大腸内視鏡検査とは?検査内容と費用・頻度や何歳から受けるかも紹介

大腸内視鏡検査を受けたほうがよいのか気になっていても、「検査は痛いのか」「前処置は大変なのか」「何歳から受ければよいのか」と不安や疑問を感じる方もいるでしょう。

大腸内視鏡検査は、年齢だけで一律に受けるものではありません。便潜血検査の結果や症状、過去の検査結果を確認せずに受診時期を決めると、必要な精密検査を先延ばしにしたり、適切な検査の頻度を判断できなかったりする可能性があります。

この記事では、大腸内視鏡検査で分かることや検査の流れに加え、費用、何歳から受けるのか、大腸カメラを受ける頻度について解説します。40歳から受ける便潜血検査と、精密検査として行う大腸内視鏡検査の違いも整理します。

便潜血検査を受ける段階なのか、大腸内視鏡検査について医療機関へ相談したほうがよいのかを確認し、自分の状況に合った次の行動を判断できるようにしましょう。

大腸内視鏡検査は大腸の粘膜を直接観察する検査

大腸内視鏡検査は、先端にカメラが付いた細い内視鏡を肛門から挿入し、直腸から大腸の奥まで粘膜を観察する検査です。観察だけでなく、異常が見つかった際に組織採取やポリープ切除へ進める場合があります。

大腸の奥までカメラで観察して病変を確認する

大腸内視鏡検査では、肛門から内視鏡を挿入し、直腸、S状結腸、下行結腸、横行結腸、上行結腸などを順に観察します。大腸の一番奥にあたる盲腸付近まで挿入した後、内視鏡を抜きながら粘膜を詳しく確認する方法が一般的です。

便潜血検査のように便に混ざった血液を調べる検査とは異なり、大腸内視鏡検査では粘膜の色や形をカメラで直接確認できます。小さな隆起、粘膜のただれ、出血している部分などをその場で確認できる点が特徴です。

異常が疑われる部分があれば、生検(病変の一部を採取して顕微鏡で調べる検査)が行われる場合があります。医療機関や病変の状態によっては、検査中に見つかったポリープをそのまま切除することもあります。

ただし、すべてのポリープを検査当日に切除できるわけではありません。大きさや形、使用している薬、医療機関の設備などによっては、後日あらためて治療を行う場合があります。

大腸がんやポリープだけでなく炎症なども確認できる

大腸内視鏡検査では、大腸がんだけでなく、大腸ポリープや腺腫、炎症性腸疾患などさまざまな異常を確認します。腺腫は大腸の粘膜にできる良性の腫瘍ですが、一部は時間の経過とともにがんへ進むことがあります。

また、潰瘍性大腸炎やクローン病など、大腸の粘膜に炎症を生じる病気の診断や経過観察にも内視鏡が使われます。血便の原因が痔と思われていても、大腸に別の病変が隠れている可能性があるため、症状だけで原因を決めつけないことが大切です。

大腸がんは早い段階では症状がないこともあります。進行すると血便、便が細くなる、便秘と下痢を繰り返す、腹部の張り、貧血などがみられる場合がありますが、症状の有無だけでは大腸がんを除外できません

気になる症状がある場合は、検診を待つのではなく医療機関へ相談しましょう。診察の結果、症状の原因を確認するために大腸内視鏡検査が必要と判断される場合があります。

便潜血検査と大腸内視鏡検査では目的が異なる

大腸がん検診で広く行われている便潜血検査は、便の中に目では確認できない血液が含まれているかを調べる検査です。身体への負担が小さく、多くの人を対象に大腸がんの可能性がある人を絞り込むために使用されます。

一方、大腸内視鏡検査は前処置が必要で、出血や穿孔(腸の壁に穴が開くこと)などの偶発症もまれに起こります。このため、公的ながん検診では便潜血検査と大腸内視鏡検査の役割を分けています

検査 主な役割 検査後の対応
便潜血検査 便に混ざった微量の血液を調べ、大腸がんの可能性がある人を絞り込む 陽性の場合は精密検査へ進む
大腸内視鏡検査 大腸の粘膜を直接観察し、病変の有無や状態を調べる 必要に応じて生検やポリープ切除などを行う

便潜血検査で陽性になった場合に、もう一度便潜血検査を受けて陰性だったから精密検査を受けないという対応は適切ではありません。陽性となった方は、大腸全体を確認する内視鏡検査について医療機関へ相談しましょう。

