頸動脈エコー検査とは何を調べる検査なのか、健康診断や人間ドックで案内されても、検査内容までイメージできない方もいるでしょう。結果に「プラーク」「IMT」などの言葉が並び、意味が分からず不安になる場合もあります。
頸動脈エコーでは、超音波を使って血管の壁の厚さ、プラークの有無や大きさ、血管の狭まり、血流などを確認します。検査で分かることから、実際の流れ、結果票を見る際のポイントまで順番に整理します。
検査結果の意味を把握できれば、経過観察でよいのか、生活習慣を見直すのか、医療機関で詳しい確認が必要なのかを整理できます。突然の麻痺や言葉の異常など、健診を待たず対応すべき症状もあわせて確認しておきましょう。
頸動脈エコー検査は首の血管から動脈硬化の状態を調べる検査
頸動脈エコー検査は、首にある頸動脈へ超音波を当て、血管の壁やプラーク、狭窄、血流の状態を画像で確認する検査です。主に動脈硬化がどの程度進んでいるかを評価するために行われます。
超音波を当てて頸動脈の壁や内部を画像で確認する
頸動脈エコー検査では、プローブと呼ばれる超音波を送受信する器具を首に当てます。頸動脈は皮膚から比較的近い位置を通っているため、超音波によって血管壁や血管内部の状態を観察できます。
画像では、血管の壁が厚くなっていないか、内側に盛り上がった部分がないか、血液の通り道が狭くなっていないかなどを確認します。必要に応じてドプラ法(血液の流れる方向や速さを調べる超音波検査)も用い、血流の状態を評価します。
頸動脈を直接切開したり、血管内へ器具を入れたりする検査ではありません。検査時は首にゼリーを塗り、皮膚の上からプローブを当てて観察します。超音波を用いるため、X線検査のような放射線による被ばくもありません。
ただし、頸動脈エコーで確認できるのは主に首の血管です。脳そのものの状態を調べるMRIや、頭蓋内の血管を調べるMRAとは確認する対象が異なります。何を調べたいのかによって必要な検査は変わります。
血管の変化から動脈硬化が進んでいないかを評価する
頸動脈エコーが行われる主な目的は、動脈硬化によって血管に生じた変化を確認することです。動脈硬化とは、加齢や高血圧、脂質異常症、糖尿病、喫煙などの影響を受け、動脈の壁が厚くなったり硬くなったりする状態を指します。
頸動脈は動脈硬化の変化を観察しやすい血管です。国立循環器病研究センターでも、頸動脈は動脈硬化が起こりやすく、全身の動脈硬化の程度を推測するために頸動脈エコーが利用されると説明されています。
そのため、健康診断や人間ドックで血圧、血糖、LDLコレステロールなどに異常を指摘されている場合には、それらの数値と頸動脈の状態をあわせて確認することがあります。頸動脈だけを見て全身の病気を確定する検査ではない点は押さえておきましょう。
検査結果を受け取った際は、「正常か異常か」だけではなく、IMTやプラーク、狭窄についてどのような記載があるかを確認すると、医師から説明を受ける際にも内容を理解しやすくなります。
脳梗塞の発症を直接予測する検査ではない
頸動脈にプラークや狭窄があると脳梗塞との関連が気になるかもしれませんが、頸動脈エコーだけで「脳梗塞になる・ならない」を確定することはできません。検査で確認するのは、脳梗塞に関係する可能性がある血管の変化です。
プラークが大きくなると血液の通り道を狭くすることがあります。また、プラークの一部や血栓が血流に乗って脳の血管へ移動すると、脳梗塞につながる場合があります。一方で、プラークが見つかったすべての方が脳梗塞を発症するわけではありません。
実際の評価では、プラークの厚さや形状、性状、狭窄の程度に加え、年齢、血圧、脂質、血糖、喫煙歴、過去の病気なども踏まえます。必要であればMRI・MRAなど別の検査を組み合わせて、医師が状態を確認します。
したがって、結果票に「プラークあり」などと記載されていても、言葉だけで危険度を決めないことが大切です。指摘された内容と医療機関から示された再検査・受診時期を確認しましょう。
頸動脈エコー検査の内容はIMTとプラークと狭窄や血流の確認が中心
頸動脈エコー検査の内容を見る際は、IMT、プラーク、狭窄、血流の4点を押さえると整理しやすくなります。それぞれが何を表しているのかは異なります。
| 確認する項目 | 主に分かること | 結果を見るときのポイント |
|---|---|---|
| IMT | 頸動脈の内膜と中膜を合わせた厚さ | 加齢による変化もあるため、数値だけで自己判断しない |
| プラーク | 血管壁の一部が局所的に盛り上がった病変 | 有無だけでなく厚さや形状、性状なども確認される |
| 狭窄 | 血管の内腔がどの程度狭くなっているか | 狭まりが強い場合は追加評価が必要になることがある |
