血糖値検査とは?基準値と空腹時血糖の正常値・インスリン抵抗性検査との違い

健康診断で血糖値に印が付き、「どのくらいの数値なら正常なのか」「100mg/dLを超えたら糖尿病なのか」と不安になる方もいるでしょう。

血糖値は食事の影響を受けやすく、採血時の条件を確認せず数値だけを見ると、結果の意味を正しく捉えられない場合があります。また、1回の血糖値だけで糖尿病と決まるわけではありません。

この記事では、血糖値検査の内容と基準値、空腹時血糖の正常値を整理します。さらに、血糖値検査とインスリン抵抗性検査で何を調べているのか、その違いも解説します。

自分の健診結果がどの範囲に当てはまるかを確認し、経過を見てよいのか、追加検査や医療機関への受診が必要なのかを整理していきましょう。

血糖値検査は採血時点の血液中のブドウ糖濃度を確認する検査

血糖値検査は、採血した時点で血液中にどのくらいブドウ糖が含まれているかを調べる検査です。健康診断や特定健診、人間ドック等で広く行われています。

ただし、食事をしてからの時間によって数値が変化するため、結果を見る際は「空腹時血糖なのか」「食後や随時の血糖値なのか」を確認する必要があります。

血糖値は体を動かすエネルギー源となるブドウ糖の濃度を示す

血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度です。ブドウ糖は食事に含まれる炭水化物等から作られ、脳や筋肉を動かすためのエネルギー源として利用されます。

食事をすると血液中のブドウ糖が増えるため血糖値は上昇します。その後、インスリン(血糖値を下げる働きを持つホルモン)が分泌され、ブドウ糖が細胞へ取り込まれることで血糖値は下がっていきます。

そのため、血糖値検査は採血した時点の血糖の状態を確認する検査です。同じ人でも食事の有無や採血した時刻等によって数値が変わるため、単独の数値だけではなく採血条件と合わせて確認しましょう。

空腹時血糖と随時血糖では採血するときの条件が異なる

空腹時血糖は、一定時間食事をしていない状態で測定する血糖値です。糖尿病情報センターでは、空腹時の検査について10時間以上食事や糖分を含む飲料を摂取しないよう指示されることがあると説明しています。

一方、食事からの経過時間を限定せずに測る血糖値は随時血糖と呼ばれます。食後は血糖値が上昇するため、随時血糖の結果を空腹時血糖の基準値へそのまま当てはめることはできません。

健診結果を見る際は、数値だけでなく検査項目名も確認してください。「空腹時血糖」「随時血糖」等の記載が分からない場合は、受診した医療機関や健診施設へ採血条件を確認すると結果を読み違えにくくなります。

血糖値検査だけでは糖尿病の診断を確定できない

血糖値が高かったとしても、1回の血糖値検査だけで自己判断によって糖尿病と決めることはできません。糖尿病の診断では血糖値のほか、HbA1cや必要に応じて75g経口ブドウ糖負荷試験等も用いられます。

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)は、過去1〜2か月程度の血糖状態を反映する指標です。採血時点の状態を示す血糖値とは確認している時間の範囲が異なるため、両者を組み合わせて評価する場合があります。

血糖値が高かったときは、検査結果に記載された判定や他の検査値も確認してください。糖尿病検査全体の種類や受診先については別の記事で解説しているため、必要な場合は合わせて確認できます。

血糖値検査の基準値は99mg/dL以下と100mg/dL以上で見方が変わる

空腹時血糖は、健診では99mg/dL以下が基準範囲内として示されることがあります。ただし、100mg/dLを超えた時点ですぐ糖尿病と診断されるわけではありません。

特に100〜109mg/dLは、110mg/dL以上とは区別しながらも、将来の糖尿病発症リスクが高い範囲として確認しておきたい数値です。

空腹時血糖 数値の見方 確認したい対応
99mg/dL以下 健診では基準範囲内として扱われる範囲 定期的な健診を継続する
100〜109mg/dL 正常高値とされ、将来の糖尿病発症リスクが高まる範囲 生活習慣やほかのリスク因子を確認する
110〜125mg/dL 糖尿病の疑いを否定できず、詳しい評価が必要となる範囲 75g経口ブドウ糖負荷試験等の追加検査について医療機関へ確認する
126mg/dL以上 糖尿病型の血糖値に該当する範囲 自己判断で様子を見続けず医療機関を受診する

※上記は空腹時血糖の数値を整理したものです。1回の検査値だけで糖尿病の診断が確定するわけではありません。実際の診断はHbA1cや再検査等の結果を含めて医師が行います。