胃の検査もあわせて確認したい方へ

大腸内視鏡検査は大腸を調べる検査で、口や鼻から食道・胃・十二指腸を観察する胃カメラとは対象となる臓器が異なります。胃の内視鏡検査やバリウム検査については、以下の記事で詳しく解説しています。

大腸内視鏡検査を何歳から受けるかは目的によって変わる

大腸内視鏡検査には、年齢だけで一律に決まる開始時期はありません。症状がない方のがん検診、便潜血陽性後の精密検査、症状を調べる診療では、受診するタイミングがそれぞれ異なります。

症状がない人は40歳から便潜血検査を受ける

日本の大腸がん検診では、40歳以上の方を対象として1年に1回の便潜血検査が行われています。ここでいう40歳は「大腸内視鏡検査を毎年始める年齢」ではなく、「定期的な大腸がん検診を始める年齢」と理解しましょう。

国立がん研究センターが2024年に公表した大腸がん検診ガイドラインでも、便潜血検査は死亡率減少効果を示す十分な根拠がある検査として推奨されています。一方、全員に大腸内視鏡検査を行う方法は、対策型検診としては推奨されていません。

大腸がんは40歳代から罹患する人が増えていくため、症状がなくても対象年齢になったら便潜血検査を継続することが重要です。自治体や勤務先の検診を利用する場合は、対象年齢や実施時期を確認してください。

人間ドックなどの任意型検診で大腸内視鏡検査を追加することはありますが、利益だけでなく前処置の負担や偶発症もあります。受ける目的や過去の検査結果を確認したうえで、医療機関へ相談しましょう。

便潜血陽性や血便などがある場合は年齢だけで待たない

便潜血検査が陽性だった方は、40歳より若いかどうかにかかわらず、結果を持って医療機関を受診しましょう。便潜血陽性は大腸がんを意味するわけではありませんが、出血している原因を確認するために精密検査が必要です。

また、血便、便に血が付く状態、便通の急な変化、便が細くなった状態、原因が分からない貧血、腹痛などが続いている場合も、年齢だけを理由に受診を先延ばしにしないことが大切です。症状がある方はがん検診ではなく診療として相談します

特に強い腹痛に加えて便やガスが出ない、嘔吐を繰り返す、多量の出血があるといった場合は、通常の健診予約を待つ状況ではない可能性があります。症状の程度に応じて、早めに医療機関へ相談してください。

大腸内視鏡検査が必要かどうかは、年齢だけではなく、症状、診察、血液検査、便潜血検査などを踏まえて医師が判断します。「まだ若いから大腸の病気ではない」と自己判断しないようにしましょう。

家族歴や過去の病変がある人は個別に受診時期を決める

血縁のある家族に若い年齢で大腸がんになった方がいる場合や、遺伝性の大腸がんが疑われる場合は、一般的ながん検診とは異なる管理が必要になることがあります。過去に大腸がんや大腸ポリープを指摘された方も同様です。

このような方は「40歳になったら便潜血検査だけを始めればよい」とは限りません。家族歴や過去の病変がある場合は自分に合った検査時期を医師へ確認し、必要に応じて大腸内視鏡検査による経過観察を受けます。

同じ「家族に大腸がんの人がいる」という状態でも、誰が何歳で発症したか、遺伝性疾患が疑われるかなどで対応は変わります。インターネット上の年齢だけを当てはめて検査時期を決めるのではなく、家族歴を医療機関へ伝えてください。

過去にポリープを切除した方についても、次回検査の時期はポリープの数、大きさ、組織の性質などによって異なります。検査結果の説明を受ける際に、次に便潜血検査を受けるのか、大腸カメラを受けるのかまで確認しておきましょう。

大腸カメラの頻度は毎年ではなく検査結果に応じて決まる

大腸カメラを毎年受ければよいとは限りません。前回の内視鏡結果やポリープの数・性質などによって次回検査までの間隔が異なるため、自分の検査結果に合わせて管理することが重要です。

異常がなかった場合は定期的な便潜血検査へ戻る

精密検査として大腸内視鏡検査を受け、大腸に腫瘍性の病変が見つからなかった場合、毎年内視鏡を繰り返すのではなく、定期的な便潜血検査へ戻る方法が示されています。異常なしでも大腸がん検診そのものを終了するわけではありません

大腸内視鏡検査は便潜血検査より準備や身体への負担が大きく、まれながら偶発症もあります。そのため、「精度が高そうだから毎年カメラにする」と自己判断するのではなく、前回の検査目的と結果を確認することが大切です。

