毎年同じ時期にくしゃみや鼻水、鼻づまりが出ても、本当に花粉が原因なのか、どの花粉に反応しているのか自分では判断しにくいものです。原因を思い込みだけで決めると、自分に必要な対策が分からないまま症状を繰り返すことがあります。
花粉症の検査では、症状が出る時期を確認したうえで、血液検査や鼻汁検査、皮膚テストなどを組み合わせて原因を調べます。それぞれの検査で何が分かるのかを理解しておけば、受診時に必要な検査を医師と相談しやすくなります。
花粉症検査では症状とアレルギー反応の両方を確認する
花粉症は、検査結果だけを見るのではなく、症状が現れる時期とアレルギー検査の結果が一致しているかを確認して診断します。まずは花粉症の検査が何を調べるものなのか整理しましょう。
花粉症は花粉によって起こる季節性のアレルギー性鼻炎
花粉症は、スギやヒノキなどの花粉をアレルゲン(アレルギー反応を引き起こす原因物質)として起こる季節性のアレルギー性鼻炎です。花粉が鼻の粘膜に入ると免疫反応が起こり、くしゃみ、水のような鼻水、鼻づまりなどが現れます。
ただし、似た症状があるからといって必ず花粉症とは限りません。かぜによる鼻炎や副鼻腔炎などでも鼻水や鼻づまりが起こるため、「春に鼻水が出るからスギ花粉症」と症状だけで決めないことが大切です。
医療機関では、症状が始まった時期や毎年症状が出る季節、鼻水・くしゃみ・鼻づまりの程度などを確認します。そのうえで鼻の状態や血液中の抗体などを調べ、症状の原因として花粉が関係しているかを確認していきます。
毎年ほぼ同じ時期に症状が繰り返される場合は、症状が出始める月や天候による変化、市販薬を使用した場合の変化などを記録しておくと、受診時に状況を伝えやすくなります。
問診と鼻の診察から原因となりそうなアレルゲンを絞り込む
花粉症の検査では、採血だけを行って終わるとは限りません。診察ではまず問診を行い、いつから症状があるのか、どの季節に悪化するのか、どのような症状が強いのかを確認します。
鼻症状が中心の場合は、鼻の粘膜の腫れや鼻水の状態なども診察します。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会では、アレルギー性鼻炎について、鼻の粘膜を観察し、鼻水の中の好酸球や、皮膚反応・血液中の抗体などから原因を調べる方法を紹介しています。
どの花粉を検査するかは、症状が出る時期や生活環境と照らして考えることが重要です。例えば、症状が出る季節と関係のないアレルゲンまで無条件に多数調べても、検査結果を症状の原因と結びつけにくくなる場合があります。
受診前には「何月ごろから症状が出るか」「鼻・目・皮膚のどこに症状があるか」「一年中症状があるか」などを整理しておきましょう。検査する項目を医師と相談するときにも役立ちます。
検査が陽性でも症状がなければ花粉症とは限らない
花粉症検査で特に注意したいのが、血液検査が陽性だからといって、それだけでその花粉が現在の症状の原因とは決められないことです。
血液中に特定のアレルゲンに対するIgE抗体(アレルギー反応に関係する抗体)が存在していても、実際には症状が出ていない場合があります。日本アレルギー学会が運営するアレルギーポータルでも、特異的IgE抗体は症状がない人から検出される場合があるため、検査結果だけでアレルギーがあるとは必ずしもいえないと説明しています。
そのため、検査結果は「陽性か陰性か」だけではなく、その花粉が飛散する時期と症状が出る時期が一致しているかまで確認する必要があります。
複数の項目が陽性になった場合も、すべてが現在の症状に関係しているとは限りません。検査結果を自己判断せず、症状の経過と合わせて医師から説明を受けましょう。
花粉症検査の内容には血液検査や鼻汁検査などがある
花粉症の検査には複数の方法があり、それぞれ調べているものが異なります。原因となる花粉を調べる検査と、鼻でアレルギー反応が起きていることを確認する検査を分けて考えると理解しやすくなります。
| 検査 | 主に確認する内容 | 特徴 |
|---|---|---|
| 特異的IgE抗体検査 | 特定のアレルゲンに対するIgE抗体 | 採血によって複数の花粉などを調べられる |
| 鼻汁細胞検査 | 鼻水に含まれる好酸球 | 鼻でアレルギー反応が起きているかを確認する |
| 皮膚プリックテスト | アレルゲンに対する皮膚の反応 | 皮膚に少量のアレルゲンを用いて反応を調べる |
| 鼻誘発テスト | 特定のアレルゲンを鼻粘膜に接触させた際の反応 | 原因候補と実際の鼻症状との関係を調べる |
血液検査では花粉に対する特異的IgE抗体を調べる
花粉症の血液検査で代表的なのが、特異的IgE抗体検査です。IgE抗体とは、特定の物質に対して起こる即時型のアレルギー反応に関係する抗体で、血液中にどの程度存在するかを調べます。
