体脂肪率検査の内容は?健康診断の体組成計と内臓脂肪CT検査を解説

健康診断や人間ドックで体脂肪率を測り、表示された数値が何を表すのか、家庭の体組成計との違いが分からない方もいるでしょう。

体脂肪率だけを見て健康状態を決めたり、異なる機器の数値をそのまま比べたりすると、測定条件や機器による差を見落とす場合があります。

体脂肪率検査の内容は、体組成計による推定と内臓脂肪CT検査で異なります。健康診断での位置づけと、それぞれで分かる内容を整理します。

測定方法ごとの違いを理解すると、日常の変化を追う測定と、内臓脂肪を詳しく確認する検査を目的に合わせて使い分けられます。

体脂肪率検査では体重に占める脂肪の割合と体組成を確認する

体脂肪率検査として広く使われるのが体組成計です。体脂肪率だけでなく、機器によって脂肪量や筋肉量なども表示されます。

体脂肪率は体重に占める脂肪の割合を示す

体脂肪率は、体重のうち脂肪が占める割合を百分率で表した値です。体重だけでは分からない、体にどの程度の脂肪があるのかを確認できます。

体脂肪率の計算方法

体脂肪率(%)=体脂肪量(kg)÷体重(kg)×100

例えば、体重60kgで体脂肪量が12kgの場合は、次のように計算します。

12kg ÷ 60kg × 100 = 20%

この場合、体重の20%を脂肪が占めていることを示します。

体脂肪率には、国が定めた全国共通の診断基準値はありません。健康日本21アクション支援システムでも、肥満の判定にはBMIが用いられ、体脂肪率には一定の基準値がないと説明されています。

体組成計に「標準」「高い」などの表示が出る場合は、機器メーカーが設定した判定方法によるものです。別メーカーの数値や区分と同じ意味とは限らないため、測定した機器の説明に沿って確認します。

BMIは身長と体重から体格をみる指標で、体脂肪率とは測っている内容が異なります。BMIの計算方法や判定区分は既存記事で確認できます。

体組成計は微弱な電流から脂肪量や筋肉量を推定する

多くの体組成計では、BIA法(生体電気インピーダンス法)を使います。体にごく弱い電流を流し、電気の通りにくさを示す電気抵抗などから体脂肪率を推定する方法です。

脂肪は水分を多く含む筋肉などと比べて電気を通しにくいため、その性質を利用して体組成を計算します。体内の脂肪を直接取り出して量る検査ではなく、測定値と年齢、性別、身長などを用いた推定値です。

表示項目は機種によって異なり、体脂肪率、脂肪量、筋肉量、体水分量、基礎代謝量、内臓脂肪レベルなどが示される場合があります。同じ「体組成計」でも確認できる項目は機器ごとに異なります。

健康診断で測定した場合は、結果票に書かれた項目名と単位を確認します。特に「内臓脂肪レベル」は機器独自の指標であることがあり、CTで測る内臓脂肪面積のcm²とは分けて読みます。

結果は一回の数値より同じ条件での変化を確認する

BIA法の測定値は、体内の水分量に影響を受けます。飲食、運動、入浴などの前後では水分の分布が変わるため、同じ人でも体脂肪率の表示が変動する場合があります。

経過を追う目的なら、同じ機器を使い、なるべく同じ時間帯と体調で測ることが重要です。測定直前の飲食、激しい運動、入浴を避けるなど、使用する機器や施設の案内に従います。

家庭用と健診施設の機器で値が違った場合も、どちらか一方が誤っていると即断しません。電極の位置、測定周波数、推定式などが機器ごとに異なるため、数値を比較するときは測定環境もそろえます。

体脂肪率の経過を比べるときの確認点
  • できるだけ同じ体組成計を使う
  • 同じ時間帯で測定する
  • 飲食・運動・入浴の直後を避ける
  • 年齢・性別・身長などの登録情報を正しく入力する