空腹時血糖99mg/dL以下は健診で基準範囲内として扱われる

厚生労働省が示す健診の案内では、空腹時血糖99mg/dL以下は基準範囲内に位置付けられています。そのため、健康診断の結果表では100mg/dL未満を目安として確認できます。

ただし、99mg/dL以下だから将来も血糖値に問題が起きないという意味ではありません。血糖値は採血時点の状態を示すため、年齢や生活習慣の変化等によって今後数値が変わる可能性があります。

基準範囲内であっても、定期的に健康診断を受けて推移を確認しましょう。過去の健診結果が残っている場合は、今回の値だけではなく前年までの数値と並べると、血糖値が上昇傾向にあるかも確認できます。

100〜109mg/dLは正常型の範囲内でも注意したい正常高値

空腹時血糖100〜109mg/dLは、110mg/dL以上の範囲とは区別されますが、「正常高値」として扱われる範囲です。糖尿病情報センターでは、この範囲は将来糖尿病を発症するリスクが高いことを説明しています。

このため、「100mg/dLを超えたので糖尿病」と考えるのも、「110mg/dL未満だから何も気にしなくてよい」と考えるのも適切ではありません。健診と糖尿病リスクの評価では、数値の区切り方が異なるためです。

特に、高血圧、脂質異常、肥満等のリスクが重なっている場合は、医療機関で75g経口ブドウ糖負荷試験等の詳しい検査が必要か確認しましょう。健診結果に保健指導等の案内がある場合は、その内容も確認してください。

110〜125mg/dLは追加検査を確認し126mg/dL以上は受診する

空腹時血糖が110〜125mg/dLの場合、糖尿病情報センターでは糖尿病の疑いを否定できない範囲として、75g経口ブドウ糖負荷試験による詳しい評価を勧めています。

さらに、空腹時血糖126mg/dL以上は医療機関への受診が必要な水準です。ただし、126mg/dL以上という1回の検査結果だけを見て、自分で糖尿病と確定するわけではありません。

高い数値が出た場合は、食事を抜いて自分で再測定する等の対応だけで済ませず、健診結果を持って医療機関を受診してください。医師がHbA1cや再度の血糖測定等を行い、診断に必要な情報を確認します。

空腹時血糖の正常値を確認するときは採血前の絶食時間を確かめる

空腹時血糖の結果を基準値と比較するには、本当に空腹時の条件で採血した数値なのかを確認する必要があります。

食事をした後の血糖値を空腹時血糖の表へ当てはめると、必要以上に高いと考えたり、反対に検査条件の違いを見落としたりする可能性があります。

空腹時血糖は10時間以上食事をしていない状態で測定する

糖尿病情報センターでは、空腹時の血糖値を調べる場合、検査前に10時間以上食事や糖分を含む飲料を摂取しないよう指示されることがあるとしています。夜から翌朝まで絶食し、午前中に採血する健診が多いのはこのためです。

絶食時間が不足している場合は、空腹時血糖としての条件を満たしていない可能性があります。前日の夕食が遅かった場合や、採血前に糖分を含む飲料を飲んだ場合は、検査施設へ伝えてください。

水分摂取や服薬の扱いは、受診する検査や施設によって指示が異なる場合があります。自己判断で薬を中止したり食事条件を変更したりせず、健診施設や医療機関から案内された事前準備に従いましょう。

朝食を食べた後の数値を空腹時血糖の基準表に当てはめない

朝食や間食を摂った後に採血した場合、食事によって血糖値が上昇している可能性があります。その数値を99mg/dL以下や100〜109mg/dLといった空腹時血糖の区分だけで評価することはできません。

まず結果表の検査項目名を確認し、「空腹時血糖」「随時血糖」のどちらとして測定された値なのかを確かめてください。食後何時間で採血したか分かる場合は、その情報も残しておくと医療機関へ相談するときに伝えられます。

採血条件が分からないまま数値へ不安を感じた場合は、受診した健診施設へ問い合わせましょう。検査条件を確認してから結果表に記載された判定を見ることで、異なる条件の基準値を混同するのを防げます。

再検査では前回の血糖値と採血条件を医療機関へ伝える

血糖値の再検査を受ける場合は、今回の数値だけでなく、検査日、空腹時かどうか、過去の血糖値やHbA1c等が分かる健診結果を持参すると、医師が経過を確認できます。

特に血糖値は1回ごとの変動があるため、過去からの推移と検査条件をセットで確認することが大切です。前年より上昇している場合も、数値の区分だけでなく変化を医療機関へ伝えましょう。

空腹時血糖126mg/dL以上等、医療機関への受診が勧められる数値が出ている場合は、自宅で様子を見続けるのではなく受診してください。記事上の基準値だけで診断や治療の要否を自己判断しないようにしましょう。

