健康診断で肝機能の異常や脂肪肝を指摘され、「肝臓がどの程度悪くなっているのか」「肝硬度測定とは何を調べる検査なのか」と気になっている方もいるでしょう。
肝臓は病気があっても自覚症状が現れにくく、血液検査だけでは肝臓に線維化(傷ついた肝臓が修復される過程で線維組織が増えること)がどの程度生じているか分かりにくい場合があります。
肝硬度測定では、フィブロスキャンなどを使って肝臓の硬さを体の外から測定します。検査の仕組みや分かることに加え、血液検査や腹部エコー、肝生検との違いまで順番に整理します。
検査結果を単独で正常・異常と決めるのではなく、ほかの検査結果とどう組み合わせて確認するのか理解しておけば、健診後の受診や精密検査について整理しやすくなります。
肝硬度測定とは肝臓の線維化を体の外から評価する検査
肝硬度測定とは、肝臓へ振動や超音波などを伝え、その波が肝臓内を伝わる性質から肝臓の硬さを数値化する検査です。主に、慢性的な肝臓病によって線維化がどの程度進んでいるかを評価するために使われます。
肝臓の線維化が進むと硬くなる性質を利用する
肝臓では、肝炎ウイルス、脂肪肝、飲酒などさまざまな原因によって肝細胞への炎症や障害が続くと、その修復過程で線維組織が増えることがあります。この変化を肝線維化といいます。
線維化が進行すると、柔らかかった肝臓は徐々に硬くなっていきます。さらに線維化が広がり、肝臓本来の構造が大きく変化した状態が肝硬変です。そのため、肝臓の硬さを測ることで線維化の程度を推定できます。
ただし、肝硬度は「肝臓が硬いかどうか」を直接触って確認しているわけではありません。肝臓内を伝わる波の速度などを測り、そのデータから硬さを数値として表しています。
肝硬度が高いほど線維化が進んでいる可能性がありますが、肝炎による強い炎症や胆汁うっ滞、うっ血などでも数値が上昇する場合があります。結果は病歴や血液検査、画像検査などと合わせて医師が評価します。
フィブロスキャンは肝硬度測定に使われる装置の一つ
フィブロスキャンは、肝硬度を測定するために使われる代表的な装置の一つです。検査方法はTransient Elastography(トランジェントエラストグラフィ)と呼ばれ、弱い振動と超音波を利用します。
検査では右側の肋骨の間から肝臓へ弱い振動を送り、その振動によって発生した波が肝臓内を進む速さを超音波で計測します。一般に硬い組織ほど波が速く伝わる性質があるため、その違いから肝臓の硬さを算出します。
肝炎情報センターでは、フィブロスキャンによる測定は横になって右腕を上げ、脇腹へプローブ(超音波を送受信する器具)を当てて行うと説明しています。針を肝臓へ刺す検査ではなく、放射線による被ばくもありません。
なお、「肝硬度測定」と「フィブロスキャン」は完全な同義語ではありません。肝硬度を評価する方法には、フィブロスキャンのほか、超音波診断装置を利用したエラストグラフィやMRIを利用するMRエラストグラフィなどもあります。
フィブロスキャンでは肝臓の脂肪量も数値化できる
フィブロスキャンでは、肝硬度とあわせてCAP(Controlled Attenuation Parameter)と呼ばれる値を測定できる機種があります。CAPは、超音波が肝臓内でどの程度弱くなるかを利用して、肝臓への脂肪の蓄積程度を評価する指標です。
肝硬度は主に肝線維化、CAPは主に肝臓への脂肪蓄積を見るという違いがあります。同じ検査で「硬さ」と「脂肪量」という異なる情報を得られる点がフィブロスキャンの特徴です。
現在は、肥満や糖尿病などの代謝異常と関連する「代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)」が慢性肝疾患の重要な原因の一つとなっています。脂肪肝がある方では、脂肪の量だけでなく線維化が進んでいないかも確認することが重要です。
一方、CAPが高いだけでMASLDなどの病名を確定するわけではありません。飲酒状況、体格、糖尿病や脂質異常症の有無、血液検査、腹部超音波などを合わせて評価します。
肝硬度測定で分かるのは主に肝線維化と脂肪蓄積の程度
肝硬度測定は肝臓の状態を数値で確認できる検査ですが、すべての肝臓病を見つけられる検査ではありません。何が分かり、何を別の検査で確認する必要があるのか分けて理解しておきましょう。
肝臓の線維化が進んでいる可能性を評価できる
