時間帯 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 |
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09:00〜13:00 | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | — |
15:00〜19:00 | ◯ | ◯ | ◯ | — | ◯ | ◯ | — |
◯ 診察 — 休診
休診日について: 特になし
先生のご経歴を教えて頂けますでしょうか。
平成4年に大学を卒業して、神戸大学の付属病院、市立西脇病院などでの勤務を経て、平成14年に当院を開業しています。
お勤めを10年間されたのですね。開業されたいきさつを教えて頂けますでしょうか。
勤務医として様々な経験を積んでいくと、自分の理想とする治療を実現したい気持ちが徐々に強くなっていっていました。歯科医になって10年を過ぎたころに、その思いがピークに達したのだと思います。どちらかというと遅い目の開業時期になるのでしょうが、コツコツと積み重ねをして、いろいろな経験を積んだ上で、開業しようと思っていましたので、自分にはそれぐらいが良いタイミングだったのでしょう。「自分の道を歩みたい」そう明確に思えたから、開業しました。
開業されて10年経つのですね。開業されてこれまでいかがでしたか?
偉そうなことは言えませんが、10年経って、自分なりにこの地域の歯科医療にお役に立てているという実感が伴うようになってきました。地域の歯科医として、根付いているとでもいいましょうか。
例えばどういうときに、そう感じられるのでしょうか?
例えば、私はランニングが趣味なのですが、朝早く走っていると、普段の白衣とは違う格好でわかりにくいと思うのですが、患者さんから気付いて、挨拶をしてくださることがよくあります。診療が終わってしばらく顔を見せない患者さんがいると、何か予後に問題があったのではないかと気になっていましたが、数年後に、再来してくださって、「あの時の治療のお陰で、、、ありがとうございます」とお礼をわざわざ言ってくださる方もいらっしゃいます。いろいろな意味で、地域の歯科医療に根ざしてきているのだなと、感じることが多くなってきています。
先生のお人柄が伝わってきます。地域に根差すために気を付けていることは、どのようなことがあるのでしょうか?
そうですね。人と人との繋がり、信頼関係が大切ですから、よく話を聞くことでしょうか。話を聞くとういのは簡単なように聞こえるかもしれませんが、患者さんが来院されている本当の理由の部分は、聞けているようで、聞けていないことがあります。しっかり聞くことは、言葉で言うのは簡単ですが、本当に大切なことです。
患者さんの話をしっかり聞けた事として、どのような事がありましたか?
ひとつエピソードをあけると、上顎に問題を抱えている患者さんがいて、当院に来るまでは、保険適用の合成樹脂の入れ歯を使ってらっしゃいました。当院に来られて、もう少しお金をかけてもいいから、いいのを作ることを希望されたので、希望に合うような入れ歯を作ったんです。普通に歯科医の立場からみると、ぴったりと入れ歯もくっついて、良い入れ歯ができたと思いました。
とても良い入れ歯を作られたんですね。
ところが、なんだかしっくりこないと仰るのです。音が気になる仰います。よくよく話を聞いて考えると、新しい入れ歯の歯が新品のため、まったく摩耗していない事から、音が発しているのではないかと考えました。そこで、新しい入れ歯をわざと今までの入れ歯を参考にしながら、少し摩耗させてみました。ところが、改善はされたものの、まだ微妙な音が気になるとおっしゃるんです。「気のせいではないか」とか「そういうこともあるかもしれません」、と言うのは簡単な事ですが、もう一歩踏み込んで話を伺い、原因を考えました。
ほどほどで止めるのではなく、とことん患者さんに寄り添う先生の姿勢が伝わってきます。
歯と歯の、接触の問題以外に考えられるとしたら、入れ歯の構造に何かがあるのではないかと、考えました。専門的な説明は省略するのですが、新しい入れ歯の接触部分の金属部分に弾力を持たせるため、樹脂に置き換えたところ、「全く音が出ない!これはすごい!」と大変喜んでいただけました。強度的な問題はありますので、フォローは必要なのですが、こちら側の都合を押し付けるのではなく、患者さんの意向、悩み事に寄り添えた確かな実感がありました。よく聞くというのは、細部までよく聞いて、できる限りとにかく手を尽くすことです。細部と捉えるのはこちらの見方の問題であって、患者さんにしか分からない大きな悩みかもしれませんからね。そうして寄り添うことが、一つ一つ自分の経験となり、患者さんの利益につながっていくのだと思います。
素晴らしいですね。先生のとことん寄り添う姿勢は、どういったことから生れてくるのでしょうか?
やはり細かい部分にこそ悩みの本質が隠されていると思うんです。そこをしっかり見つめて、お互い納得のいく解決策が得られた時の喜びは何事にも変えられません。こちらがいいと思うものを、一方的におしつけて、こちらだけが満足しても何の意味もありません。人に喜んでもらえるというのは、何物にも代えがたい喜びです。「来てよかったです。ありがとうございます。」「こんな風になれるなら、もっと早く来れば良かった」こういう言葉を患者さんから頂くと、元気になれますよね。
先生と患者さんの嬉しい笑顔が浮かんできます。最後になりますが、今後どのようにしていかれたいですか?
私はどちらかというと、一人でやってしまうタイプで、今当院の歯科医は、私一人です。チームとしての歯科医の機能はまだまだ高めていける余地がたくさんあります。それぞれの役割分担ができていて、目的は共にする、そんないいチームを創り上げて、より良いサービスを患者さんに提供していきたいと思っています。自分が病気になってからは、患者さんに「来て頂いている」という意識がとても強くなりました。「来て頂いている」患者さんからは、細かい部分まで聞き出して、自分の最善を尽くしていきたいと思います。
編集者から一言 -
人柄の良さが滲み出ている福岡先生、今回のインタビューではほとんど触れていないのですが、実は慢性骨髄性白血病の診断を11年2月に受けられています。病気になって分かったこと、気付いたこともたくさんあるそうです。人の痛みにとても敏感で、周りへの配慮を怠らない福岡先生は、トライアスロンやトレイルランニングにも挑戦され続けているかっこいい歯医者さんです。歯の悩みがあれば、気軽に相談されれば、きっと新しい世界が開けると思います。 森拓哉