「骨密度検査とは何を調べるのか」「何歳から受ければよいのか」と気になっていても、健康診断で案内されず、受けるタイミングがわからない方もいるでしょう。
骨密度が低下していても自覚症状がないことがあり、骨折してから骨粗鬆症に気づくケースもあります。一方で、骨密度の数値だけを見て骨粗鬆症だと自己判断することも適切ではありません。
骨密度検査でわかることや測定方法、検査を受ける年齢の目安、YAMを使った数値の見方、骨粗鬆症の検査との違いを整理します。自分が検査を受けるタイミングや、結果を受け取った後の対応を判断できるようになります。
骨密度検査とは骨に含まれるミネラル量を調べる検査
骨密度検査は、骨に含まれるカルシウムなどのミネラル量を測定し、骨の状態を調べる検査です。骨粗鬆症や将来の骨折リスクを評価するときに使われます。
ただし、骨の強さは骨密度だけで決まるわけではありません。測定方法によって調べる部位や結果の示し方も異なるため、まずは検査で何を確認しているのかを理解しておきましょう。
骨密度は骨の強さを判断する重要な指標の一つ
骨密度とは、一定の面積や体積の骨にどれくらいミネラルが含まれているかを示す数値です。骨に含まれるミネラルが少なくなると骨密度が低下し、骨が折れやすくなる可能性があります。
ただし、骨の強さは骨密度だけではなく骨質(骨の構造や材質の状態)にも左右されます。厚生労働省の資料でも、骨量の測定は骨粗鬆症を診断するうえで重要ではあるものの、診断に使う一つの手段とされています。
そのため、骨密度が低いからといって数値だけで病気の有無を判断するのではなく、骨折歴や年齢、基礎疾患なども含めて確認する必要があります。反対に、数値が比較的高くても、特定の骨折歴がある場合には骨粗鬆症と診断されることがあります。
検査結果を受け取ったときは、骨密度の数字だけを見るのではなく、判定結果や医療機関からの指示まで確認することが大切です。
DXA法では腰椎や大腿骨近位部などの骨密度を測定する
骨密度を測る代表的な方法の一つが、DXA(2種類のX線を使って骨密度を測る方法)です。医療機関では、腰椎や大腿骨近位部などを測定し、骨粗鬆症の診断や経過確認に利用されます。
骨粗鬆症の詳しい評価では、腰椎や大腿骨近位部の骨密度が重要な判断材料になります。特に大腿骨近位部は、脚の付け根にあたる部分で、高齢者では骨折によって歩行能力や日常生活に大きな影響が出ることがあります。
測定する部位は、年齢や骨の変形、医療機関の設備などによって異なる場合があります。腰椎に変形があるなど、適切な評価が難しい場合には別の部位を使って評価することもあります。
検査を予約するときに方法まで確認したい場合は、「骨密度検査を実施しているか」だけでなく、「DXA法に対応しているか」「どの部位を測定するか」まで医療機関へ確認すると内容を把握できます。
自治体検診では超音波法など複数の測定方法が使われる
骨量を調べる方法はDXAだけではありません。厚生労働省が示す自治体の骨粗鬆症検診では、DXA法のほか、CXD法、DIP法、SXA法、pQCT法、超音波法などによる骨量測定が認められています。
例えば、超音波を利用してかかとなどを測定する方法は、自治体の検診などでも使われます。ただし、測定方法や測定部位が違えば、表示される数値や評価方法も同じとは限りません。
過去の結果と比較するときは、数字だけを並べるのではなく、どの方法で、どの部位を測った結果なのかも確認してください。異なる方法で測定した数値を単純に比較すると、骨密度が増えた・減ったと正しく判断できない場合があります。
検診で「要精検」と判定された場合は、その場の測定値だけで結論を出さず、案内に従って医療機関で詳しい検査を受けることが重要です。
骨密度検査は自治体の骨粗鬆症検診なら女性は40歳から対象
骨密度検査を何歳から受けるべきかは、全員に共通する年齢が決まっているわけではありません。ただし、自治体が行う骨粗鬆症検診では40歳から70歳までの特定年齢の女性が対象です。
