が必要になる検査ではありませんが、病変を隠す化粧品やテープなどを使用している場合は、受診時に医療機関へ確認すると検査を進めやすくなります。過去に撮影した病変の写真があれば、大きさや色の変化を医師が確認する際にも役立ちます。
ダーモスコピー検査だけで診断が確定しない場合は生検へ進む
ダーモスコピー検査は皮膚がんの診察に役立ちますが、ダーモスコピーだけですべての病変を確定診断できるわけではありません。見た目やダーモスコピー所見だけでは良性・悪性を区別しにくい病変もあります。
日本皮膚科学会では、肉眼による診察やダーモスコピー検査でメラノーマを否定できない場合、生検を行って病理組織学的に調べることを示しています。病変の一部または全部を採取し、顕微鏡で細胞や組織の状態を確認します。
ダーモスコピー検査の結果だけを自己判断するのではなく、医師が視診、病変の経過、ダーモスコピー所見などをまとめて評価します。生検を提案された場合は、採取方法や傷の大きさ、結果が分かる時期について説明を受けてから検査へ進みましょう。
皮膚がん検査で生検が必要になる場合と病理検査の内容
視診やダーモスコピー検査だけでは診断が難しい場合、病変から組織を採取する生検を行います。採取した組織を顕微鏡で調べる病理検査が、がんの診断を詳しく確認する検査です。
皮膚がんが否定できない病変では生検が行われる
生検(せいけん)とは、病気が疑われる部分から組織を採取して調べる検査です。視診やダーモスコピー検査で皮膚がんの可能性を否定できない場合などに行われます。すべてのほくろやしみに生検が必要になるわけではありません。
皮膚がんにはメラノーマ、基底細胞がん、有棘細胞がんなどがあり、病変の特徴によって検査の進め方が異なります。基底細胞がんではダーモスコピー検査でも診断が難しい場合に生検が行われ、有棘細胞がんでも正確な診断のために皮膚生検が行われる場合があります。
生検では皮膚を採取するため、必要に応じて局所麻酔などを使用します。生検を行うかどうかは病変の種類、大きさ、部位、見た目などを医師が評価して決めます。自己判断で病変を削ったり切ったりせず、皮膚科で診察を受けてください。
生検には病変全体を取る方法と一部を取る方法がある
皮膚の生検には、病変全体を切除して調べる方法と、病変の一部を採取して調べる方法があります。採取方法は疑われる病気、病変の大きさ、発生部位、切除後の傷への影響などを考慮して決まります。
メラノーマ診療ガイドライン2025では、メラノーマが疑われる病変について、病変全体を切除して調べる全切除生検が望ましいとされています。一方、病変が大きい場合や、顔・手のひら・足の裏・指・耳など、全体を切除すると傷の修復が大きくなる部位では部分生検を考慮する場合があります。
部分生検を受けたからといって転移が促されると考える必要はありません。日本皮膚科学会では、部分生検によってメラノーマの転移が促進されるという考えは近年の研究でほぼ否定されていると説明しています。
病理検査では採取した組織を顕微鏡で詳しく確認する
採取した皮膚組織は病理検査へ送られ、病理医が顕微鏡で細胞や組織の形を調べます。国立がん研究センターでは、組織診はがんであるかどうかを確定するために行い、がんと診断された場合には性質も詳しく調べると説明しています。
病理検査の結果が出るまでの期間は、一般的に数日から数週間です。病変の種類や追加検査の必要性、医療機関の検査体制によって結果までの日数は変わります。
結果説明では、良性か悪性かだけでなく、追加切除や別の検査が必要か確認します。皮膚がんと診断された場合は、皮膚がんの種類や病変の厚さ、広がりなどを踏まえて治療方針が決められます。
皮膚がんを疑う変化がある場合は皮膚科を受診する
皮膚がん検査を受けるきっかけとして重要なのは、新しく現れた病変や以前からあるほくろ・しみの変化です。色が黒い病変だけが皮膚がんとは限りません。
メラノーマでは形・境界・色・大きさ・変化を確認する
メラノーマの見た目を確認する目安として、ABCDEルールがあります。Aは左右非対称、Bは境界が不規則、Cは色にむらがある、Dは直径が6mmを超える、Eは大きさ・色・形などが変化する状態を意味します。
ABCDEルールに当てはまる病変がすべてメラノーマという意味ではなく、ABCDEルールに当てはまらないメラノーマもあります。日本皮膚科学会のガイドラインでは、結節型メラノーマや色素が目立たないメラノーマではABCDEルールを当てはめにくいとされています。
短期間で大きくなる、形や色が変わるなどの経時的な変化がある場合は、直径だけで自己判断せず皮膚科を受診してください。昔から存在するほくろでも、以前と異なる変化が生じた場合は診察を受ける理由になります。
黒くない赤いできものや治りにくいただれにも皮膚がんが含まれる