肝硬度測定で最も重要なのは、肝臓の線維化の程度を非侵襲的(体を傷つける処置を伴わないこと)に評価できる点です。慢性的な肝障害が続いている場合、現在どの程度線維化が進んでいるかを確認する目的で使用されます。
対象となる原因は一つではありません。B型・C型肝炎などのウイルス性肝疾患、アルコール関連肝疾患、MASLD、自己免疫性肝疾患など、さまざまな慢性肝疾患で線維化の評価が必要になる場合があります。
日本肝臓学会も、慢性肝疾患では肝線維化の程度を体への負担が少ない方法で評価することが重要としています。血液検査から算出するFIB-4 indexなどと肝硬度測定を組み合わせることもあります。
一度の測定だけではなく、治療や生活習慣の改善を行っている方では、過去の測定結果と比較して経過を確認する目的で行われる場合もあります。測定する時期や頻度は肝疾患の種類や状態によって異なります。
CAP値から肝臓への脂肪蓄積を評価できる
フィブロスキャンでCAPを測定した場合は、肝臓への脂肪蓄積についても数値で評価できます。CAPは「dB/m」という単位で表示され、一般には数値が高くなるほど肝臓内の脂肪が多い可能性を示します。
腹部超音波でも脂肪肝を確認できますが、フィブロスキャンでは脂肪量を数値として記録できるため、同じ条件で繰り返し測定した際に過去の結果と比較できます。
ただし、CAPの数値だけを見て脂肪肝の程度や治療の必要性を自己判断するのは避けましょう。使用する機器や測定条件、体格などによっても解釈が変わるためです。
健康診断で脂肪肝を指摘されている場合は、CAPだけでなくALTやAST、血糖、HbA1c、脂質、体重なども一緒に確認します。脂肪の蓄積と肝臓への炎症・線維化は別の要素として考える必要があります。
肝臓がんや肝疾患の原因を単独で確定する検査ではない
肝硬度測定で線維化が疑われても、「肝硬度が高いから肝硬変である」と数値だけで病名を確定することはできません。また、フィブロスキャン自体は肝臓がんを画像として探す検査でもありません。
肝臓に腫瘍がないかを見る場合は腹部超音波やCT、MRIなどが用いられます。B型肝炎やC型肝炎の有無を確認するには、肝炎ウイルスに関する血液検査が必要です。
また、肝硬度が高くなる原因は線維化だけではありません。肝臓の炎症、胆汁うっ滞、うっ血などの影響でも測定値が高くなる可能性があります。
そのため、結果票の数字だけをインターネット上の基準値と比較して病名を決めるのではなく、血液検査や画像検査、これまでの病歴を含めて説明を受けましょう。
フィブロスキャン検査は右脇腹へプローブを当てて数分間測定する
フィブロスキャン検査では、大がかりな処置や入院を必要とせず、ベッドに横になった状態で測定します。ただし、食事などの事前準備については施設ごとの案内を確認してください。
検査前は食事や服薬について施設からの案内を確認する
フィブロスキャンを受ける際は、医療機関から食事制限を案内される場合があります。食後は肝臓への血流などが変化し、肝硬度の測定値へ影響する可能性があるためです。
「フィブロスキャンだからいつでも食べてよい」と自己判断せず、予約票や医療機関から示された食事・飲水の指示を確認しましょう。腹部超音波や採血などを同じ日に行う場合は、そちらの検査を理由に絶食が必要になることもあります。
服薬中の方も、検査のために自己判断で薬を中止しないでください。服用時間を変更する必要があるか分からない場合は、予約した医療機関や主治医へ確認します。
また、体格や腹水の有無などによって測定が難しくなる場合があります。検査を受けられる条件や使用するプローブは機器・施設によって異なるため、心配なことがある場合は予約時に伝えておきましょう。
仰向けで右腕を上げて右脇腹から肝臓を測定する
検査ではベッドに仰向けになり、右腕を頭の上へ上げるなどして右側の肋骨の間を広げます。検査担当者が肝臓の位置を確認し、右脇腹付近へプローブを当てます。
プローブから肝臓へ弱い振動が伝わると、その振動によって発生した波が肝臓内を進みます。装置は超音波を使って波の伝わる速度を測定し、肝硬度を算出します。
測定時には、脇腹を軽くトントンと押されるような振動を感じることがあります。採血のように針を刺したり、造影剤を注射したりする検査ではありません。
適切な測定データを得るために複数回測定します。息を止めるよう指示される場合などもあるため、検査担当者の案内に合わせて姿勢や呼吸を調整してください。
測定自体は2〜5分程度とされ痛みや放射線被ばくはない
