感染症検査とは?主な種類と陽性・陰性の結果の見方を解説

感染症検査を受けても、PCR・抗原・抗体などの違いや、「陽性」「陰性」が何を意味するのか分からず、結果をどう受け止めればよいか迷うことがあります。

検査の種類によって調べている対象は異なり、陰性でも検査時期によっては感染を否定できない場合があります。反対に、スクリーニング検査の陽性だけでは診断が確定しない感染症もあります。

感染症検査の仕組みと主な種類、血液・尿・ぬぐい液などの検体の違い、陽性・陰性の結果の見方を整理します。B型・C型肝炎やHIV、梅毒などの具体例も確認します。

検査結果を1つの記号だけで判断せず、検査方法や受けた時期まで含めて確認すると、再検査や医療機関への受診が必要かを適切に確認できます。

感染症検査とは病原体や感染に対する体の反応を調べる検査

感染症検査とは病原体や感染に対する体の反応を調べる検査

感染症検査は、ウイルスや細菌などの病原体そのもの、または感染に対して体内で生じる反応を調べる検査です。同じ感染症でも目的や受診時期によって使われる検査が変わります。

病原体そのものを検出して現在の感染を調べる

感染症を調べる方法の1つは、採取した検体から病原体そのものを探す方法です。PCRなどの核酸検査では病原体の遺伝子を、抗原検査では病原体を特徴づけるたんぱく質などを検出します。新型コロナウイルス感染症では、PCR検査や抗原検査がこの考え方に当たります。

病原体を直接調べる検査は、検体を採取した時点で病原体が存在するかを確認する目的で使われます。ただし、感染していても病原体の量が少なければ検出できない場合があります。感染した直後や症状が出てから時間が経過した時期など、検査を受けるタイミングも結果へ影響します。

また、鼻やのど、血液、尿など、病原体が存在しやすい場所は感染症ごとに異なります。PCRという検査名だけを見て精度を判断するのではなく、「何の感染症について」「どの検体を使って」「いつ検査したか」まで確認する必要があります。

抗体検査では感染に対して起こった免疫反応を調べる

抗体検査は、病原体そのものではなく、感染などをきっかけとして体内で作られた抗体を調べる検査です。抗体とは、ウイルスや細菌などの異物を認識する免疫反応に関係する物質です。HIV、梅毒、ウイルス性肝炎などでは血液を使った抗体検査が行われる場合があります。

抗体が作られるまでには一定の時間が必要なため、感染して間もない時期では、実際には感染していても抗体が十分に検出されないことがあります。このような感染してから検査で検出できるようになるまでの期間は「ウインドウ期」と呼ばれます。

さらに、抗体の意味は感染症や検査項目によって同じではありません。抗体陽性が現在の感染を示す場合もあれば、過去の感染や免疫反応を反映する場合もあります。結果票に「抗体陽性」と書かれていても、それだけで現在感染していると自己判断せず、検査項目の意味を確認してください。

血液・尿・ぬぐい液など感染症に合わせて検体を選ぶ

感染症検査で使用する検体は血液だけではありません。血液、鼻やのどのぬぐい液、唾液、尿、便、喀痰、性器などから採取した分泌物といった複数の検体が使われます。検体の種類は、調べる病原体と感染が疑われる部位によって決まります。

主な検体 検査される感染症の例 主に調べるもの
血液 HIV、梅毒、B型・C型肝炎など 抗原、抗体、病原体の核酸など
鼻・のどのぬぐい液 新型コロナウイルス感染症など 抗原、病原体の核酸など
尿 一部の性感染症など 病原体の核酸など
病変部・分泌物 梅毒や一部の性感染症など 病原体、抗原、核酸など

検査方法だけでなく、適切な部位から検体を採取できているかも結果に関係します。例えば感染が疑われる部位と異なる場所だけを検査した場合、その部位の感染について十分に確認できない可能性があります。

特定の感染機会や症状について調べる場合は、「感染症検査を受けたい」とだけ伝えるのではなく、症状がある場所、症状が始まった時期、感染の可能性があった時期などを医療機関へ伝えてください。必要な検査や検体を医師が選ぶ際の重要な情報になります。

感染症検査の主な種類は核酸・抗原・抗体・培養などに分かれる

感染症検査の主な種類は核酸・抗原・抗体・培養などに分かれる

感染症検査は「何を検出するか」で整理すると理解しやすくなります。代表的なのは、核酸検査、抗原検査、抗体検査、培養検査などです。

検査の種類 主に調べる対象 特徴 結果を見る際の主な注意点
核酸検査 病原体のDNA・RNAなど PCR法やLAMP法などで病原体の遺伝情報を調べる 検体採取時期や採取部位、検出限界などによって陰性となる場合がある
抗原検査 病原体を構成するたんぱく質など 比較的短時間で結果が得られる検査もある 病原体量が少ない時期には検出できない場合がある
抗体検査 感染などに対して体内で作られた抗体 血液を使う検査が多い 感染直後では抗体がまだ検出されない場合があり、抗体陽性の意味も項目ごとに異なる
培養・顕微鏡など 病原体そのもの 病原体を増殖させたり直接観察したりして確認する 必要な検体や結果までの日数は病原体によって異なる