一方、人間ドックなどの任意型検診として大腸内視鏡検査を受ける場合には、受診者の希望やリスクを踏まえて検査間隔が設定されることがあります。以前の検査結果が手元にある場合は、次回予約時に医療機関へ伝えましょう。

検査結果が「異常なし」だった場合でも、その後に血便や便通の変化などの症状が現れれば、次回予定日まで待つ必要はありません。新しい症状が生じたときは、検診の頻度とは分けて医療機関へ相談してください。

ポリープ切除後は数や性質によって3年から5年などに変わる

日本消化器内視鏡学会のガイドラインでは、ポリープを切除した後の大腸内視鏡検査について、病変の数やリスクに応じた検査間隔が示されています。すべての方が同じ頻度で受けるのではありません。

前回の主な結果 次回大腸内視鏡の目安 考え方
腫瘍性病変なし 定期的な便潜血検査へ戻る 毎年の内視鏡を一律には行わない
高リスクではない腺腫が1〜2個 3〜5年後 完全切除後の経過観察として提案されている
高リスクではない腺腫が3〜9個 3年後 病変数を踏まえて間隔を短くする
高リスク病変または腺腫が10個以上 1〜3年後 病理結果や病変数を踏まえて個別に決める

上記は医師から指示された次回検査時期を置き換える数字ではありません。ポリープの大きさ、形、病理検査の結果、切除方法、切除できた範囲などによって、実際の検査間隔が変わるためです。

検査結果の用紙は捨てずに保管し、「何個のポリープを切除したか」「病理結果は何だったか」「次回はいつと言われたか」を確認できるようにしておきましょう。別の医療機関で次回検査を受ける場合にも役立ちます。

大腸がんや慢性の腸疾患がある人は主治医の計画を優先する

大腸がんの治療後や、潰瘍性大腸炎など継続的な経過観察が必要な病気がある方では、一般的ながん検診とは異なるスケジュールで大腸内視鏡検査が行われます。過去に病気を指摘された方は、一般向けの検査頻度をそのまま当てはめないようにしましょう。

治療後の検査では、再発や新しい病変がないかを確認する目的があります。慢性的な炎症性腸疾患では、病気の活動性や長期的ながんリスクを確認する目的などがあり、何年ごとに検査するかは病状と治療歴によって異なります

過去の大腸内視鏡検査で異常があったにもかかわらず、次回時期を覚えていない場合は、検査を受けた医療機関へ確認してください。検査結果や病理結果を持参して、現在受診している医師へ相談する方法もあります。

大腸カメラの頻度を調べると「毎年」「3年」「5年」などさまざまな数字が見つかりますが、前提となる検査結果が違えば適切な間隔も変わります。数字だけではなく、自分がどの状態に当てはまるかを確認することが大切です。

大腸内視鏡検査の費用は保険適用と追加処置で変わる

大腸内視鏡検査の費用は、検査を受ける理由と検査中に行った処置によって変わります。便潜血陽性や症状などを調べる診療と、症状がない方が希望して受ける任意検査では費用の扱いも異なります。

保険診療の3割負担では観察のみ約5,000円から7,000円が目安になる

国立がん研究センター中央病院では、保険診療で大腸内視鏡検査を受ける場合の3割負担額として、観察のみで約5,000〜7,000円、生検を行う場合で約10,000〜15,000円と案内しています。

大腸ポリープを切除した場合は、約20,000〜30,000円が目安です。同じ大腸カメラでも観察だけで終わる場合と処置を行う場合では負担額が大きく変わります

検査・処置内容 3割負担の費用目安
大腸内視鏡による観察 約5,000〜7,000円
観察+生検 約10,000〜15,000円
大腸ポリープ切除 約20,000〜30,000円

実際の支払額には、初診料や再診料、薬剤、検査前の診察などが加わる場合があります。検査中に何個の病変を処置したかなどによっても変動するため、上記の数字を一律の料金として考えないようにしてください。

便潜血陽性や症状があり医師が必要と判断した検査は保険診療になる

便潜血検査で陽性となり精密検査を受ける場合や、血便、腹痛などの症状について医師が大腸内視鏡検査を必要と判断した場合は、診療の一環として健康保険が適用されます。加入している保険や年齢などに応じて自己負担割合は異なります。

受診時には、便潜血検査の結果や健診結果、紹介状がある場合は持参しましょう。医療機関では結果や症状を確認したうえで、内視鏡検査を行う必要性と前処置の方法を説明します。