一方、骨折歴や服用している薬などによっては、対象年齢になる前や男性でも検査が必要になる場合があります。年齢だけで判断しないことが重要です。
自治体の骨粗鬆症検診は40歳から5歳刻みで実施される
健康増進法に基づく市町村の骨粗鬆症検診は、40歳、45歳、50歳、55歳、60歳、65歳、70歳の女性が対象です。つまり、自治体の制度を基準に考えると、最初の検診機会は40歳となります。
| 対象 | 骨粗鬆症検診の対象年齢 |
|---|---|
| 女性 | 40歳・45歳・50歳・55歳・60歳・65歳・70歳 |
検診では問診と骨量測定が行われ、結果は「異常なし」「要指導」「要精検」などに区分されます。ただし、実際の実施方法や予約方法、費用などは自治体によって異なります。
対象年齢になった女性は、住んでいる自治体のWebサイトや検診案内で骨粗鬆症検診の有無を確認するとよいでしょう。勤務先の定期健康診断とは別に申し込みが必要な場合があります。
骨折歴や低体重などのリスクがある人は年齢だけで判断しない
自治体検診の開始年齢が40歳だからといって、40歳になるまで骨の状態を調べる必要がないという意味ではありません。骨粗鬆症や骨折のリスクは、年齢以外の要因によっても変わります。
厚生労働省の資料では、女性、高齢、低体重、閉経などが骨粗鬆症の主な危険因子として挙げられています。また、過去の骨折、骨折の家族歴、喫煙、飲酒、ステロイド薬の使用、関節リウマチなども骨折リスクの評価に使われます。
- 軽い転倒などで骨折した経験がある
- 体重やBMIが低い
- 閉経している
- 両親に大腿骨近位部骨折の経験がある
- ステロイド薬を継続して使用している
- 関節リウマチなど骨に影響する病気がある
該当する項目がある場合は、自治体検診の対象年齢だけを基準にせず、医療機関へ検査の必要性を相談してください。特に軽い力で骨折した経験がある場合は、骨密度だけでなく骨折歴を含めた評価が必要です。
男性も骨粗鬆症になるため必要に応じて検査を受ける
自治体の骨粗鬆症検診は40〜70歳の女性が対象ですが、骨粗鬆症が女性だけに起こるわけではありません。厚生労働省が示す原発性骨粗鬆症の診断基準は、男性にも女性と同じ基準が用いられています。
そのため、男性でも骨折歴や低体重、ステロイド薬の使用などのリスクがある場合は、骨密度検査について医療機関へ相談できます。自治体検診の対象外だからといって、検査そのものを受けられないわけではありません。
また、労働安全衛生規則第44条で定められている一般的な定期健康診断の検査項目には、骨密度測定は含まれていません。会社で毎年健康診断を受けていても、骨密度を一度も測定したことがない方は珍しくありません。
骨の状態が気になる場合は、勤務先の健康診断結果だけで判断せず、自治体の検診制度や医療機関で受けられる骨密度検査を確認してください。
骨密度検査の数値はYAMと骨折歴を組み合わせて確認する
骨密度検査の結果では、YAMという数値が使われることがあります。YAMの割合は重要な判断材料ですが、骨粗鬆症の診断は数値だけで決まりません。
「70%」「80%」などの数字だけを見て不安になる前に、それぞれが何を意味するのか、骨折歴によって判断がどう変わるのかを確認しましょう。
YAMは若年成人の平均骨密度を100%として比較する数値
YAMは「Young Adult Mean」の略で、日本語では若年成人平均値と呼ばれます。若い成人の平均的な骨密度を100%として、自分の骨密度がどの程度にあたるのかを割合で示す指標です。
例えばYAMが85%であれば、測定した骨密度が若年成人平均値の85%に相当することを意味します。数字が大きいほど骨密度が高く、小さいほど若年成人の平均から離れていると考えます。
ただし、YAMの基準となる年齢範囲は測定部位によって扱いが異なる場合があります。また、骨折歴や骨密度低下の原因となる病気がある場合は、YAMだけでは十分に判断できません。