PCRなどの核酸検査は病原体の遺伝情報を調べる

核酸検査は、病原体が持つDNAやRNAなどの核酸を検出する方法です。PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法は、検体中にある特定の遺伝子配列を増幅して検出します。LAMP法など、PCRとは異なる仕組みで核酸を増幅する検査もあります。

核酸検査は、病原体に特徴的な遺伝子配列を調べられることが特徴です。新型コロナウイルス感染症をはじめ、さまざまな感染症の病原体検査で利用されています。複数の病原体を同時に調べる多項目遺伝子関連検査が用いられる場面もあります。

ただし、核酸検査が陰性だからといって、どの時期でも感染を完全に否定できるわけではありません。検体中の病原体量が検出できる量に達していない場合や、適切な部位から検体を採取できていない場合などがあるためです。結果は症状や経過と合わせて評価します。

抗原検査は病原体を特徴づける成分を検出する

抗原検査は、病原体を特徴づけるたんぱく質などを検出する検査です。新型コロナウイルス感染症では抗原定性検査と抗原定量検査が使われており、PCR検査とは検出している対象が異なります。

抗原定性検査には、検体を採取して比較的短時間で陽性・陰性を判定できるものがあります。そのため、検査結果を早く確認する必要がある場面で使われることがあります。一方、検査ごとに性能や使用できる条件が異なるため、「抗原検査」という名称だけで検査結果の確実性を一律に比較することはできません。

抗原が十分に検出できない時期では、感染していても陰性となる可能性があります。市販の検査キットを利用する場合も、対象となる感染症に対して承認された製品なのか、検体採取方法や判定時間を守れているかを確認してください。

抗体検査は現在の感染だけを示すとは限らない

抗体検査は、感染などに反応して免疫系が作った抗体を検出します。検査対象によっては現在の感染を確認するためのスクリーニングとして使われる一方、過去の感染や免疫状態を確認する目的で使われるものもあります。

例えば新型コロナウイルス感染症では、厚生労働省は抗体検査を急性期の感染診断には用いず、過去の感染を調べるための検査として説明しています。また、HIV検査では抗体や抗原を利用したスクリーニング検査が行われ、陽性となった場合には確認検査へ進みます。

つまり、「抗体陽性=現在感染中」という読み方をすべての感染症へ当てはめることはできません。検査結果票では、何に対する抗体を測定したのか、スクリーニングなのか、現在の感染確認に追加検査が必要なのかまで確認しましょう。

培養検査や顕微鏡検査で病原体を直接確認する場合もある

感染症によっては、採取した検体を培地で増殖させる培養検査や、病変部から採取した検体を顕微鏡で確認する方法が利用されます。国立健康危機管理研究機構の病原体検出マニュアルでも、感染症ごとに培養法や核酸検出法など複数の検査方法が示されています。

培養検査では、検出された細菌などについて薬剤への反応を追加で調べることがあります。どの抗菌薬が作用しやすいかを確認する薬剤感受性試験へつながる場合があり、単に病原体の有無だけを確認する検査とは役割が異なります。

一方で、病原体によって培養に必要な条件や日数が異なり、すべての感染症で培養検査が適しているわけではありません。感染症ごとに核酸検査・抗原検査・培養検査などを使い分けたり、複数の検査を組み合わせたりします。

感染症検査の結果の見方は陽性・陰性だけで決めない

感染症検査の結果の見方は陽性・陰性だけで決めない

感染症検査の結果を見るときは、陽性・陰性という記号だけではなく「何を検出する検査だったか」「いつ検査したか」「確認検査が必要か」まで確認します。

陽性は検査で設定された対象が検出されたことを示す

感染症検査で「陽性」と表示された場合、基本的には、その検査が対象としている抗原・核酸・抗体などが判定基準を満たして検出されたことを示します。ただし、「陽性」という言葉が意味する内容は検査ごとに異なります。

病原体の遺伝子や抗原を直接検出する検査と、体が作った抗体を検出する検査では、同じ陽性でも意味が変わります。さらに、感染症によっては最初のスクリーニング検査で陽性となった後、別の確認検査によって診断を確かめる仕組みになっています。