肝炎情報センターでは、フィブロスキャンの計測時間について2〜5分程度と案内しています。医療機関によっては準備を含め5〜10分程度など、より長い時間を案内している場合もあります。
検査では超音波と弱い振動を使用するため、X線やCTのような放射線被ばくはありません。また、肝臓へ針を刺して組織を採取する肝生検と比べ、身体への負担を抑えて検査できます。
短時間で繰り返し測定できるため、慢性肝疾患の経過を確認する目的でも使用されています。ただし、毎年受けるべきか、数か月ごとに受けるべきかといった頻度は一律ではありません。
検査頻度は肝疾患の種類、線維化の程度、治療状況などによって変わります。過去に異常を指摘されている方は、主治医から示された時期に再検査を受けましょう。
肝硬度の結果はkPaとCAPをほかの検査結果と合わせて確認する
フィブロスキャンの結果では、肝硬度を示すkPaや脂肪量を評価するCAPなどの数値が表示されます。ただし、インターネットで見つけた一つの基準値だけを当てはめて正常・異常を判断することはできません。
肝硬度はkPaで表示され数値が高いほど硬い傾向がある
フィブロスキャンによる肝硬度は、一般に「kPa(キロパスカル)」という単位で表示されます。測定値が高くなるほど肝臓が硬く、肝線維化が進んでいる可能性が高くなります。
ただし、すべての人に共通する一つの正常値があるわけではありません。原因となっている肝疾患や検査条件によって、どの数値から線維化を疑うかという目安が変わるためです。
例えば、ウイルス性肝炎と脂肪性肝疾患では同じ数値を同じ意味で扱えるとは限りません。機器やプローブの種類、測定時の状態なども含めて結果を解釈します。
結果票にkPaが記載されている場合は、数値だけを見るのではなく、「線維化の疑い」「要精密検査」「経過観察」など施設による判定や医師の説明を確認しましょう。
CAPはdB/mで表示され脂肪の蓄積程度を評価する
CAPを測定した場合、結果は一般に「dB/m」という単位で表示されます。CAPが高いほど、肝臓へ脂肪が多く蓄積している可能性があります。
肝臓の脂肪量と硬さは同じものではありません。CAPが脂肪の蓄積を、kPaが主に肝臓の硬さを評価する指標と考えると整理しやすいでしょう。
そのため、「脂肪量は多いものの線維化はそれほど進んでいない」「脂肪量だけでなく肝硬度も高い」など、両方の数値を組み合わせて状態を確認する場合があります。
ただし、CAPについても一つの数値だけから病名を確定することはできません。腹部超音波や血液検査、体格、飲酒歴、糖尿病などの状態も含めて医師が評価します。
肝炎や胆汁うっ滞などでも肝硬度が上昇することがある
肝硬度が高く表示された場合に注意したいのが、「高い数値=すべて線維化によるもの」とは限らない点です。肝臓に強い炎症が起きている場合などは、線維化とは別の影響で肝硬度が高くなることがあります。
自己免疫性肝炎の診療ガイドラインでも、機器を使った肝硬度検査は肝細胞の障害、胆汁うっ滞、炎症、うっ血などの影響を受けることが示されています。
また、測定条件や体格などによって十分なデータを取得できない場合もあります。このような場合は再測定を行ったり、別の方法で肝線維化を評価したりすることがあります。
前回よりkPaが高くなった場合も、それだけで「肝臓病が進行した」と決めつけず、同時期のAST・ALTなどの血液検査や体調、ほかの検査結果と合わせて説明を受けてください。
肝硬度測定と血液検査や腹部エコーや肝生検では確認できる内容が異なる
肝臓の状態を調べる検査には、血液検査、腹部超音波、肝硬度測定、肝生検などがあります。それぞれ確認できる内容が異なるため、どれか一つだけで肝臓の状態をすべて把握するわけではありません。
肝硬度測定は主に肝線維化の程度を評価する検査です。血液検査や画像検査と組み合わせることで、肝臓が傷んでいるか、脂肪が蓄積しているか、線維化が進んでいるかなどを多面的に確認します。
血液検査は肝細胞の障害や肝機能の状態を確認する
血液検査では、ASTやALT、γ-GTP、ALP、ビリルビン、アルブミンなどの数値から、肝細胞への障害や胆汁の流れ、肝臓がたんぱく質を作る働きなどを確認します。健康診断で肝機能異常を指摘される場合も、こうした項目の数値が基準範囲から外れているケースがあります。
例えば、ASTやALTは肝細胞が傷つくと血液中で増加する酵素です。そのため、数値が高い場合は肝臓で炎症や障害が生じている可能性があります。一方で、ASTやALTだけでは肝線維化がどこまで進んでいるのかを直接確認することはできません。