「大腸カメラを受けたい」と希望して受診しても、診察を受けた結果、別の検査が先に行われる場合もあります。反対に、症状や検査結果によって早めの内視鏡検査が必要と判断されることもあります。

保険診療になるかどうかを自分だけで決めることはできません。費用が気になる場合は、予約時に「便潜血検査が陽性だった」「血便がある」など受診理由を伝え、検査までに必要な診察やおおよその費用を確認してください。

症状のない任意検査では自費となる場合がある

症状や異常を指摘されていない方が、人間ドックなどで希望して大腸内視鏡検査を受ける場合は、自由診療として扱われることがあります。自由診療の料金は医療機関が設定するため、施設ごとに金額や含まれる内容が異なります。

予約時には検査料金だけを見るのではなく、鎮静薬や前処置薬などが料金に含まれているかも確認しましょう。診察料、病理検査、ポリープ切除などが別料金として案内される施設もあります。

  • 大腸内視鏡検査そのものの料金
  • 診察料が含まれているか
  • 前処置に使用する下剤の料金
  • 鎮静薬を使用する場合の追加料金
  • 生検やポリープ切除が必要になった場合の扱い

特に人間ドックのオプションとして予約する場合は、異常が見つかった際に同じ日にポリープ切除まで行えるか、治療は別日に保険診療として行うのかも施設によって異なります。予約前に確認しておくと、当日の予定や費用を把握しやすくなります。

大腸内視鏡検査は前日から検査後まで予定を考えて受ける

大腸内視鏡検査では、腸の中を観察できる状態にするため前処置が必要です。検査時間だけではなく、前日の食事調整、当日の下剤、鎮静薬使用後の休憩まで含めて予定を組みましょう。

前日は消化しやすい食事にして指定された時間から絶食する

大腸の中に便や食べ物が残っていると粘膜を十分に観察できないため、前日は医療機関から指示された食事方法を守ります。一般に、きのこ、海藻、種のある食べ物など消化されにくい食品を控えるよう案内されることがあります。

絶食を始める時刻や飲んでよい飲み物は施設ごとに異なります。予約した医療機関から渡された説明書を優先し、自己判断で前処置を省略したり、食事時間を変更したりしないようにしてください。

前日の夜に下剤を使用する施設もあります。普段服用している薬がある場合は、検査前に中止や調整が必要なものがないかを確認します。特に血液を固まりにくくする薬などは、ポリープ切除時の出血と関係するため、薬の名前を医師へ伝えましょう。

ただし、処方薬を自分の判断で中止することは避けてください。お薬手帳を持参すると、検査前後の服薬について医療機関が確認しやすくなります。

当日は腸管洗浄液を飲んでから15分から30分ほどかけて観察する

検査当日は、腸管洗浄液と呼ばれる下剤を飲み、何度か排便して大腸の中をきれいにします。飲む量や方法は使用する薬によって異なるため、指定された手順に従ってください。

便が透明に近い液状となり、十分に腸がきれいになったことを確認してから検査へ進みます。前処置には時間がかかるため、内視鏡を入れている時間だけを見て当日の終了時刻を決めないことが大切です。

国立がん研究センター中央病院では、大腸内視鏡検査そのものの所要時間をおよそ15〜30分と案内しています。ただし、腸の形、観察する範囲、生検やポリープ切除の有無などによって検査時間は延びる場合があります。

鎮静薬を使用した場合は、検査終了後に30〜60分程度休むことがあります。受付、着替え、前処置、待ち時間まで含めた全体の所要時間は施設によって異なるため、予約時に確認しておきましょう。

鎮静薬を使った日は運転せずポリープ切除後は生活制限を守る

大腸内視鏡検査では、不安や苦痛を和らげる目的で鎮静薬を使用する場合があります。鎮静薬には眠気や注意力の低下などが残る可能性があるため、使用した日は自動車やバイク、自転車を運転しないよう案内されます。

自分で運転して帰宅する予定がある方は、鎮静薬を使用できない場合があります。公共交通機関を利用する、家族に送迎を依頼するなど、検査前に帰宅方法を決めておきましょう。

観察だけで終わった場合は、施設の指示に従って飲水や食事を再開します。一方、ポリープを切除した場合は、出血を防ぐため、飲酒、激しい運動、重い物を持つ仕事、長距離移動などを一定期間控えるよう指示されることがあります。