一回の体脂肪率だけで病気の有無を決めるのではなく、同じ条件での推移と、健康診断のほかの結果を分けて確認します。

健康診断の体組成計は法定項目ではなく追加測定として行われる

会社の定期健康診断で、体脂肪率の測定が必ず行われるわけではありません。法定項目と施設独自の追加項目を分けて確認します。

会社の定期健康診断では体脂肪率の測定は必須ではない

労働安全衛生規則で定められた会社の定期健康診断では、身長、体重、腹囲、血圧、血液検査、尿検査などを行います。体脂肪率や体組成計による測定は、法定の必須項目には含まれていません。

健康診断での体脂肪率測定の位置づけ
健診・測定 主な身体計測 体脂肪率 位置づけ
会社の定期健康診断 身長・体重・腹囲など 必須ではない 法定健診
特定健康診査 身長・体重・BMI・腹囲など 基本項目ではない 生活習慣病のリスクを調べる健診
体組成計による測定 体脂肪率・筋肉量など
※表示項目は機器による
測定できる 施設やコースによる追加測定

特定健康診査でも、身体計測、血圧、脂質、血糖、肝機能、尿検査などが基本的な検査項目として示されています。身体計測には身長、体重、BMI、腹囲が含まれますが、体脂肪率は基本項目として挙げられていません。

そのため、健診結果に体脂肪率や筋肉量が載っている場合は、健診施設や勤務先が独自に体組成計による測定を追加している場合があります。人間ドックのコースやオプションとして実施する施設もあります。

健康診断を受ければ必ず体脂肪率が分かるわけではありません。体脂肪率を確認したい場合は、予約前に検査項目の一覧を確認します。

予約ページで確認する表記
  • 体組成測定
  • 体脂肪測定
  • 体脂肪率
  • 筋肉量測定
  • InBodyなどの体組成計の商品名

検査名称や測定できる項目は施設によって異なります。体脂肪率だけでなく筋肉量や内臓脂肪に関する数値も確認したい場合は、測定項目まで確認してからコースを選びましょう。

健診で体組成計を使う場合は測定機器と測定条件を確認する

健診施設の業務用体組成計と家庭用体組成計は、どちらもBIA法を採用する機器があります。ただし、手足の電極数や測定する周波数、推定方法が同じとは限りません。

そのため、健診で測った体脂肪率と自宅の数値が数ポイント違っても、数値差だけで体脂肪が急に増減したとは言い切れません。継続比較では同じ機器・同じ条件の数値を並べると変化を追いやすくなります。

健診結果に部位別筋肉量や左右差などが表示される機器もありますが、全ての体組成計で同じ項目が出るわけではありません。結果票に単位や評価区分がある場合は、その機器の説明とセットで読みます。

家庭で記録を続ける場合も、健診の1回だけの値に合わせて自宅の測定値を補正する必要はありません。自宅では同じ条件での推移を残し、健診では施設の結果として別に保管します。

体脂肪率は腹囲や健診結果と分けて確認する

体脂肪率が高いという表示だけで、メタボリックシンドロームや糖尿病などの診断が決まるわけではありません。健康診断では、腹囲、血圧、血液検査など複数の項目がそれぞれ評価されます。

BMIも体脂肪率とは別の指標です。体組成計の結果とBMIを見比べたい場合は、それぞれの意味を混同せず、BMIの計算方法や判定区分はBMIの記事で確認します。

血糖に関して「要再検査」「要受診」などの指示がある場合は、体脂肪率が低くてもその指示を優先します。糖尿病の検査内容や受診先については、既存の糖尿病検査の記事で詳しく説明しています。

体組成計は体の構成を把握する測定であり、健診の異常を打ち消す検査ではありません。結果票に医療機関の受診や精密検査の指示がある場合は、指定された内容に従います。

内臓脂肪CT検査は腹部断面から内臓脂肪面積を測定する

内臓脂肪CT検査は、体組成計の体脂肪率とは測定方法も単位も異なります。腹部のCT画像から内臓脂肪と皮下脂肪を分けて確認します。

へその高さをCT撮影して内臓脂肪と皮下脂肪を分けて測る

内臓脂肪CT検査では、腹部をX線CTで撮影し、画像解析ソフトを使って脂肪の範囲を抽出します。健診オプションでは、へその高さ付近の断面から内臓脂肪面積と皮下脂肪面積を算出する方法が用いられます。