血液検査の結果から肝線維化の可能性を推定する方法として、年齢・AST・ALT・血小板数を使って算出するFIB-4 indexもあります。ただし、FIB-4 indexも線維化そのものを直接測定する検査ではありません。
血液検査で肝障害や線維化の可能性が疑われた場合に、肝硬度測定や腹部超音波などを追加して状態を詳しく確認することがあります。それぞれの検査結果を組み合わせて確認することが重要です。
腹部エコーは肝臓の形や脂肪肝や腫瘤などを画像で確認する
腹部エコー(腹部超音波検査)は、超音波を使って肝臓の形や大きさ、内部の状態を画像として確認する検査です。脂肪肝の有無や肝臓表面の変化、肝臓内の腫瘤などを調べる目的で行われます。
肝硬度測定も超音波を利用することがありますが、一般的な腹部エコーとは目的が異なります。腹部エコーは肝臓を画像として観察し、肝硬度測定は主に肝臓の硬さを数値として評価します。
例えば、腹部エコーで脂肪肝が確認されても、その画像だけでは肝線維化がどの程度進んでいるかを正確に評価できない場合があります。その際にフィブロスキャンなどによる肝硬度測定を組み合わせることで、線維化について別の角度から確認できます。
一方、フィブロスキャンは肝臓全体を画像として詳しく観察し、腫瘤の有無を調べることを主な目的とした検査ではありません。脂肪肝や肝臓の形態、腫瘤などを調べる必要がある場合は、腹部エコーやCT、MRIなどが使われます。
肝生検は採取した肝組織から炎症や線維化を詳しく確認する
肝生検は、腹部から針を刺して肝臓の組織を一部採取し、顕微鏡で詳しく調べる検査です。採取した組織を直接観察できるため、肝臓の炎症や線維化、脂肪の蓄積などを組織レベルで評価できます。
フィブロスキャンなどによる肝硬度測定は体の外から肝線維化を推定するのに対し、肝生検では実際に採取した肝組織を調べられるという違いがあります。そのため、病気の診断や肝障害の状態をより詳しく確認する必要がある場合に行われることがあります。
一方、肝生検では針を肝臓へ刺すため、検査後に痛みが生じたり、まれに出血などの合併症が起こったりする可能性があります。フィブロスキャンは針を使用せず短時間で測定できるため、身体への負担を抑えながら肝線維化を評価できます。
ただし、肝硬度測定が肝生検をすべて置き換えられるわけではありません。血液検査や腹部エコー、肝硬度測定を行ったうえで、さらに詳しい組織の評価が必要と医師が判断した場合には肝生検が行われます。
肝機能異常や脂肪肝を指摘された人は必要な検査を医療機関で確認する
肝硬度測定をすべての人が定期的に受ける必要があるわけではありません。健診結果や既往歴などから肝線維化の確認が必要と考えられる場合に、医療機関で検査の必要性を判断します。
健康診断でALTが30を超えている場合はまず受診する
健康診断でASTやALT、γ-GTPなどに異常がある場合、「症状がないから」とそのままにせず、判定内容を確認することが大切です。
日本肝臓学会の「奈良宣言2023」では、健康診断などでALTが30U/Lを超えていた場合、まずかかりつけ医などを受診するよう案内しています。
ALTは肝細胞が傷つくことで血液中へ増える酵素です。ただしALTの数値だけでは、脂肪肝、肝炎ウイルス、飲酒、薬剤、自己免疫など、何が原因なのかまでは分かりません。
まず血液検査や腹部超音波などで原因を確認し、肝線維化が疑われる場合にFIB-4 indexや肝硬度測定などを追加します。「ALTが30を超えたら必ずフィブロスキャンを受ける」という意味ではありません。
脂肪肝や肥満や糖尿病がある場合は線維化の有無も確認する
脂肪肝を指摘された方では、肝臓に脂肪がたまっていることだけではなく、線維化が進んでいないかを確認することが重要です。
特に肥満、糖尿病、脂質異常症、高血圧などがある方では、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)が関係している場合があります。MASLDの中には肝臓の炎症や線維化が進む方もいます。
脂肪肝があるから必ず肝硬変になるわけではありません。一方、自覚症状だけでは線維化の進行を把握しにくいため、血液検査や画像検査による評価が必要です。
健診で「脂肪肝」「肝機能異常」「要受診」「要精密検査」などを指摘された場合は、結果票を持参して内科や消化器内科などを受診し、追加検査の必要性を確認しましょう。