| 血流 | 血液が流れる方向や速度 | 狭窄の評価などと組み合わせて確認される |
IMTは血管の内膜と中膜を合わせた厚さを表す
IMTは「Intima-Media Thickness」の略で、頸動脈の内膜と中膜を合わせた厚さを意味します。超音波画像で血管壁を観察し、動脈硬化による壁の変化を確認する項目の一つです。
結果票では「IMT」「最大IMT」「max IMT」などの表記が使われる場合があります。ただし、IMTは年齢によって生理的に厚くなる傾向があるため、すべての年代を一律の数値だけで正常・異常に分けるものではありません。
厚生労働省e-ヘルスネットでも、IMTは加齢によって厚くなることから、年齢を考慮して評価する必要があると説明されています。ネット上で見つけた一つの基準値だけを当てはめて、結果を自己判断するのは避けましょう。
IMTが厚いと記載されている場合は、その数値だけでなく、プラークの有無や血管の狭窄、血圧・脂質・血糖など他の検査結果を含めて確認します。再検査や医療機関の受診を案内された場合は、その指示に沿ってください。
プラークは血管壁が局所的に盛り上がった病変を確認する
頸動脈エコーでは、血管壁の一部にプラークが形成されていないかも確認します。日本で用いられる標準的な評価では、一般に血管の内側へ局所的に1.1mm以上突出した病変をプラークと呼びます。
プラークについては、単に「ある・ない」だけを確認するわけではありません。大きさや厚さ、表面の状態、内部の超音波画像での見え方などを観察し、必要に応じてどのような特徴を持つか評価します。
血管壁全体が均一に厚くなっている状態と、一部分だけ盛り上がったプラークでは意味が異なるため、IMTとプラークは分けて確認されます。結果票に両方の項目が記載されている場合も、それぞれの数値や所見を確認してください。
「1.1mm以上だから直ちに危険」という意味ではありません。プラークの厚さだけで脳梗塞の危険性を決めることはできないため、狭窄の程度やほかの危険因子を含めて医師が評価します。
狭窄と血流を調べて血液の通りにくさを確認する
プラークが大きくなるなどして血管の内側が狭くなった状態を狭窄(きょうさく)といいます。頸動脈エコーでは、血管の画像から狭くなっている部分を確認し、必要に応じて血液の流れも調べます。
血流を評価するときに用いられるのがドプラ法です。超音波の性質を利用して、血液がどちらへ、どの程度の速さで流れているのかを測定します。血管が狭くなっている部分では血流速度が変化するため、画像による形態の確認と組み合わせて狭窄を評価します。
結果票には狭窄率や血流速度などが記載される場合がありますが、測定方法や評価の仕方は検査目的によって異なります。数値が高い・低いという一点だけではなく、医師の所見や判定区分とあわせて確認しましょう。
狭窄が強い場合や、症状との関連を詳しく確認する必要がある場合には、MRAやCTAなど別の画像検査が行われることもあります。追加検査の要否は、頸動脈エコーの結果と全身状態を踏まえて医師が判断します。
頸動脈プラークとは動脈硬化によって血管壁にできる局所的な盛り上がり
頸動脈プラークとは、動脈硬化に伴って頸動脈の壁に形成される局所的な盛り上がりです。存在するだけで脳梗塞が確定するわけではなく、大きさや性状、狭窄の程度まで含めて評価します。
プラークは一般に1.1mm以上の局所的な隆起として評価される
厚生労働省e-ヘルスネットでは、頸動脈エコーにおけるプラークを、一般に血管壁から内側へ局所的に1.1mm以上突出した病変と説明しています。日本動脈硬化学会の一般向けQ&Aでも同様の考え方が示されています。
ここで注意したいのは、1.1mmという数字が「治療が必要になる境目」ではないことです。この数値はプラークとして評価するための定義であり、実際の対応を決めるときにはプラークの状態や血管の狭まり、本人の症状なども確認します。
また、検査結果にはプラークの最大厚や位置が記載されることがあります。過去にも頸動脈エコーを受けている場合は、今回の数字だけを見るのではなく、以前の所見との変化も医師に確認しましょう。
検査施設によって結果票の書式や表記は異なるため、「プラーク」「plaque」「最大厚」などの項目が見つからない場合でも、所見欄に文章で記載されていることがあります。不明な略語や判定があれば、検査を受けた施設へ確認してください。
プラークの危険性は大きさだけでは決まらない
頸動脈プラークを見るときは、厚さだけでなく、形状や表面、内部の性状、動き、血管をどの程度狭くしているかなども確認されます。超音波画像から得られる情報を組み合わせて状態を評価するためです。