検査結果にYAMが記載されている場合は、割合だけを見るのではなく、「異常なし」「要指導」「要精検」などの判定や、測定した部位も合わせて確認してください。
YAM70%以下は骨粗鬆症の診断基準の一つになる
脆弱性骨折(立った高さからの転倒程度、またはそれより小さな力で起こる骨折)がない場合、骨密度がYAM70%以下であることは原発性骨粗鬆症の診断基準の一つです。
| YAMの目安 | 考え方 |
|---|---|
| 80%以上 | 骨密度だけを見ると比較的保たれている範囲です。ただし、大腿骨近位部や椎体の脆弱性骨折がある場合は骨密度に関係なく骨粗鬆症と診断されることがあります。 |
| 70%超80%未満 | 骨量が低下している範囲です。大腿骨近位部・椎体以外の脆弱性骨折がある場合は、YAM80%未満が骨粗鬆症の診断基準に含まれます。 |
| 70%以下 | 脆弱性骨折がない場合でも、原発性骨粗鬆症の診断基準の一つに該当します。 |
重要なのは、70%や80%という数字を単独で区切って判断しないことです。例えば、大腿骨近位部または椎体に脆弱性骨折がある場合は、骨密度にかかわらず骨粗鬆症の診断基準を満たします。
検査結果の数値が気になる場合は、自分で「正常」「骨粗鬆症」と決めるのではなく、骨折歴を含めて医師に確認してください。
YAMとTスコアは骨密度を異なる方法で表した数値
骨密度検査の結果票には、「YAM 75%」のような割合が表示される場合と、「Tスコア -1.8」のような数値が表示される場合があります。
どちらも若い成人の平均的な骨密度と比べて、自分の骨密度がどの程度なのかを表す指標ですが、表し方が異なります。
簡単にいうと、YAMは「平均の何%あるか」、Tスコアは「平均からどれくらい離れているか」を示す数値です。
| 項目 | YAM | Tスコア |
|---|---|---|
| 何を表す? | 若年成人の平均骨密度を100%として、自分が何%にあたるかを示す | 若年成人の平均骨密度から、自分の骨密度がどの程度離れているかを示す |
| 表示例 | YAM 80% YAM 70% |
Tスコア -1.0 Tスコア -2.5 |
| 数値の見方 | 100%より低くなるほど、若年成人の平均より骨密度が低い | 0からマイナス方向へ大きくなるほど、若年成人の平均より骨密度が低い |
| 単位・表記 | % | SD(標準偏差)をもとにした数値 |
たとえばYAMが80%なら、「若い成人の平均的な骨密度を100%としたとき、自分は80%程度」という意味です。
一方、Tスコアの「-2.5」は、若い成人の平均よりも骨密度が2.5SD(標準偏差というデータのばらつきを表す値)低いことを意味します。YAMとTスコアでは数字の意味が違うため、「70」と「-2.5」を直接比較することはできません。
| 結果の表記 | 脆弱性骨折がない場合の診断基準 |
|---|---|
| YAMで表示 | YAM 70%以下 |
| SDを用いて表示 | -2.5SD以下 |
原発性骨粗鬆症の診断基準では、脆弱性骨折(立った高さからの転倒など、比較的小さな力で起こる骨折)がない場合、骨密度がYAM70%以下または-2.5SD以下であることが診断条件として示されています。
ただし、YAM70%とTスコア-2.5を自分で換算して判定する必要はありません。測定部位や検査方法なども確認したうえで、結果票に記載された判定や医療機関からの説明を確認しましょう。
「要精密検査」「要受診」などの記載がある場合や、軽い転倒などで骨折した経験がある場合は、数値だけで受診の要否を決めず、検査を受けた施設の案内に従ってください。
骨粗鬆症検査と骨密度検査の違いは診断に使う情報の範囲
骨粗鬆症検査と骨密度検査は同じ意味で使われることがありますが、厳密には役割が異なります。骨密度検査は、骨粗鬆症を調べるために行う検査の一つです。
骨粗鬆症の診断では、骨密度だけではなく、骨折歴やX線検査、血液・尿検査なども含めて評価します。