CTで示される代表的な値は「内臓脂肪面積」で、単位はcm²です。体組成計で表示される体脂肪率の%や、機器独自の内臓脂肪レベルとは別の数値です。

市立野洲病院では、内臓脂肪CTについて撮影から解析まで5~10分程度と案内しています。ただし、所要時間や測定手順は施設によって異なるため、予約時の案内を確認します。

体組成計は全身の電気抵抗などから体脂肪を推定するのに対し、CTは腹部断面の画像から脂肪面積を算出します。内臓脂肪そのものを面積で確認したい場合に、両者の違いが重要です。

内臓脂肪面積100cm²以上は内臓脂肪型肥満の判定に使われる

内臓脂肪CT検査では、おへその高さ付近で撮影した腹部の断面画像から、内臓の周囲にある脂肪の面積を測ります。健康日本21アクション支援システムでは、日本肥満学会の基準として内臓脂肪面積100cm²以上を内臓脂肪型肥満としています。

内臓脂肪面積100cm²のイメージ

面積100cm² = 10cm × 10cmと同じ面積

ただし、実際の内臓脂肪が10cm四方の形で存在するわけではありません。CT画像上で内臓の周囲に広がっている脂肪部分を合計した面積が100cm²という意味です。

体脂肪率と内臓脂肪面積は、どちらも脂肪に関する数値ですが、測っている対象と単位が異なります。

比較項目 体脂肪率 内臓脂肪面積
示すもの 体重に占める脂肪の割合 腹部断面にある内臓脂肪の面積
単位 cm²
体脂肪率20% 内臓脂肪面積100cm²
主な測定方法 体組成計など 腹部CT
数値の関係 単位と測定対象が異なるため直接換算できない

内臓脂肪面積100cm²は、体脂肪率100%を意味する数値ではありません。「100」という数字が同じでも、体脂肪率は割合、内臓脂肪CTは面積を表しています。

また、腹囲や体脂肪率から内臓脂肪面積を正確に逆算することもできません。例えば、同じ体脂肪率の人でも、脂肪が皮下に多く付いている人と、内臓の周囲に多く付いている人では内臓脂肪面積が異なる場合があります。

CTで内臓脂肪面積が100cm²以上だった場合も、その数値だけで健康状態のすべてが決まるわけではありません。血圧、血糖、脂質など健康診断の結果もあわせて確認し、受診や保健指導などの指示がある場合はその内容に従います。

CTはX線を使うため妊娠中や妊娠可能性がある場合は事前に伝える

内臓脂肪CT検査ではX線を使用するため、体組成計とは異なり放射線被ばくがあります。市立野洲病院では、妊娠中または妊娠の可能性がある方は検査を受けられないと案内しています。

妊娠中または妊娠の可能性がある場合は、予約時や検査前に必ず施設へ伝えます。施設ごとに検査可否や確認方法が異なるため、自己判断で受診を進めません。

同日に胃のバリウム検査などを受ける場合も、CTの順番や実施条件が決められている施設があります。人間ドックと内臓脂肪CTを同日に受ける場合は、予約先の案内に従います。

日常的な変化を何度も追う目的なら、放射線を使わない体組成計での記録と役割を分けます。CTを繰り返す必要性は、検査目的や健診結果を踏まえて医療機関に確認します。

目的に合わせて体組成計と内臓脂肪CT検査を使い分ける

体組成計と内臓脂肪CT検査は、同じ「脂肪」を扱っていても測定対象が異なります。目的を決めてから検査方法を選びます。

比較項目 体組成計 内臓脂肪CT検査 健康診断の身体計測
主に確認する内容 体脂肪率、脂肪量、筋肉量などの推定値 腹部断面の内臓脂肪面積、皮下脂肪面積など 身長、体重、BMI、腹囲など
測定方法 微弱な電流を流して電気抵抗などから推定 X線CTで腹部を撮影して画像を解析 身長計、体重計、メジャーなどで測定
数値の特徴 水分量や測定条件、機器の違いで変動する 内臓脂肪の面積をcm²で算出する 法定健診や特定健診の項目として用いられる
放射線 使用しない 使用する 身体計測では使用しない
健康診断での位置づけ 法定の必須項目ではなく追加測定として行われる場合がある 人間ドックなどの追加検査として実施する施設がある 身長、体重、腹囲などは所定の健診項目に含まれる