皮膚がんは黒いほくろのような病変だけではありません。有棘細胞がんでは、通常の肌色から赤色の病変が現れ、表面がかさついて硬くなったり、少し盛り上がったり、しこりになったりする場合があります。
基底細胞がんでは、小さな黒い点から始まり、複数の点が集まって広がる場合があります。進行すると中央がへこんで潰瘍になることもあります。皮膚がんの種類によって外見が異なるため、黒色かどうかだけで良性・悪性を判断しないことが重要です。
治りにくいただれや潰瘍、繰り返し出血するできもの、徐々に大きくなるしこりなどが続く場合も皮膚科で確認してください。傷や湿疹など別の病気でも似た変化は起こるため、外見だけで病名を決めず診察を受けます。
受診時は病変が現れた時期と変化を医師へ伝える
皮膚科を受診する際は、病変が現れた時期、大きさや色の変化、出血や痛みの有無などを医師へ伝えます。経過が分かる情報があると、現在の見た目だけでは分かりにくい変化も確認しやすくなります。
スマートフォンなどで以前の病変を撮影している場合は、過去の写真も診察時に提示できます。撮影日が分かる写真であれば、大きさや色、形が時間とともに変化したか確認する助けになります。
皮膚がん検査の受診先は皮膚科が中心です。ダーモスコピーを設置していない皮膚科もあるため、ダーモスコピー検査を希望する場合は受診前に医療機関のWebサイトや電話で対応状況を確認しましょう。
皮膚がんと診断された後は必要に応じて画像検査で広がりを確認する
皮膚がんと診断された後は、がんの種類や進行度に応じて追加検査が行われます。CT・MRI・PET・超音波検査などを使い、リンパ節や離れた臓器への広がりを確認する場合があります。
画像検査は、皮膚がんが疑われる人全員が最初から受ける検査ではありません。病理検査の結果や病変の状態を踏まえ、病期や治療方針を決めるために必要な検査が選ばれます。
CTやMRIではリンパ節や臓器への広がりを確認する
CT検査はX線を使って体の断面を撮影し、胸部や腹部などの臓器、リンパ節に病変が広がっていないか確認する検査です。皮膚表面だけでは確認できない体内の状態を画像として調べられます。
MRI検査は強い磁場と電波を利用して体内を画像化する検査です。脳や軟部組織などを詳しく調べる際に使用される場合があり、皮膚がんの種類や疑われる転移部位などによって検査の必要性が判断されます。
CTやMRIの目的は皮膚表面の病変ががんかどうかを最初に判定することではなく、診断後に体内への広がりを評価することです。病変の種類や進行度によって必要な画像検査は異なるため、すべての患者が同じ検査を受けるわけではありません。
PETや超音波検査を追加して転移の有無を調べる場合がある
PET検査は、放射性物質を含む薬剤を使用して、体内で薬剤が集まりやすい場所を画像化する検査です。皮膚がんの種類や進行度によっては、離れた臓器やリンパ節への転移を調べる目的で行われる場合があります。
超音波検査は、体の表面から超音波を当てて内部の状態を画像として確認する検査です。皮膚病変の近くにあるリンパ節などを調べる際に利用される場合があります。放射線を使用しない点も特徴です。
必要な画像検査は皮膚がんの種類、病変の厚さや大きさ、リンパ節の状態などによって変わります。画像検査の種類を患者自身で選ぶのではなく、病理検査や診察の結果を踏まえて医師が検査内容を決めます。
画像検査は皮膚がん検査の最初の段階で必ず行うものではない
ほくろやしみなどの皮膚病変が気になって受診した場合、通常は視診やダーモスコピー検査など、病変そのものを確認する診察から始まります。皮膚がんの可能性を否定できない場合には、生検・病理検査によって組織を詳しく調べます。
CTやMRI、PETなどの画像検査は、皮膚がんと診断された後に病期や転移の有無を調べる目的で行われる場合がある検査です。気になるほくろがあるという理由だけで、最初から全身のCTやPETを受ける流れになるとは限りません。
血液検査や腫瘍マーカーだけで皮膚病変の良性・悪性を判断するわけでもありません。皮膚がんが疑われる場合は皮膚科で病変を直接診察してもらい、必要に応じてダーモスコピーや生検へ進むことが重要です。
皮膚がん検査は気になる病変を皮膚科で確認することから始める
皮膚がん検査では、まず皮膚科医が病変の形や色、経時的な変化を確認します。必要に応じてダーモスコピーで皮膚を拡大観察し、良性・悪性の区別が難しい場合には生検・病理検査へ進みます。
ダーモスコピー検査は通常、皮膚を切らず痛みを伴わずに受けられます。一方、ダーモスコピーだけですべての皮膚がんを確定診断できるわけではありません。
ほくろやしみが急に大きくなる、色や形が変化する、治りにくいただれや出血が続く場合は皮膚科を受診しましょう。皮膚がんかどうかを自己判断せず、必要な検査を医師と確認することが重要です。