インスリン抵抗性検査は血糖値ではなくインスリンの効きにくさを評価する

血糖値検査とインスリン抵抗性検査は、どちらも糖代謝に関係する検査ですが、確認する内容が異なります。

血糖値検査は血液中のブドウ糖濃度を測り、HOMA-IR等のインスリン抵抗性評価では、血糖値とインスリン値を組み合わせてインスリンの効きにくさを確認します。

比較項目 血糖値検査 インスリン抵抗性評価(HOMA-IR)
主に確認するもの 採血時点の血液中のブドウ糖濃度 インスリンの効きにくさ
使用する値 血糖値 空腹時血糖値と空腹時インスリン値
結果 mg/dLで表示 計算した指数で表示
主な見方 空腹時か随時かを確認して基準値と比較 HOMA-IRの値からインスリン抵抗性を評価
注意点 食事等によって数値が変動する 血糖値が高い場合やインスリン治療中は正確に評価しにくい

HOMA-IRは空腹時インスリン値と空腹時血糖値から算出する

インスリン抵抗性とは、インスリンが分泌されていても体が反応しにくくなり、血糖を下げる作用が十分に働きにくい状態です。インスリン抵抗性を調べる方法の1つにHOMA-IRがあります。

HOMA-IR=空腹時インスリン値(μU/mL)×空腹時血糖値(mg/dL)÷405

日本循環器学会と日本糖尿病学会のコンセンサスステートメントでは、HOMA-IRは1.6以下を正常、2.5以上をインスリン抵抗性ありとしています。血糖値そのものではなく、空腹時インスリン値と組み合わせて算出する点が特徴です。

そのため、「血糖値検査」と「インスリン抵抗性検査」は同じ検査ではありません。血糖値がどのくらいあるかを知りたい場合と、インスリンがどの程度効きにくくなっているかを調べたい場合では、確認する指標が異なります。

血糖値とHOMA-IRは評価する対象が違うため代用できない

血糖値検査では血液中のブドウ糖濃度を直接確認します。一方、HOMA-IRは空腹時血糖値と空腹時インスリン値からインスリン抵抗性を推定する指標です。

このため、血糖値が分かってもHOMA-IRの代わりにはならず、HOMA-IRだけで血糖値の基準判定を置き換えることもできません。何を調べたいかによって必要な検査が変わります。

健康診断で血糖値を確認する目的で、すべての人がHOMA-IRを追加する必要があるわけではありません。インスリン抵抗性について詳しい評価が必要かは、血糖値やHbA1c、既往歴等を踏まえて医師へ確認してください。

血糖値140mg/dL超やインスリン治療中ではHOMA-IRを正確に評価しにくい

HOMA-IRはどのような状態でも同じように利用できるわけではありません。日本循環器学会と日本糖尿病学会のコンセンサスステートメントでは、血糖値140mg/dLを超える場合、HOMA-IRでインスリン抵抗性を正確に評価できないとしています。

また、インスリン治療を受けている場合もHOMA-IRによる評価には適しません。すでに血糖値が大きく上昇している方や治療中の方が、計算式だけを使って自分の状態を評価するのは避けましょう。

インスリン抵抗性について詳しく調べたい場合は、現在の血糖値や治療状況を医師へ伝えたうえで、どの検査が適しているか確認してください。血糖値検査とは目的が異なる検査として理解しておくことが重要です。

血糖値検査は採血条件と99・109・125・126mg/dLの境目を確認して結果を読む

血糖値検査の結果を見るときに確認すること
  • 血糖値検査は採血した時点の血液中のブドウ糖濃度を確認する検査
  • 空腹時血糖は採血前の食事条件を確認してから基準値と比較する
  • 99mg/dL以下は健診で基準範囲内として扱われる
  • 100〜109mg/dLは正常高値で、将来の糖尿病発症リスクに注意する
  • 110〜125mg/dLは追加検査について医療機関へ確認する
  • 126mg/dL以上の場合は自己判断で様子を見続けず医療機関を受診する
  • HOMA-IRは血糖値とは異なり、インスリンの効きにくさを評価する指標

血糖値検査の結果は、数値だけではなく空腹時かどうかを確認して読みましょう。特に100〜109mg/dLは「糖尿病ではないから問題ない」と考えるのではなく、生活習慣やほかの検査結果も合わせて確認したい範囲です。

110〜125mg/dLの場合は追加検査の必要性を確認し、126mg/dL以上の場合は医療機関を受診してください。血糖値だけで自己診断せず、必要に応じてHbA1c等の結果も含めて医師の評価を受けましょう。