そのため、結果票で陽性を確認した場合は、検査項目名と医師の判定、再検査・精密検査などの指示をセットで確認してください。感染症によっては治療や周囲への感染対策が必要になるため、結果を見て自己判断で放置しないことが重要です。

陰性でも検査時期によって感染を否定できない場合がある

陰性は、その検査方法と検体では対象となる病原体や抗体などが判定基準を満たして検出されなかったことを示します。ただし、陰性という結果だけで、あらゆる条件下で感染していないと判断できるわけではありません。

感染直後は病原体の量が少なかったり、抗体がまだ作られていなかったりするため、検査で検出できない場合があります。HIVでは感染初期に血液検査で陰性となる可能性がある時期が「ウインドウ期」として説明されており、検査を受けた時期によっては再検査が必要です。

「心配な行為の翌日に陰性だったから感染していない」といった自己判断は避けましょう。適切な検査時期は感染症や検査方法によって異なります。感染の可能性があった日、症状が始まった日、受けた検査名を医療機関へ伝え、再検査が必要か確認してください。

スクリーニング陽性では確認検査へ進む感染症がある

スクリーニング検査は、感染している可能性がある人を最初の段階で見つけるための検査です。見落としを減らすことを重視した検査では、実際には感染していなくても陽性となる「偽陽性」が生じる場合があります。

HIV検査は代表例です。厚生労働省のHIV検査・相談マップでは、スクリーニング検査が陽性でも、その時点ではHIV感染の診断は確定せず、確認検査が必要と説明されています。確認検査の結果まで含めて最終的な判定を行います。

したがって、結果票に「要確認」「判定保留」「確認検査が必要」などと記載されている場合は、陽性という文字だけから感染を確定しないことが大切です。反対に、「まだ確定していないから」と確認検査を受けずに終わらせず、指定された検査や医療機関への受診を続けてください。

数値や基準値は検査項目ごとの意味を確認する

感染症検査には陽性・陰性だけを表示する定性検査のほか、抗体価や病原体量などを数値で示す検査があります。数値が表示されると高いほど感染が重いように見えることがありますが、数値の意味は検査項目ごとに異なります。

検査法や試薬によって判定基準が異なる場合もあるため、別の医療機関で受けた検査結果を数値だけで単純比較できないことがあります。検査結果票に基準値、陰性・陽性の判定、医師コメントなどが記載されている場合は、一緒に確認してください。

感染症検査では「基準値からどれだけ離れているか」だけで病気の状態を判断しないことが重要です。検査項目、症状、感染の可能性があった時期、ほかの検査結果を組み合わせて医師が評価します。

代表的な感染症では複数の検査結果を組み合わせて確認する

代表的な感染症では複数の検査結果を組み合わせて確認する

感染症によって、陽性・陰性の読み方や追加検査の流れは異なります。ここでは、健康診断や人間ドックのオプションなどでも目にすることがある代表例を確認します。

B型・C型肝炎は抗原・抗体・核酸検査の役割が異なる

B型肝炎ウイルス検査では、HBs抗原などを血液で調べます。厚生労働省は、肝炎ウイルス検査でHBs抗原が陽性となった場合には医療機関を受診し、精密検査を受けるよう案内しています。B型肝炎の詳しい状態を確認する際には、ほかのウイルスマーカーやHBV-DNAなどが調べられる場合があります。

C型肝炎ではHCV抗体検査が利用されます。厚生労働省の肝炎ウイルス検診では、HCV抗体の結果によってはHCV-RNAを確認する核酸増幅検査を組み合わせ、現在C型肝炎ウイルスに感染している可能性を判定する流れが示されています。

つまり、「肝炎の検査」と書かれていても、B型とC型で調べる項目や結果の読み方は同じではありません。健診結果にHBs抗原、HCV抗体などの名称が記載されている場合は、項目名まで確認し、陽性や精密検査の指示がある場合は医療機関を受診してください。

HIVはスクリーニング検査と確認検査を分けて考える

HIV検査では、最初にスクリーニング検査を行います。スクリーニング検査で陰性となれば検査時期も踏まえて判定し、陽性となった場合は確認検査へ進みます。スクリーニング陽性だけではHIV感染が確定したことにはなりません。

また、HIVでは感染してから検査で抗原や抗体を検出できるまでに時間差があります。厚生労働省のHIV検査・相談マップでは、多くの場合、感染後3〜4週間程度から陽性となる一方、感染していないことをはっきり確認するためには感染リスクから3か月後の再検査について案内しています。

HIV検査では「何日前に感染の可能性があったか」が結果を読むうえで重要です。感染の可能性がある行為から間もない時期に検査を受けた場合は、陰性でも検査を受けた施設へ再検査の時期を確認してください。

