医療法人　上島内科医院

上田先生はじめまして。今日はお忙しいところ、ありがとうございます。先生のご経歴など教えて頂けますでしょうか。

私は石川県で生まれ育ち、医師になってからも勤務医としてずっと石川県で過ごしてきました。上島医院は、上島先生が開業されて四半世紀ほどになるのですが、高齢になられたこともあり、義弟である私が、昨年四月に着任いたしました。初めての地ということで少しの不安はあったのですが、高槻市は医院間の連携が非常に高いレベルでできています。大きな病院も多くあり、素晴らしい連携の態勢があります。長年受け入れ側の病院に勤めてきましたから、そのレベルの高さはすぐ分かります。受け入れる側の気持ちも、送り出す側の気持ちも分かりますから、患者さんのご紹介、連携はスムーズにできていますね。

勤務医としてのお立場と今のお立場で何か違いに気づくことはありますでしょうか。

勤務医の場合は、はっきりした病名のついた病気に対して対応していくわけですが、かかりつけ医に徹していると、患者さん一人一人の環境や全体像に目を行き届かせる必要があります。病気そのものというより、人を見るという意識です。お一人暮らしをされていたり、介護の必要性など、病気だけに目を向けるわけにはいきません。高齢化がこの近くも進んでいるので、お年寄りの方をどう支えていけるかは、地域をあげての課題の一つですね。

【洋館のような待合室】

寄り添われている先生の姿が浮かびます。連携していくうえで気をつけられていることはありますか。

重篤な疾患が疑われる場合は、早め早めに紹介をするようにしています。これは受け入れ側を長年してきた経験が、お陰様で生きています。患者さんには、予後の可能性をお伝えして、早めにしっかりした治療を受けることをお勧めしています。一通り治療を受けられたら、かかりつけ医の私どもがフォローしていけば良い事です。最近は連携手帳ができて治療経過が記録されており、医院をまたいでのサポートがしやすい環境になってきていますね。

経験をされてきた上田先生、頼もしい限りですね。診察にあたってはどのような点を注意されていますか。

患者さんとの関わりは大切にしています。検査結果だけでなく、聴診器を実際にあてて、触診をするというプロセスは、失礼のない範囲でさせて頂いています。若い方だと、遠慮もしますが、経験値で分かることがありますからできるだけさせて頂いています。コミュニケーションを通す中で、患者さんの思いが出てくることもあります。大事な症状を「そういえば」とお話になられることがあり、それこそが治療をするうえでとても大事な情報です。あまり症状を言わない方もいらっしゃいますから、話しやすい環境作りは大切にしています。見落としがないかは診察をするうえで、とても大切なことですから、話をよく聞く、引き出すことは徹底するようにしています。

先生の誠実な姿が浮かびます。今後については、どのようにしていかれたいですか。

患者さんとのコミュニケーションはできるだけ密にして、かかりつけ医としてのかかわりは深めていきたいと思っています。在宅医療の分野は、やっていきたい分野ですね。お年寄りが孤立化しないようにすることは、クリニックとしてもできることがあると思います。気持ちに寄り添って、話をしっかり聞いて、地域への貢献は深めたいと考えています。病気を診るという視点ももちろん大切ですが、人やその周りの環境や背景をみる意識は深めていきます。当院には隣接して、デイサービスセンターもありますから、医療、介護の両面で地域の皆様をサポートしてまいります。どうぞ気軽にお越しください。

【落ち着いた雰囲気のデイサービスセンター】

編集者より一言―

優しい語り口の中に、患者さんを思って寄り添われている先生の姿が印象的でした。気軽になんでも話せる雰囲気は、先生が醸し出す雰囲気がそうさせているのだなと、インタビューを通して納得です。安心のかかりつけ医の上田先生でした。