制限する日数は処置内容によって変わります。検査当日に予定を詰め込みすぎず、「食事はいつからか」「入浴や運動はいつからか」「仕事は通常どおりできるか」を帰宅前に確認してください。

大腸内視鏡検査では痛みだけでなく偶発症も確認しておく

大腸内視鏡検査には、腹部の張りや痛みのほか、まれに出血や穿孔などの偶発症があります。検査を受ける前に起こり得ることと、検査後に医療機関へ連絡すべき症状を知っておきましょう。

痛みや腹部の張りには個人差があり鎮静薬を使う場合もある

内視鏡を大腸の奥へ進める際には、腸が引っ張られる感覚や腹部の張り、痛みを感じることがあります。感じ方には個人差があり、腸の形、過去の腹部手術、検査方法などによっても変わります。

苦痛への不安が強い場合は、鎮静薬を使用できる施設もあります。鎮静薬は不安や苦痛を軽減できる一方でリスクもあります。呼吸が弱くなる、血圧が下がる、アレルギー反応が起こるなどの可能性があるため、検査中は状態を確認しながら使用されます。

「鎮静薬を使えば絶対に痛くない」とは言えません。また、使用できる薬や方法、追加料金の有無、帰宅方法に関する条件は医療機関によって異なります。

痛みが心配な方は予約前に鎮静薬の有無だけを確認するのではなく、検査後に何分程度休むのか、当日は何をしてはいけないのかまで聞いておきましょう。

まれに出血や穿孔などの偶発症が起こる

大腸内視鏡検査では、まれに出血や穿孔などの偶発症が生じることがあります。偶発症とは、検査や処置に伴って予期せず発生する医学的な問題のことです。

日本消化器内視鏡学会が2019〜2021年を対象に行った全国調査では、観察を目的とした大腸内視鏡検査61,083件のうち28件で偶発症が報告され、割合は0.046%でした。頻度は低くてもゼロではありません

ポリープを切除する場合には、観察だけの場合とは異なり、切除した部分から出血したり、腸壁が傷ついたりする可能性があります。病変の大きさや処置方法によってリスクは異なるため、処置前の説明を確認してください。

持病がある方や服薬中の方は、安全に検査を受けるためにも事前申告が必要です。過去の内視鏡検査で体調が悪くなったことがある場合や、薬でアレルギーを起こした経験がある場合も医療機関へ伝えましょう。

検査後の強い腹痛や多量の出血は医療機関へ連絡する

検査後は、お腹に入れた空気やガスの影響で一時的に張りを感じることがあります。一方、強い腹痛が続く、発熱する、多量の血便が出る、ふらつきが強いなど通常とは異なる症状がある場合は注意が必要です。

特にポリープ切除などの処置を受けた後は、帰宅してから出血が起こる場合があります。医療機関から説明された連絡が必要な症状と緊急連絡先を確認してから帰宅してください。

少量の出血であっても、処置内容によって対応は異なります。自己判断で様子を見るのではなく、「どの程度なら連絡するのか」「夜間や休日はどこへ連絡するのか」を検査当日に確認しておくと安心です。

検査後の体調に異変がある場合は、インターネットで同じ症状を探して受診の要否を決めるのではなく、検査を行った医療機関へ相談しましょう。症状が強い場合には緊急の診療が必要になることもあります。

40歳からは便潜血検査を続け必要なときに大腸内視鏡検査へ進む

大腸内視鏡検査とは、大腸の粘膜を直接観察し、必要に応じて生検やポリープ切除まで行う検査です。大腸がんやポリープなどを詳しく調べられますが、症状のないすべての人が毎年受ける検査ではありません。

大腸内視鏡検査を受ける時期を整理
  • 症状のない方は40歳から年1回の便潜血検査を受ける
  • 便潜血陽性の場合は再検査で済ませず精密検査について受診する
  • 血便や便通の変化などがある場合は年齢にかかわらず医療機関へ相談する
  • 大腸カメラの次回頻度は前回の結果やポリープの数・性質で決める
  • 費用は観察のみか生検・ポリープ切除を行うかで変わる

過去に大腸内視鏡検査を受けた方は、結果用紙に記載された次回検査時期を確認しましょう。次回時期が分からない場合や家族歴がある場合は、過去の結果を持参して医療機関へ相談してください。

まだ大腸がん検診を受けていない40歳以上の方は、まず自治体や勤務先で利用できる便潜血検査を確認しましょう。便潜血陽性や気になる症状がある方は、検診の次回時期を待たず、消化器内科などへ相談してください。