プラークが大きくなれば血液の通り道を狭める場合があります。また、プラークが不安定な状態になり、その一部や形成された血栓が脳の血管へ流れると、脳梗塞につながる可能性があります。
一方で、小さなプラークが見つかったからといって、その時点で脳梗塞を発症すると決まるわけではありません。「プラークあり」という一言だけで危険度を決めず、医師から説明された所見全体を見ることが重要です。
特に、血管の狭窄を伴う場合や、過去に脳梗塞・一過性脳虚血発作などを経験している場合には評価方法が変わることがあります。結果票に再検査や精密検査の案内があれば、自己判断で先延ばしにせず受診時期を確認しましょう。
プラークを指摘された後は血圧や脂質などもあわせて確認する
頸動脈プラークを指摘された場合は、頸動脈だけを見るのではなく、動脈硬化に関係する高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満、喫煙などの状態もあわせて確認することが大切です。
例えば、健康診断で血圧やLDLコレステロール、血糖値にも異常がある場合は、そのままにせず医療機関から示された対応を確認します。生活習慣の改善だけで経過を見るのか、追加検査や治療が必要なのかは、個々の状態によって異なります。
プラークが見つかったからといって、直ちに手術が必要になるわけでもありません。国立循環器病研究センターでは、頸動脈の狭窄やプラークの程度などに応じて、経過観察や薬物治療、さらに詳しい評価などが検討されると説明しています。
健診結果に要受診・要精密検査と記載されている場合は、その判定に従って医療機関を受診しましょう。以前の検査結果を持っている方は持参すると、変化を確認してもらいやすくなります。
頸動脈エコー検査は首元を出して横になり超音波を当てて受ける
頸動脈エコー検査では、ベッドに仰向けになり、首にゼリーを塗ってプローブを当てながら左右の頸動脈を観察します。一般的には大がかりな事前準備を必要としませんが、服装などは確認しておくとスムーズです。
検査前は首を出しやすい服装にしてネックレスなどを外す
頸動脈エコーでは首の左右にプローブを当てるため、首元を十分に出せる服装で受けると検査を進めやすくなります。タートルネックなど首を覆う衣服は避けるよう案内している医療機関もあります。
ネックレス、スカーフなど首周りの装飾品は、検査前に外すよう求められることがあります。着替えの有無は施設によって異なるため、予約時の案内がある場合はそちらを優先してください。
頸動脈エコー単独では、食事制限を必要としないと案内している医療機関があります。ただし、人間ドックで血液検査や腹部超音波検査などを同じ日に受ける場合は、別の検査を理由に絶食を指示されることがあります。
「頸動脈エコーなら食べてもよい」と自己判断せず、予約票や施設からの案内を確認しましょう。服薬について指示を受けている場合も、自己判断で中止せず、検査施設または主治医へ確認してください。
検査中は仰向けになり左右の頸動脈を順番に観察する
検査ではベッドに仰向けになり、首をやや伸ばした状態で行うのが一般的です。首に超音波検査用のゼリーを塗り、検査担当者がプローブを動かしながら左右の頸動脈を複数の方向から観察します。
プローブを皮膚へ密着させるため、検査する場所によっては少し押される感覚が生じることがあります。通常は皮膚の上から行う検査で、採血のように針を刺したり、造影剤を注射したりする検査ではありません。
血管の形を見るだけでなく、必要に応じて血流の測定も行います。そのため、同じ「頸動脈エコー」という名称でも、確認する範囲や所見によって検査時間が変わる場合があります。
検査中に首の姿勢がつらい、痛みがあるなど不都合があれば我慢せず担当者へ伝えましょう。首の状態に合わせて姿勢を調整できる場合があります。
所要時間は施設や検査内容によって20分から1時間程度の幅がある
頸動脈エコーの所要時間は一律ではありません。公的医療機関の案内を見ると、町田市民病院では20〜30分程度、東京大学医学部附属病院では30〜45分程度、国立循環器病研究センターでは30分〜1時間程度とされています。
この違いは、検査する範囲、血管の状態、血流測定の内容などによって生じます。予定を組む際は「必ず○分で終わる」と考えず、予約した施設が案内している時間を確認してください。
検査そのものが終わっても、その場ですぐ詳しい説明を受けるとは限りません。健診施設では後日結果票が届く場合があり、医療機関では診察時に医師から説明を受ける場合もあります。
結果を受け取ったら、IMT、プラーク、狭窄などの所見に加えて、判定区分や受診勧奨の有無まで確認しましょう。結果説明の方法や受け取り時期は、受診する施設へ事前に確認しておくと安心です。