慢性肝疾患で通院している場合は経過観察として測定することがある
B型肝炎、C型肝炎、アルコール関連肝疾患、MASLD、自己免疫性肝疾患などの慢性肝疾患がある方では、肝線維化の程度を継続的に確認することがあります。
フィブロスキャンは体への負担が比較的小さく、繰り返し測定できるため、過去の肝硬度との変化を確認する目的で使われる場合があります。
ただし、肝硬度は炎症などでも変動します。前回から数値が上下していても、その変化がそのまま線維化の進行や改善を表しているとは限りません。
検査の間隔についても「健康な人は毎年」「脂肪肝なら半年ごと」など一律に決まっているものではありません。病気の種類や治療状況を踏まえ、主治医が示した時期に検査を受けてください。
肝硬度測定の費用は保険診療か人間ドックかによって異なる
肝硬度測定の費用は、病気の診療として健康保険を使って受ける場合と、人間ドックや健診のオプションとして自由診療で受ける場合で異なります。
保険診療の肝硬度測定は診療報酬200点が設定されている
厚生労働省の診療報酬では、「D215-2 肝硬度測定」として200点が設定されています。診療報酬は原則1点10円で計算されるため、検査部分は2,000円に相当します。
健康保険の自己負担割合が3割の場合、肝硬度測定そのものの自己負担は600円相当です。ただし、これは肝硬度測定だけを単純計算した金額です。
実際の受診では初診料・再診料、血液検査、腹部超音波検査などが加わる場合があります。そのため、窓口で支払う総額が600円になるとは限りません。
また、保険診療として受けられるかどうかは検査の目的や患者の状態によって決まります。希望すれば誰でも保険でフィブロスキャンを受けられるという仕組みではありません。
人間ドックや健診のオプションでは自由診療になる場合がある
人間ドックや健康診断の追加検査としてフィブロスキャンを受ける場合は、公的医療保険が適用されず、自由診療として料金が設定されていることがあります。
自由診療の料金は医療機関によって異なります。また、「フィブロスキャン単独」「腹部エコーとのセット」「肝臓ドックの一部」など提供方法も施設ごとに違います。
そのため、予約時には検査料金だけでなく、診察料やほかの検査が料金に含まれているかも確認してください。
健診で異常を指摘されており、病気の診断や経過観察が必要な方は、自費の人間ドックを追加する前に医療機関を受診し、どの検査が必要なのか相談するとよいでしょう。
異常を指摘された場合は消化器内科などで結果全体を確認する
フィブロスキャンで肝硬度やCAPの異常を指摘された場合は、数値だけを見て生活習慣の改善だけで済ませるのではなく、医療機関から示された対応を確認してください。
特に健診結果に「要受診」「要精密検査」と書かれている場合や、ALTをはじめとする肝臓関連の血液検査にも異常がある場合は、内科・消化器内科などを受診しましょう。
過去の健康診断や血液検査、腹部エコー、フィブロスキャンの結果を持っている方は持参してください。今回の数値だけでなく、以前からどのように変化しているかも確認できます。
どの診療科を受診すればよいか分からない場合は、まずかかりつけ医へ相談し、必要に応じて消化器内科や肝臓を専門とする医療機関を紹介してもらう方法もあります。
肝硬度測定は肝線維化を知るためにほかの肝臓検査と組み合わせる
肝硬度測定とは、肝臓の硬さを数値化し、慢性的な肝疾患による線維化の程度を体の外から評価する検査です。フィブロスキャンでは、肝硬度に加えてCAPによる脂肪蓄積の評価ができる場合もあります。
- 肝硬度は主に肝線維化の程度を評価するために測定する
- フィブロスキャンは弱い振動と超音波を利用する
- 肝硬度はkPa、脂肪量を示すCAPはdB/mで表示される
- 肝硬度は炎症や胆汁うっ滞などでも高くなる場合がある
- フィブロスキャンだけで肝硬変や肝臓がんを確定することはできない
- 血液検査や腹部超音波などと合わせて結果を確認する
健康診断で肝機能異常や脂肪肝を指摘された方は、「肝硬度だけを測ればよい」と考えるのではなく、まず異常の原因を確認することが大切です。
特にALTが30U/Lを超えている場合や、健診結果で要受診・要精密検査となっている場合は、結果票を持ってかかりつけ医や消化器内科などを受診し、肝硬度測定を含めて必要な検査を確認しましょう。