健康診断とは何を調べる検査なのか、会社で初めて受ける場合に何を準備すればよいのか、分からない人も少なくありません。
食事や服薬などの注意事項を守らないと検査値に影響する場合があり、結果の見方が分からないままでは再検査や受診が必要なサインを見落とす可能性もあります。
健康診断の種類や検査項目、受診前の準備、当日の流れに加え、血圧・血糖・脂質など主要な数値の見方を分かりやすく整理します。
健康診断の結果から自分の健康状態を把握し、生活習慣の見直しや再検査など、必要な行動を判断できるようになります。
健康診断とは健康状態を確認し病気の兆候を早期に捉える検査
健康診断は病気の有無を確定する検査ではなく、健康状態を確認して必要な対応へつなげる検査です。自覚症状がない段階でも、血圧や血糖などの変化が見つかる場合があります。
健診は健康状態の把握と継続的な健康管理に使う
健診は、血圧・体重・血液・尿など複数の情報から健康状態を確認し、必要に応じて生活習慣の改善や医療機関での確認へつなげる役割があります。厚生労働省は、健診を病気の早期発見だけでなく、経時的な値の把握や行動変容にも活用するものとして整理しています。
高血圧や糖尿病、脂質異常症などは、自覚症状が乏しい段階でも検査値に変化が現れる場合があります。定期的に受診すると、1回の結果だけではなく過去の値との変化も確認できるため、健康状態の推移を把握する材料になります。
一方、健康診断の検査値だけで病名を確定することはできません。基準範囲から外れた場合は、測定条件や体調も含めて評価したうえで、再検査や精密検査が必要か医師が判断します。結果票の総合判定と受診指示まで確認することが重要です。
検診は特定の病気を見つけることを主な目的にする
厚生労働省は健康診査を大きく「健診」と「検診」に分けています。健診が健康状態を幅広く確認して生活習慣の改善にもつなげるのに対し、検診は特定の病気を見つけ、必要な治療へつなげることを主な目的とします。
代表例は、がん検診や結核検診です。がん検診では対象となるがんの早期発見を目的に検査を行い、結果が要精密検査となった場合は、診断を確定するための検査へ進む必要があります。健診の生活改善指導と、検診後の精密検査は目的が異なります。
健康診断と検診を同じ意味で扱うと、受けた検査だけで確認できる範囲を誤解する可能性があります。会社の定期健康診断を受けていても、年齢や性別などに応じたがん検診が別に案内される場合があるため、勤務先や自治体、加入する医療保険から届く案内を確認してください。
人間ドックは検査範囲を広げて健康状態を詳しく確認する任意健診
人間ドックは、法令で会社に実施が義務付けられた定期健康診断とは異なり、本人の希望などに応じて受ける任意の健診です。一般的な法定健康診断より検査項目が多く、腹部超音波検査や消化管検査などを組み合わせるコースもあります。
検査項目や料金、受診時間は健診施設やコースによって異なります。法定健康診断を人間ドックで代替できる場合もありますが、会社が必要とする検査項目を満たしているか事前確認が必要です。会社指定の受診方法がある場合は勤務先の案内を優先します。
健康診断、人間ドック、がん検診は検査の目的と範囲が異なります。必要な検査を選ぶ基準は、法令上の受診義務、年齢、健康上のリスク、家族歴、医師からの指示などです。検査数を増やすだけでなく、受診目的に合う検査を選ぶ必要があります。
健康診断の種類は会社の法定健診や特定健診など目的別に分かれる
健康診断の種類は、実施する根拠と対象者によって分かれます。会社員に身近なのは労働安全衛生法に基づく一般健康診断で、40~74歳では医療保険者が実施する特定健康診査の対象になる場合もあります。
| 種類 | 主な対象 | 目的・実施時期の目安 |
|---|---|---|
| 雇入時の健康診断 | 常時使用する労働者として雇い入れられる人 | 雇入れ時に健康状態を確認する |
| 定期健康診断 | 常時使用する労働者 | 1年以内ごとに1回実施する |