骨密度検査は骨粗鬆症を評価する材料の一つ
骨密度検査で直接調べるのは、骨に含まれるミネラル量です。一方、骨粗鬆症の検査や診断では「なぜ骨が弱くなっているのか」「すでに骨折が起きていないか」まで確認する必要があります。
| 比較項目 | 骨密度検査 | 骨粗鬆症の検査・診断 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 骨密度を測定する | 骨粗鬆症の有無や原因を総合的に評価する |
| 確認する内容 | 骨に含まれるミネラル量 | 骨密度・骨折歴・身体状態・他の病気など |
| 主な検査 | DXA法・超音波法など | 問診・身体診察・骨密度測定・脊椎X線・血液検査・尿検査など |
| 結果の考え方 | YAMなどで骨密度を評価する | 複数の情報をもとに医師が診断する |
「骨密度を測った=骨粗鬆症の診断が完了した」とは限りません。検診で骨密度の低下を指摘された場合は、必要に応じて医療機関で追加の検査を受けます。
骨粗鬆症の診断では骨折歴やX線検査なども確認する
原発性骨粗鬆症を診断する際は、まず骨密度が低下する別の病気や、薬などが原因となる続発性骨粗鬆症を除外します。そのうえで、骨密度や脆弱性骨折の有無を確認します。
厚生労働省の資料では、問診、身体診察、血液・尿検査、骨密度測定、脊椎X線検査などを使って評価するとされています。骨密度の数値だけでは、骨が弱くなった原因までは判断できないためです。
例えば、ステロイド薬の使用や内分泌疾患、慢性腎臓病、関節リウマチなどが骨密度低下に関係している場合があります。こうしたケースでは、骨粗鬆症だけを見るのではなく、原因となっている病気や薬の影響も含めた判断が必要です。
そのため、検診で低い数値が出ても「年齢のせい」と決めつけないことが重要です。反対に、数値だけが基準を上回っていても、骨折歴がある場合には詳しい評価が必要になることがあります。
検診で要精検になったら医療機関で詳しい評価を受ける
自治体の骨粗鬆症検診では、結果に応じて「異常なし」「要指導」「要精検」などに区分されます。「要精検」と判定された場合は、骨粗鬆症が確定したという意味ではなく、医療機関で詳しく調べる必要がある状態です。
要精検の場合は、検査結果を持参して医療機関を受診し、骨密度や骨折歴などを改めて評価してもらいましょう。受診先を探す際は、骨粗鬆症の診療やDXAによる骨密度測定に対応しているか確認すると検査内容を把握できます。
また、過去に立った高さからの転倒程度で骨折したことがある場合や、背中や腰の痛み、身長の低下などが気になる場合は、自治体検診の対象年齢を待たず医療機関へ相談してください。
骨粗鬆症は骨密度検査の結果だけで自己診断する病気ではありません。検診は骨量低下に気づくきっかけとして利用し、異常を指摘された後は詳しい評価につなげることが大切です。
骨密度検査は年齢とリスクを基準に受け数値だけで自己判断しない
骨密度検査は、骨に含まれるミネラル量を測り、骨の状態を確認する検査です。自治体の骨粗鬆症検診では、40歳・45歳・50歳・55歳・60歳・65歳・70歳の女性が対象になっています。
- 自治体の骨粗鬆症検診は40歳から70歳までの節目年齢の女性が対象
- 骨折歴や低体重、ステロイド薬の使用などがある場合は年齢だけで判断しない
- YAM70%以下は骨粗鬆症の診断基準の一つ
- 大腿骨近位部や椎体の脆弱性骨折があれば骨密度に関係なく診断基準を満たす場合がある
- 骨密度検査は骨粗鬆症を診断するための検査の一つであり数値だけで診断しない
対象年齢になった女性は、まず住んでいる自治体で骨粗鬆症検診が実施されているか確認してみましょう。男性や対象年齢外の方でも、骨折歴などのリスクがある場合は医療機関へ相談できます。
検査後はYAMの数字だけで正常・異常を決めず、判定結果や骨折歴も含めて確認してください。「要精検」とされた場合や軽い力で骨折した経験がある場合は、医療機関で詳しい評価を受けることが大切です。