梅毒は複数の抗体検査や診察を合わせて評価する

梅毒では、一般的に医師の診察と血液による抗体検査を組み合わせて感染の有無を判断します。厚生労働省の届出基準では、RPRなどのカルジオリピンを抗原とする検査と、梅毒トレポネーマを抗原とする検査が示されています。

梅毒の検査は、1種類の数値だけを見て一律に現在の感染状態を判断するものではありません。感染した時期、過去の治療歴、症状、複数の抗体検査の結果などを合わせて医師が評価します。病変から採取した検体について顕微鏡検査やPCR検査が行われる場合もあります。

梅毒の結果票に陽性反応があった場合は、自己判断で「現在感染している」「以前の感染だから問題ない」と決めないようにしてください。過去に梅毒の治療を受けたことがある場合は、その時期や治療内容も医師へ伝えると結果を評価する際に役立ちます。

感染症検査を受ける時期と検査項目は目的に合わせて決める

感染症検査を受ける時期と検査項目は目的に合わせて決める

感染症検査では、検査項目を多く追加することより、疑われる感染症と感染時期に合う検査を受けることが重要です。症状がある場合と、症状がない状態で健診として受ける場合でも対応は異なります。

症状がある場合は健診ではなく診療として相談する

発熱、咳、発疹、排尿時の痛み、性器の症状など、感染症が疑われる症状がある場合は、人間ドックや健康診断のオプション検査だけで原因を探そうとせず、医療機関で症状を伝えて診察を受けてください。

症状の場所と経過によって疑われる感染症が変わり、必要な検体や検査方法も異なります。特定の検査だけを自己判断で選ぶと、症状の原因となる感染症を十分に確認できない場合があります。診察では症状が始まった日や感染の可能性があった機会も伝えましょう。

また、呼吸が苦しい、意識がもうろうとするなど緊急性の高い状態では、検査結果が出るまで自宅で待たず医療機関への受診を優先してください。検査は診察の代わりではなく、症状や経過と合わせて診断するために使われます。

感染の可能性があった直後は再検査が必要になる場合がある

症状がなくても、感染の可能性がある接触や行為があり検査を希望する場合があります。このときに重要なのが、感染の可能性があった日から検査までの期間です。検出に必要な量の病原体や抗体がまだ存在しない時期では、感染していても陰性となる場合があります。

必要な待機期間や再検査時期は感染症と検査法で異なります。そのため、「感染症検査は○日後ならすべて正確」と共通の日数で判断することはできません。受けたい検査を提供する医療機関や保健所などへ、いつ検査を受けるとよいか確認してください。

すでに症状がある場合は、検査可能時期まで待つという意味ではありません。症状があることを先に医療機関へ伝えれば、その時点で必要な診察や検査、後日の再検査について案内を受けられます。

健康診断では感染症検査が標準項目に含まれるとは限らない

会社で行う一般的な定期健康診断には、身体測定、胸部X線、血圧、貧血、肝機能、血中脂質、血糖、尿、心電図などの法定項目があります。一方、HBs抗原、HCV抗体、HIV、梅毒などを一括して調べる「感染症検査」が全員共通の法定項目として設定されているわけではありません。

肝炎ウイルス検査などは、自治体の検診や健康診断・人間ドックの追加検査として受けられる場合があります。「毎年採血しているから感染症もすべて調べている」と考えず、受診したコースの検査項目名を確認してください。

健康診断そのものの種類や、健診と検診、人間ドックの違いが分からない場合は、検査を追加する前に受診目的を整理すると確認しやすくなります。

感染症検査は検査方法と受診時期を確認して結果を読む

感染症検査とは、ウイルスや細菌などの病原体そのもの、または感染に対して体内で起こる反応を調べる検査です。核酸検査、抗原検査、抗体検査、培養検査などがあり、それぞれ検出する対象と役割が異なります。

感染症検査で押さえておきたいポイント
  • PCRなどの核酸検査は病原体の遺伝情報を調べる
  • 抗原検査は病原体を特徴づける成分を検出する
  • 抗体検査は感染などに対する体の免疫反応を調べる
  • 陽性でも確認検査が必要な感染症がある
  • 陰性でも感染直後など検査時期によっては感染を否定できない場合がある
  • 検査結果は項目名・受診時期・医師の判定を合わせて確認する

特に「陽性だから感染確定」「陰性だから感染していない」と検査結果の記号だけで判断しないことが重要です。感染症によって、現在の感染を直接調べる検査と、過去の感染や免疫反応まで含めて調べる検査があります。

陽性や要確認の結果が出た場合、感染の可能性がある時期に検査を受けた場合、症状が続いている場合は、結果票を持って医療機関へ相談してください。必要な追加検査まで終えて、結果の意味を確認するところまでが感染症検査です。