| 特定業務従事者の健康診断 | 深夜業など法令で定める業務に常時従事する人 | 配置替え時と6か月以内ごとに1回実施する |
| 海外派遣労働者の健康診断 | 6か月以上海外へ派遣される労働者など | 派遣前と帰国後に実施する |
| 特殊健康診断 | 有害な業務に従事する労働者 | 業務特有の健康影響を確認する |
| 特定健康診査 | 原則40~74歳の医療保険加入者 | 生活習慣病予防のためメタボリックシンドロームに着目する |
| がん検診 | がん種ごとに定められた対象年齢などに該当する人 | 特定のがんを早期に発見して精密検査・治療へつなげる |
| 人間ドック | 本人の希望などで受診する人 | 複数の検査を組み合わせて健康状態を詳しく確認する |
会社員でも、勤務先の法定健康診断だけですべての病気を確認できるわけではありません。年齢などに応じて特定健康診査やがん検診の案内が届く場合は、目的が重なる検査と追加で必要な検査を確認すると受診計画を立てやすくなります。
会社の一般健康診断には雇入時や定期など複数の区分がある
労働安全衛生規則では、事業者に一般健康診断の実施が義務付けられています。常時使用する労働者を雇い入れる際は雇入時の健康診断を行い、雇入れ後は原則として1年以内ごとに1回の定期健康診断を実施します。
雇入時の健康診断では、法令で定める検査項目を原則として省略できません。ただし、医師による健康診断を受けてから3か月以内で、対象項目の結果を証明する書面を提出した場合は、相当する項目を省略できます。
定期健康診断では、身長・腹囲・胸部X線・貧血検査・肝機能検査・血中脂質検査・血糖検査・心電図などの一部項目について、厚生労働大臣が定める基準に基づき医師が必要でないと認めた場合に省略できます。年齢だけを理由に受診者が自己判断で検査を省くことはできません。
特殊健康診断は有害な業務による健康影響を確認する
特殊健康診断は、有機溶剤、鉛、特定化学物質、石綿など、法令で対象となる有害業務に従事する労働者へ実施する健康診断です。一般健康診断とは別に、業務で扱う物質や作業内容に応じた検査が設定されます。
実施時期や検査項目は対象業務ごとに異なります。配置前後や一定期間ごとの受診が必要になる場合があり、勤務先が対象業務と受診時期を管理します。一般健康診断を受けた事実だけでは、特殊健康診断の受診義務を満たさない場合があります。
有害業務に該当するか分からない場合は、勤務先の安全衛生担当者や産業医へ確認してください。会社から特殊健康診断の案内が届いた場合は、一般健康診断とは別の受診目的があると理解して受診する必要があります。
特定健康診査は40~74歳の生活習慣病予防を目的にする
特定健康診査は、40~74歳の医療保険加入者を主な対象として、メタボリックシンドロームに着目した健康診査です。問診、身体測定、血圧測定、血液検査、尿検査などを行い、生活習慣病の発症リスクを確認します。
特定健康診査の結果から生活習慣の改善が必要と判定された場合は、特定保健指導につながります。保健師や管理栄養士などが、食事・運動などの生活習慣を見直すための支援を行います。
会社員では定期健康診断の結果が特定健康診査のデータとして活用される場合があります。勤務先の健診結果が医療保険者へ提供される運用もあるため、受診券が届いた場合でも重複受診の要否を確認します。同じ年度に同じ検査を重複して受ける必要があるかは、加入する健康保険組合や勤務先の案内で確認してください。
がん検診と人間ドックは法定健康診断とは目的と検査範囲が異なる
がん検診は肺がん、大腸がん、胃がんなど特定のがんを対象にし、対象者や受診間隔は検診の種類によって異なります。法定健康診断に胸部X線検査が含まれていても、法定健康診断だけで各種がん検診をすべて受けた扱いにはなりません。
人間ドックでは、法定健康診断より幅広い検査を選べる場合があります。ただし、検査数が多ければ健康上の問題をすべて発見できるわけではありません。年齢、既往歴、家族歴、症状の有無などを踏まえて検査を選ぶ必要があります。