日常の体脂肪や筋肉量の変化を追うなら体組成計を使う

体脂肪率や筋肉量の変化を週単位・月単位で追いたい場合は、繰り返し測りやすい体組成計が使えます。放射線を使わず、自宅でも継続して記録できる点がCTとの大きな違いです。

ただし、毎回の数値を別々に評価するのではなく、同じ機器と測定条件で記録をそろえます。日々の増減より、同じ条件で見た中長期の変化を確認します。

健康診断で業務用体組成計を測った場合も、その1回の値を自宅の機器へ置き換えて考える必要はありません。健診結果と家庭の記録を別系列にしておくと、機器差による変動と生活上の変化を混同しにくくなります。

体脂肪率を減らすことだけを目標にすると、筋肉量などほかの体組成を見落とす場合があります。複数項目が表示される機器では、何を追うために測定するのかを決めて記録します。

内臓脂肪の蓄積を面積で確認したい場合はCTを検討する

腹囲や健診結果から内臓脂肪の蓄積を詳しく確認したい場合は、内臓脂肪CT検査で腹部断面の脂肪面積を測る方法があります。体脂肪率だけでは内臓脂肪と皮下脂肪を分けて面積表示できません。

特に、健診で腹囲や血圧、脂質、血糖などを指摘され、内臓脂肪の状態を追加で確認したい場合は、CTで何を測る検査なのかを確認したうえで追加検査を選びます。

一方で、体脂肪率の経過を追うだけの目的で毎回CTを受ける必要はありません。CTには放射線被ばくがあるため、日常の記録と、必要な時点で行う画像検査を分けます。

人間ドックのオプションから選ぶ場合は、検査名だけでなく、内臓脂肪面積を測る検査か、一般的な腹部CTとして臓器を観察する検査かを確認します。目的が異なるため、予約ページの説明を読み分けます。

要受診や要精密検査の判定がある場合は体脂肪測定だけで終えない

健康診断で「要受診」「要精密検査」などの判定が出ている場合は、体組成計や内臓脂肪CTを追加で測るだけで対応を終えません。結果票で指示された診療科や再検査を確認します。

体脂肪率が標準表示でも、血圧や血液検査などの異常が打ち消されるわけではありません。反対に、体組成計で体脂肪率が高い表示でも、その数値だけで病気と診断されるわけではありません。

血糖について再検査や受診を指示された場合は、糖尿病検査の種類や受診先を確認し、健診結果を持参して医療機関を受診します。体脂肪率の変化を見ることと、異常値の原因を調べることは分けて進めます。

何を追加で測ればよいか迷う場合は、健診結果のどの項目が指摘されたのかを確認したうえで、健診施設や医療機関へ相談します。検査名だけを先に決めず、確認したい内容から検査を選びます。

体脂肪率は体組成計で経過を見て内臓脂肪は必要に応じてCTで確認する

体脂肪率検査の内容は、体組成計による推定と内臓脂肪CT検査で大きく異なります。体脂肪率には全国共通の診断基準値がなく、BIA法の値は水分量や機器によって変動します。

会社の法定健康診断では体脂肪率測定は必須ではありません。健診で測定した場合は追加項目として扱い、BMI、腹囲、血圧、血液検査などとは分けて結果を確認します。

体脂肪率検査で押さえておく内容
  • 体組成計はBIA法などで体脂肪率や筋肉量を推定する
  • 体脂肪率には国が定めた全国共通の診断基準値はない
  • 法定の定期健康診断で体脂肪率測定は必須項目ではない
  • 内臓脂肪CTでは腹部断面から内臓脂肪面積をcm²で算出する
  • 内臓脂肪面積100cm²以上は内臓脂肪型肥満の判定に用いられる
  • 妊娠中または妊娠の可能性がある場合はCT前に施設へ伝える
  • 健診で要受診・要精密検査の判定がある場合は指示された受診を優先する

日常の変化を追うなら同じ体組成計・同じ条件で記録し、内臓脂肪を面積で確認する必要がある場合はCTの内容を確認します。目的の違いを理解して測定結果を使い分けましょう。