検査では、スギなど調べたいアレルゲンごとに特異的IgE抗体を測定できます。日本アレルギー学会のアレルギーポータルによると、特異的IgE抗体を測定できるアレルゲンは200種類以上あり、一つずつ調べる方法のほか、決められた複数項目をまとめて測定する方法もあります。
採血で検査できるため、鼻の症状だけでなく、複数のアレルギーが疑われる場合にも使われています。ただし、測定できる項目をすべて調べればよいわけではありません。
症状が現れる季節や普段の生活環境から原因候補を考え、医師と相談して調べる項目を決めましょう。特に「春だけ症状が出る」「一年中症状がある」などの違いは、検査項目を考えるうえで重要な情報です。
鼻汁細胞検査では鼻水に含まれる好酸球を確認する
鼻汁細胞検査は、鼻水を採取し、好酸球(アレルギー反応に関わる白血球の一種)が含まれているかを確認する検査です。鼻水の中に好酸球が増えている場合、鼻でアレルギー反応が起きている可能性を考えます。
鼻汁細胞検査は「どの花粉が原因か」を直接特定する検査ではありません。そのため、特定の花粉への反応を確認したい場合は、血液による特異的IgE抗体検査などを組み合わせて評価します。
一方で、鼻水や鼻づまりがアレルギー性鼻炎によるものなのかを調べる際には役立ちます。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会でも、鼻水の中に好酸球が認められることをアレルギー性鼻炎の診断に利用すると説明しています。
鼻症状が強い場合は、血液検査の数値だけを見るのではなく、鼻の粘膜の状態や鼻汁検査の結果まで含めて診察を受けることで、現在起きている症状をより具体的に確認できます。
皮膚プリックテストでは皮膚に現れるアレルギー反応を調べる
皮膚プリックテストは、アレルゲンを含む液体を皮膚に少量置き、専用の針を用いて皮膚に刺激を加え、その部分に膨らみや赤みが生じるかを確認する検査です。
日本アレルギー学会のアレルギーポータルでは、アレルギーがある場合には膨疹(皮膚が盛り上がった状態)が生じ、一般的に15〜20分程度で反応を判定できると説明しています。
血液中のIgE抗体そのものを測定する検査ではなく、実際に皮膚がアレルゲンに反応するかを見る点が血液検査との違いです。ただし、使用している薬や皮膚の状態などによって検査方法を調整する必要がある場合があります。
すべての医療機関で実施しているわけではないため、皮膚テストを希望する場合は、受診予定の医療機関で対応しているか事前に確認してください。
鼻誘発テストでは原因候補のアレルゲンと鼻症状の関係を調べる
鼻誘発テストは、原因として疑われるアレルゲンを鼻の粘膜に接触させ、くしゃみや鼻水、鼻づまりなどの反応が現れるかを確認する検査です。
血液中に抗体があるかではなく、特定のアレルゲンに対して鼻が実際に反応するかを調べる点が特徴です。血液検査や問診だけでは原因との関係を判断しにくい場合などに、医師が必要性を判断して行います。
一方、鼻にアレルゲンを接触させて症状を確認する検査であるため、自宅で原因を確かめようとして花粉や疑わしい物質を意図的に吸い込むことは避けてください。
検査の必要性や実施できる施設は患者ごとに異なります。一般的な花粉症検査では血液検査などから確認することも多いため、鼻誘発テストが必要かどうかは診察時に医師へ確認しましょう。
花粉症の血液検査では抗体の有無と反応の程度を確認する
花粉症の血液検査では、主に特定の花粉に対する特異的IgE抗体を測定します。ただし、数値やクラスの高さを症状の強さとそのまま置き換えないことが重要です。
特異的IgE抗体はアレルゲンごとに結果が表示される
特異的IgE抗体検査では、スギなど対象としたアレルゲンごとに測定結果が表示されます。結果には測定値とともに「クラス」と呼ばれる段階が表示されることがあります。
アレルギーポータルでは、特異的IgE抗体のクラスについて、0〜6の7段階で表し、クラス0を陰性、クラス1を偽陽性、クラス2〜6を陽性と説明しています。
| クラス | アレルギーポータルで示されている判定 |
|---|---|
| 0 | 陰性 |
| 1 | 偽陽性 |
| 2〜6 | 陽性 |
ただし、この分類は抗体が検出されている程度を表すものであり、「クラスが高ければ必ず症状が強い」と判断するための数字ではありません。
結果用紙を受け取ったら数字だけを見るのではなく、症状が出る季節や症状の種類と合わせて医師から説明を受けてください。
総IgEと特異的IgEでは調べている内容が異なる
アレルギーの血液検査では、「IgE」という言葉が複数出てくることがあります。そのなかでも総IgEと特異的IgEは調べる内容が異なります。
総IgEは血液中に存在するIgE抗体の総量を測る検査です。一方、特異的IgEは「スギに対するIgE」のように、特定のアレルゲンに反応する抗体を調べます。
花粉症で原因となる花粉を確認する場合は、特定のアレルゲンとの関係を確認できる特異的IgE抗体検査が重要になります。ただし、総IgEや特異的IgEの数値だけで症状の原因を完全に判断できるわけではありません。