自覚症状がある場合は、健診や検診の予約日まで待つのではなく、症状に対応する診療科を受診する必要があります。健診・検診は症状がない人の健康確認や早期発見に使う制度であり、症状の診断を代替するものではありません。
会社の健康診断が初めてでも受診案内と当日の流れを押さえれば迷いにくい
会社の健康診断が初めての場合は、勤務先や健診施設から届く受診案内を最優先で確認します。受診日時、健診施設、食事・水分の制限、服薬、持ち物まで確認すると、当日の検査を予定どおり受けやすくなります。
受診前は食事条件と持ち物を勤務先や健診施設の案内で確認する
血糖や中性脂肪などは食事の影響を受けるため、採血条件が結果の解釈に関わります。空腹時採血を指定された場合は、健診施設が示す絶食時間を守ってください。特定健康診査では、食後10時間以上を空腹時採血として扱う基準があります。
一方、会社の健康診断で必要な絶食時間は、受診時刻や検査内容によって変わります。前日夜から何も口にしないなど独自判断をせず、受診案内の時刻と飲水条件を確認します。処方薬を服用している場合も、自己判断で中止せず、処方医や健診施設の指示に従ってください。
- 受診日と受付時間
- 健診施設と集合場所
- 食事を終える時刻と飲水条件
- 服薬に関する指示
- 受診票・問診票など指定書類
- 眼鏡やコンタクトレンズに関する指示
- 検体容器など事前に配布された物品
胸部X線検査を受ける予定があり、妊娠中または妊娠の可能性がある場合は、検査前に健診施設へ伝えてください。検査ごとの注意事項は一律ではないため、勤務先や健診施設から届く案内が受診準備の基準になります。
雇入時の健康診断は11項目を原則として実施する
2026年8月時点の労働安全衛生規則では、雇入時の健康診断で11区分の検査を実施します。定期健康診断も基本的な区分は共通していますが、定期健康診断では胸部X線検査に加えて喀痰検査が規定され、一部項目には医師判断による省略基準があります。
| No. | 検査項目 | 検査・調査が必要な理由 |
|---|---|---|
| 1 | 既往歴及び業務歴の調査 | 過去の病気や治療歴、仕事内容を確認し、健康管理や就業上の配慮が必要か判断するため |
| 2 | 自覚症状及び他覚症状の有無の検査 | 本人が感じている症状や医師が確認できる異常から、健康上の問題がないか確認するため |
| 3 | 身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査 | 体格や肥満の状態、視力・聴力を確認し、生活習慣病のリスクや業務への影響を把握するため |
| 4 | 胸部X線検査 | 肺や胸部の状態を確認し、結核をはじめとする肺・胸部の異常を見つける手がかりにするため |
| 5 | 血圧の測定 | 高血圧の有無を確認し、脳卒中や心疾患などのリスクを把握するため |
| 6 | 血色素量及び赤血球数の検査 | 血液中のヘモグロビン量や赤血球数を調べ、貧血の可能性を確認するため |
| 7 | GOT、GPT及びγ-GTPの検査 | 肝臓などの細胞障害を反映する数値を調べ、肝機能に異常がないか確認するため |
| 8 | LDLコレステロール、HDLコレステロール及び血清トリグリセライドの検査 | 血液中の脂質の状態を確認し、脂質異常症や動脈硬化のリスクを把握するため |
| 9 | 血糖検査 | 血液中のブドウ糖の量を調べ、糖尿病などの糖代謝異常を見つける手がかりにするため |
| 10 | 尿中の糖及び蛋白の有無の検査 | 尿糖や尿蛋白を確認し、糖代謝異常や腎機能異常などを見つける手がかりにするため |
| 11 | 心電図検査 | 心臓の電気的な活動を記録し、不整脈など心臓の異常を見つける手がかりにするため |
法令ではGOT・GPT・γ-GTPという名称が使われていますが、現在の検査結果票ではAST・ALT・γ-GTと表記されることがあります。GOTはAST、GPTはALT、γ-GTPはγ-GTに対応しているため、表記が異なっていても基本的には同じ検査項目です。
- 血清クレアチニン検査を追加