動脈硬化の危険因子がある人は健診結果とあわせて頸動脈を確認する
頸動脈エコーを受ける必要性は、年齢だけでは決められません。高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満、喫煙など動脈硬化に関係する要因や、これまでの検査結果を踏まえて考えます。
高血圧や脂質異常症などがある場合は全身のリスクも確認する
動脈硬化には、高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満、喫煙など複数の要因が関係します。健康診断でこれらの項目を指摘されている場合は、頸動脈エコーの結果だけでなく、血圧・血液検査・体格などを一緒に確認することが大切です。
例えば、BMIが高い場合でも、それだけで頸動脈プラークの有無が決まるわけではありません。反対に、標準的なBMIであっても高血圧や脂質異常症、喫煙など別の要因が重なっていることがあります。
動脈硬化は複数の要因が影響するため、一つの検査値だけを正常範囲へ戻すことを目的にするのではなく、健診結果全体を確認しましょう。医療機関から治療や生活習慣について指示を受けている場合は、その内容を継続することが重要です。
頸動脈エコーを健康診断や人間ドックのオプションとして追加するか迷う場合は、自分の既往歴や健診結果を伝えたうえで、医師や健診施設へ相談してください。
過去にプラークやIMTの肥厚を指摘された人は以前の結果も確認する
過去の頸動脈エコーでプラークやIMTの肥厚を指摘されている場合は、今回の結果だけを見るのではなく、以前の画像や結果票と比較して変化があるかを確認することが重要です。
日本動脈硬化学会の一般向けQ&Aでは、頸動脈エコーの再検査間隔について、所見や危険因子によって頻度を変える考え方が示されています。そのため、すべての人が毎年同じ頻度で受ける必要があるわけではありません。
再検査の時期は、プラークの有無や程度、IMT、狭窄、糖尿病などの危険因子によって変わります。「昨年受けたから今年も同じ時期」と機械的に決めず、結果票や主治医から指定された時期を確認しましょう。
以前とは別の施設で検査を受ける場合は、過去の結果票を持参すると経過を確認しやすくなります。医療機関から画像データなどを受け取っている場合は、持参すべきか予約時に確認してください。
突然の麻痺や言葉の異常がある場合は健診を待たず119番へ連絡する
頸動脈エコーは動脈硬化の評価などに使われる検査ですが、脳卒中を疑う症状が突然現れたときに、人間ドックや健診の予約を待つための検査ではありません。緊急の対応が必要になる場合があります。
日本脳卒中協会では、突然、顔や手足の片側が動かしにくい・しびれる、ろれつが回らない・言葉が出ない、立てない・歩けない、片目が見えない・物が二重に見える、経験したことのない激しい頭痛などを脳卒中の主な症状として挙げています。
このような症状が急に現れた場合は、様子を見たり健診施設へ相談したりするのではなく、119番へ連絡して救急車を要請してください。脳卒中は治療開始までの時間が重要になる病気です。
症状が一度消えた場合でも、一過性脳虚血発作など脳卒中の前触れである可能性があります。急な神経症状があったときは、「治ったから大丈夫」と自己判断せず、速やかな医療機関での評価が必要です。
頸動脈エコーはプラークと狭窄を確認して動脈硬化の状態を把握する検査
頸動脈エコー検査とは、首の頸動脈を超音波で観察し、IMT、頸動脈プラーク、狭窄、血流などから動脈硬化の状態を調べる検査です。頸動脈プラークは一般に1.1mm以上の局所的な隆起として評価されますが、その数値だけで病気の危険度は決まりません。
- 頸動脈の壁の厚さ、プラーク、狭窄、血流を超音波で確認する
- IMTは加齢でも変化するため、単一の数値だけで正常・異常を決めない
- 頸動脈プラークは一般に1.1mm以上の局所的な隆起を指す
- プラークが見つかっても、厚さや性状、狭窄、ほかの危険因子を含めて評価する
- 検査時間は施設や内容によって異なり、公的医療機関では20分〜1時間程度の案内例がある
- 要受診・要精密検査と判定された場合は、結果票の指示に沿って医療機関を受診する
- 突然の片側の麻痺や言葉の異常などが出た場合は健診を待たず119番へ連絡する
健康診断や人間ドックで頸動脈エコーを受ける場合は、検査の有無だけでなく、結果として何が記録されるのかまで確認しておきましょう。異常を指摘された場合は自己判断で放置せず、過去の検査結果や血圧・脂質・血糖なども含めて医師の説明を受けてください。