検査結果に総IgEと複数の特異的IgEが記載されていて分かりにくい場合は、「自分の症状と関連が考えられる項目はどれか」を医師に確認すると整理しやすくなります。
複数項目が陽性でもすべてが症状の原因とは限らない
複数のアレルゲンを調べる血液検査では、スギなど複数の項目で陽性になることがあります。しかし、陽性項目の数と、実際に症状を起こしている原因の数は必ずしも一致しません。
特異的IgE抗体は、実際には症状を起こしていないアレルゲンに対しても検出されることがあります。そのため「陽性だったものをすべて避けなければならない」と自己判断する必要はありません。
例えば、検査で複数の花粉に対する抗体が確認された場合でも、それぞれの花粉が飛散する季節と自分の症状が悪化する時期を照らし合わせる必要があります。一年中鼻症状が続いている場合には、花粉以外のアレルゲンが関係していないかも診察で確認します。
検査結果は「原因を確定する答え」ではなく、問診や症状と組み合わせて原因を確認するための情報として扱いましょう。
花粉症検査を受ける前に症状の時期と受診先を整理する
検査を希望するときは、まず症状が出る部位と時期を整理しましょう。花粉症では鼻症状が中心なら耳鼻咽喉科など、症状が現れている部位に合わせて診療科を選ぶ方法があります。
毎年同じ時期に鼻や目の症状が出る場合は受診を考える
毎年ほぼ同じ季節になると、くしゃみ、水のような鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどが繰り返される場合は、花粉症を含むアレルギー疾患が関係している可能性があります。
特に「市販薬を使っているものの原因を調べたことがない」「春だけでなく別の季節にも症状がある」「何の花粉に反応しているのか知りたい」といった場合は、医療機関で相談すると現在の症状と原因候補を整理できます。
受診前には症状が出た月や症状の強さをメモしておきましょう。可能であれば、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目の症状などを分けて記録すると、医師が症状のパターンを確認しやすくなります。
症状が季節を問わず続く場合や、粘りのある鼻水、顔の痛み、強い嗅覚低下など花粉症だけでは説明しにくい症状がある場合も、自己判断で花粉症と決めず診察を受けてください。
鼻症状が中心なら耳鼻咽喉科など症状に合わせて受診する
花粉症によるくしゃみ、鼻水、鼻づまりが中心の場合は、耳鼻咽喉科で相談できます。耳鼻咽喉科では鼻の中を直接診察できるため、アレルギー性鼻炎だけでなく、副鼻腔炎など別の鼻の病気がないかも確認できます。
日本アレルギー学会のアレルギーポータルでは、症状が現れている部位に応じて耳鼻咽喉科、眼科、皮膚科などを受診するよう案内しています。また、成長段階にある子どもでは小児科も受診先として挙げられています。
アレルギー科を標榜する医療機関では、アレルゲンの特定などを含めて相談できます。ただし、実施できる検査は医療機関ごとに異なります。
特定の血液検査や皮膚プリックテストなどを希望している場合は、予約前に対応している検査を医療機関の公式サイトや電話などで確認してください。
検査名を指定するより知りたいことを医師へ伝える
花粉症検査を受ける際は、「血液検査をしてください」と検査方法だけを指定するより、何を確認したいのかを医師へ伝えることが大切です。
例えば「毎年3月ごろに鼻水が出るので原因を知りたい」「一年中鼻づまりがあり、花粉だけが原因なのか確認したい」「複数のアレルギーがあるか調べたい」など、症状と目的を具体的に伝えると必要な診察や検査を相談できます。
血液検査は原因候補となるアレルゲンを調べるのに役立ちますが、鼻汁検査や鼻の診察など別の情報が必要な場合もあります。逆に、すべての検査を一度に受ける必要があるわけでもありません。
検査の種類を自分だけで決めるのではなく、「何を確かめるための検査なのか」を確認しながら受けると、結果を受け取った後も内容を理解しやすくなります。
花粉症検査は陽性かどうかだけでなく症状との一致まで確認する
花粉症の検査には、特異的IgE抗体を調べる血液検査、鼻水の好酸球を確認する鼻汁細胞検査、皮膚プリックテスト、鼻誘発テストなどがあります。それぞれ調べている内容が異なるため、必要な検査は症状や目的によって変わります。
- 花粉症は問診や症状と検査結果を組み合わせて診断する
- 血液検査では花粉などに対する特異的IgE抗体を調べられる
- 特異的IgEが陽性でも実際には症状がない場合がある
- 検査結果と症状が出る季節が一致しているか確認する
- 鼻症状が中心なら耳鼻咽喉科など症状に合わせて相談する
最も重要なのは、検査結果の数字だけではなく、実際の症状と結びつけて確認することです。毎年決まった時期に症状が出る場合や原因となる花粉を知りたい場合は、症状が出る季節や内容を整理したうえで医療機関へ相談しましょう。