- 喀痰検査を削除
- 肝機能検査の名称をGOTからAST、GPTからALT、γ-GTPからγ-GTへ変更
2027年4月1日から検査項目が一部変更されますが、2026年8月時点では現在の項目で健康診断が行われます。2027年4月以降に受診する場合は、改正後の検査項目や受診先からの案内を確認しましょう。
当日は受付から問診や測定へ進み施設ごとの順番で検査を受ける
一般的な会社健康診断では、受付と本人確認の後に問診票を提出し、身長・体重・腹囲、視力・聴力、血圧、採血、採尿、胸部X線、心電図、医師の診察などへ進みます。検査の順番は施設や混雑状況によって変わります。
採血や尿検査では、食事時刻や服薬状況などを尋ねられる場合があります。事実と異なる回答をすると結果の解釈へ影響する可能性があるため、飲食時刻や服薬内容は正確に伝えてください。体調不良がある場合も検査前に職員へ申告します。
検査中に気分が悪くなった場合は、無理に次の検査へ進まず、健診施設のスタッフへ伝えてください。採血後の体調変化や胸部X線検査などへの不安がある場合も、検査前後に申し出ると対応を確認できます。会社の健康診断は速く終えることより、正しい条件で安全に受けることが優先されます。
法定健康診断の費用は事業者負担が原則で結果後の費用は会社規定も確認する
労働安全衛生法に基づき事業者へ実施義務が課される健康診断の費用は、事業者が負担すべきものとされています。会社指定の健診施設を利用する場合は、受診者が窓口で料金を支払わない運用もあります。
一方、一般健康診断で再検査や精密検査が必要になった後の費用は、法令で一律に事業者負担と定められていません。健康保険の適用可否や勤務先の補助制度も関係するため、結果票の案内と就業規則、勤務先の健康管理担当部署などで確認してください。
事業者には健康診断結果を労働者へ通知する義務があります。結果が届いたら保管するだけでなく、総合判定、医師の指示、再検査の期限を確認します。要再検査・要精密検査・要治療などの指示がある場合は、指定された時期に医療機関へつなげることが重要です。
健康診断の数値の見方を主要項目ごとにまとめて確認
健康診断の数値は単独で病気を判断せず、結果票の基準範囲・総合判定・過去の推移を合わせて確認します。判定基準は健診施設によって異なる場合があるため、一般的な目安より受診した施設の結果票を優先してください。
| 項目 | 基準を確認する目安 | 数値が外れた場合に確認すること |
|---|---|---|
| BMI | 18.5以上25未満は普通体重 | 低体重や肥満の区分だけでなく、血圧・血糖・脂質なども合わせて確認する |
| 血圧 | 収縮期130mmHg未満かつ拡張期85mmHg未満は厚生労働省の保健指導判定値未満 | 140/90mmHg以上は受診勧奨判定値に該当するため結果票の指示を確認する |
| LDLコレステロール | 120mg/dL未満は厚生労働省の保健指導判定値未満 | 140mg/dL以上は受診勧奨判定値に該当する |
| HDLコレステロール | 40mg/dL以上 | 40mg/dL未満は保健指導判定値に該当する |
| 中性脂肪 | 空腹時150mg/dL未満、随時175mg/dL未満 | 300mg/dL以上は受診勧奨判定値に該当する |
| 空腹時血糖 | 100mg/dL未満 | 126mg/dL以上は受診勧奨判定値に該当する |
| HbA1c(NGSP) | 5.6%未満 | 6.5%以上は受診勧奨判定値に該当する |
| AST(GOT) | 31U/L未満 | 51U/L以上は受診勧奨判定値に該当する |
| ALT(GPT) | 31U/L未満 | 51U/L以上は受診勧奨判定値に該当する |
| γ-GT(γ-GTP) | 51U/L未満 | 101U/L以上は受診勧奨判定値に該当する |
| eGFR | 60mL/分/1.73m²以上 | 60未満は腎機能低下の確認が必要で、45未満は厚生労働省の受診勧奨判定値に該当する |
| 血色素量(ヘモグロビン) | 男性13.0g/dL超、女性12.0g/dL超が保健指導判定値未満の目安 | 男性12.0g/dL以下、女性11.0g/dL以下は受診勧奨判定値に該当する |
表の数値は、厚生労働省の標準的な健診・保健指導プログラムや日本人間ドック・予防医療学会の判定区分などを基にした一般的な目安です。年齢、治療中の病気、服薬、検査方法などで評価が変わるため、自己診断には使わないでください。
BMIと血圧は体格と循環器リスクを確認する基本項目
BMI(Body Mass Index、体格指数)は、体重kgを身長mの2乗で割って算出します。日本肥満学会ではBMI18.5以上25未満を普通体重、18.5未満を低体重、25以上を肥満と分類しています。BMIだけでは筋肉量や脂肪の分布までは分かりません。
血圧は、心臓が血液を送り出すときの収縮期血圧と、心臓が広がるときの拡張期血圧を確認します。厚生労働省の標準的な健診・保健指導プログラムでは、130/85mmHg以上が保健指導判定値、140/90mmHg以上が受診勧奨判定値です。
160/100mmHg以上では、厚生労働省の資料で早期の医療機関受診が示されています。血圧は測定時の緊張や直前の行動でも変動するため、健診結果と医師の指示に加え、必要に応じて家庭血圧を記録して評価します。
LDLやHDLと中性脂肪は動脈硬化に関わる脂質の状態を確認する
LDLコレステロールは血液中のコレステロールを全身へ運ぶ役割があり、高値が続くと動脈硬化性疾患のリスク評価に関わります。HDLコレステロールは余分なコレステロールを回収する働きがあり、低値がリスク評価に使われます。
厚生労働省の保健指導判定値はLDLコレステロール120mg/dL以上、HDLコレステロール40mg/dL未満です。中性脂肪は空腹時150mg/dL以上、随時175mg/dL以上が保健指導判定値となり、採血条件によって基準が変わります。
脂質の値は1項目だけでなく、LDL・HDL・中性脂肪を組み合わせて確認します。LDL180mg/dL以上または中性脂肪500mg/dL以上では、厚生労働省の資料で早期の医療機関受診が示されています。
血糖とHbA1cは採血時点と一定期間の血糖状態を分けて確認する
血糖値は採血した時点の血液中のブドウ糖濃度を示します。空腹時血糖は食事の影響を避けた条件で測定する値です。HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は赤血球中のヘモグロビンに結合した糖の割合で、過去1~2か月程度の血糖状態を反映します。
厚生労働省の標準的な健診・保健指導プログラムでは、空腹時血糖100mg/dL以上またはHbA1c5.6%以上が保健指導判定値です。空腹時血糖126mg/dL以上またはHbA1c6.5%以上は受診勧奨判定値として扱われます。
健診の1回の数値だけで糖尿病を自己判断することはできません。空腹時血糖やHbA1cが受診勧奨判定値に達した場合は、結果票の指示に従って医療機関で再評価を受ける必要があります。食事条件が不明な血糖値は、採血条件も合わせて確認します。
肝機能と腎機能と貧血は複数の数値を組み合わせて判断する
AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GT(γ-GTP)は肝機能の評価で使われます。厚生労働省の受診勧奨判定値はAST51U/L以上、ALT51U/L以上、γ-GT101U/L以上です。数値が高い原因は1つではないため、他の検査値や医師の診察と合わせて確認します。
腎機能では血清クレアチニンやeGFR(推算糸球体濾過量、腎臓が血液をろ過する能力の目安)を確認します。eGFRは60未満が保健指導判定値、45未満が受診勧奨判定値です。2026年8月時点では血清クレアチニンは会社の一般健康診断の法定必須項目ではありませんが、2027年4月から追加されます。
貧血の確認では血色素量(ヘモグロビン値)や赤血球数を見ます。厚生労働省の受診勧奨判定値は血色素量が男性12.0g/dL以下、女性11.0g/dL以下です。肝機能・腎機能・貧血は単一の数値だけで原因を特定できないため、総合判定に沿って追加検査の必要性を確認してください。
健康診断の結果は判定記号だけでなく再検査の内容と期限まで確認する
健康診断の結果票では、A・B・C・Dなどの判定記号だけを見るのではなく、各施設の判定定義と医師コメント、再検査・精密検査の期限を確認します。判定区分は施設によって表記や基準が異なる場合があります。
基準範囲から外れた数値が1つあっても病名が確定するわけではない
検査値には基準範囲が設定されていますが、基準範囲から外れた事実と病気の診断は同じ意味ではありません。採血時の食事条件、運動、体調、服薬、測定方法などが数値へ影響する場合もあります。
一方、基準範囲から大きく外れた値や、複数項目の異常、過去から悪化している値を放置してよいわけではありません。結果票に受診勧奨や精密検査の指示がある場合は、検査値の原因を確認するため医療機関を受診します。
日本人間ドック・予防医療学会の2026年度判定区分でも、年齢・既往歴・過去の検査歴などによって判定を変更する考え方が示されています。初回判定は行動を決める目安であり、精密検査の結果によって判定が変わる場合もあります。数値は基準表だけで切り分けず、本人の背景と経時変化を含めて評価する必要があります。
要再検査と要精密検査は必要な確認の深さが異なる
要再検査は、異常値が一時的なものか、継続しているものかを確認するために同じ検査などを再度行う判定です。生活改善と一定期間後の再検査が指示される場合もあります。結果票に再検査時期が記載されている場合は時期を守ります。
要精密検査は、健康診断で見つかった異常の原因を詳しく調べる必要がある判定です。血液検査の追加、画像検査、専門診療科での診察など、健診項目より詳しい検査へ進む場合があります。
要治療や早期受診の指示がある場合は、生活改善だけで様子を見ず、医療機関の受診を優先します。受診先が分からない場合は、健診施設や勤務先の産業医・健康管理担当部署へ受診先の案内を確認できます。判定名よりも結果票に記載された受診時期と検査内容を確認し、必要な行動を期限内に実行することが重要です。
前年までの結果と比較すると数値の変化を健康管理に生かしやすい
健康診断は毎年の数値を比較すると、基準範囲内でも悪化が続いている項目を把握しやすくなります。体重、血圧、LDLコレステロール、血糖、HbA1c、肝機能など、同じ条件で継続的に測定される項目は推移を記録しておくと役立ちます。
生活習慣を変えた後は、次回の健康診断や医師から指定された再検査で数値の変化を確認します。自己判断で極端な食事制限や運動を始めるのではなく、年齢や体調に合う方法を選びます。
症状がある場合は、健康診断の判定や次回受診を待たずに医療機関を受診してください。健診結果が基準範囲内でも、症状の原因まで否定できるわけではありません。健康診断は定期的な健康確認に使い、症状がある場面では診療を受けるという役割分担が必要です。
健康診断は受診前の準備と結果後の行動まで含めて健康管理に生かす
健康診断とは、体の状態を定期的に確認し、生活習慣の改善や必要な医療へつなげるための検査です。会社の健康診断が初めてでも、受診案内で食事・服薬・持ち物を確認し、法定項目と当日の流れを把握すれば準備を進めやすくなります。
- 健康診断は病気の確定診断ではなく、健康状態を確認して必要な対応へつなげる
- 会社の一般健康診断、特定健康診査、がん検診、人間ドックでは目的と対象が異なる
- 会社健診の食事・服薬・持ち物は勤務先や健診施設の案内を優先する
- 検査数値は結果票の基準範囲・総合判定・過去の推移を合わせて見る
- 再検査・精密検査・受診勧奨の指示がある場合は指定された時期に対応する
2027年4月1日から会社の一般健康診断では血清クレアチニン検査の追加、喀痰検査の削除などが施行されます。受診年度の最新案内も確認し、健康診断を「受ける日」だけで終わらせず、結果を確認して必要な行動を完了するところまで健康管理に含めてください。





